メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜





 



 キャンディス。そのグラマーな体に反し、ことごとく重い石のアームを自由自在に使いこなす怪力の持ち主。
 ロラン。普段の言動はへたれ極まりないが、地中から現れる
13トーテムポールすら事前に察知し避ける事の出来る勘の持ち主。
 さてこんな2人が激突すると・・・・・・。





・     ・     ・     ・     ・






 「さて今日は―――」
 いつものイスに腰掛け、ペタに今日やることを確認するファントム。その様はさながら大会社の若き社長と有能な秘書である。
 有能な秘書―――ではなく参謀ペタは、1つ頷き予定を告げようとして・・・
 「ファントム〜〜〜〜〜〜vvv」
 轟音と共にドアをぶっ壊し入ってきた存在に、開きかけていた口を閉じた。
 「ファントム〜〜〜〜〜〜vvv」
 「うわちょっとキャンディス!! その勢いはさすがに危な―――!!」
 轟音と共にドアをぶっ壊し入ってきたキャンディスは、勢いそのままにファントムに飛びつ―――こうとし。
 「危ないファントム!!」
 どがっ!!
 「うわっ!!」
 どがっしゃん!!!!
 ―――横手から飛び出てきた男にファントムを突き飛ばされ、あえなくイスを壊して停止する事となった。
 もうもうと立ち込める煙。その中で、運命の2人が対峙する。
 「あらロラン・・・。一体何してくれるのかしら・・・?」
 「やあキャンディス。
  僕が何してるって? もちろんファントムの危機を察したから、それを助けに来たんですよ。だってそれが僕らの役目でしょう?」
 「フフフフフ・・・。
  で、それはどういった類の『危機』かしら?」
 「どこかの誰かが、僕のファントムに危害を加えようとしてるんですよ。
  ファントムの白馬の王子な僕としては、決して黙って見過ごす事は出来なくて」
 「あらあらあら。現実を見れないお坊ちゃまは可哀想ねえ。
  ―――誰がファントムの白馬の王子ですって? それはわたしに決まってるでしょう? 消えなさい邪魔者は」
 「ははははははは。キャンディスもまた面白い冗談を。
  ―――むしろ邪魔者はあなただと思いますけどねえ」
 ごごごごごごごごご・・・・・・
 ファントムには届かずとも、立派にナイトクラス十三星座の2人。ぶつかりうねる魔力の波動で空間が振動を起こし・・・





 ・・・・・・そんな2人を、ファントムは逆さまになって見物していた。
 ロランに突き飛ばされ、キャンディスの攻撃に煽られ、壁に背中から激突後ずるずる落ちていって。
 「ご無事ですかファントム様?」
 唯一そんな彼に気付き近寄ってきたペタ。
 「うん・・・。なんとか・・・・・・」
 答え、伸ばすファントムの手を―――
 彼は決して取ろうとしなかった。
 「・・・・・・ペタ?」
 「すみませんファントム様。
  ―――残念ながら、私もまだ命は惜しいです」
 「・・・・・・・・・・・・。
  そっか」
 ファントムは、のろのろと独りで身を起こした。
 「愛って、寂しいものなんだね・・・・・・」



―――Fin

 









 ―――多分ファントム、生ける屍じゃなかったらとっくに死んでたと思います。そしてそんな彼と人の身でありながら張り合えるロラン・キャンディス何よりアルヴィス。多分この3人がメルヘヴン最強キャラだと・・・・・・。
 そして
46話にて、ロランとキャンディスがかなり手前の方にいるのは、こういった事情によりファントムから遠ざけられたためだと推奨。もちろんファントムがキャンディスを怒らなかった理由もここに・・・・・・。

2006.2.26