メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜
6thバトル第2試合、アルヴィスvsコウガの対戦が始まる・・・・・・前の事。
ふいにコウガがこんな事を言い出した。
「気に入らねえ」
「何だと?」
眉を顰めるアルヴィス。
敵同士なんだから気に入らないのが当たり前だろう(割にメルのメンバーは妙にチェスのみんなに気に入られる傾向があるが)。だが、コウガの言いたい事はそれとは異なるように感じる。
(前に会いでもしたのか? それで倒されての逆恨みか?
・・・・・・やれやれ。敵対してるんだからそんなの日常茶飯事だろう? それで恨むなんてどういう神経の持ち主だ? 大体倒したヤツの事なんていちいち覚えてないぞ?)
相当失礼に悩む。が、幸いそれを口にする前にコウガは答えを発表した。
「俺はお前のような美少年面したヤツが一番気に入らねえんだ」
―――といった答えを。
『・・・・・・・・・・・・』
メル一同が固まった。その時の各自の思考は以下の通り。
(た・・・確かにアルヴィスって美少年よねえ・・・)
(ヘタな女の子よりよっぽどべっぴんさんやしなあ・・・)
(だよなあ。俺のいる世界じゃアルヴィス、ぜってーイケメンアイドルになれるぜ?)
(『イケメンアイドル』? なんじゃそりゃあ?)
(美形って事ではまあ・・・あんま認めなくないけど・・・そうよ?
けど・・・・・・)
(・・・ああ話題振られてどう答えりゃいいんだ?)
気絶していたアランまで起きての目配せ会話。一通り終了した後・・・
・・・全員の視線がアルヴィスへと集中した。ここで彼は、対応の仕方を間違えるとナルシスト少年決定となる。
期待と不安とその他いろいろの混じる眼差しで見守られ、
アルヴィスは軽くひとつ頷いた。
「そうか。俺はお前のようなヤツに好かれなくてほっとしている」
「ガー!
ますます気にいらねえ」
((うわ最強・・・・・・))
完璧な応対だった。自分は押し上げていないのに相手を十二分に侮辱する。これ以上の返答がどこにあるのだろうか?
・・・と思ったのだが。
素で真っ黒なアルヴィスの返答―――精神攻撃はまだまだ終わっていなかった。
無表情のまま、さらに続ける。
「だがそれならそもそも、何でお前ファントムの下にいるんだ?」
「あ? どういう意味だ?」
「ファントムのヤツも、あの顔なら一応分類上は『美少年』だろ? まああくまで見た目のみの話で、中身は既に老年かもしれないけどな。
俺よりまず先に、そっちにケンカを売ってきたら―――」
「―――本当かいアルヴィスくん!?」
「・・・・・・」
台詞を邪魔され―――ついでにいきなり後ろからのしかかられ―――アルヴィスはようやく言葉を切った。
無言で、後ろを向く。多分ディメンションアームで来たのだろう、何の脈絡もなく現れこちらを抱き締めるファントムが、実に嬉しそうに笑っていた。
「アルヴィスくんってば僕の事そんな風に見ててくれたんだね!? 普段は冷たく突き放してるのにも〜可愛いんだからvv そんなに自慢されたら僕照れちゃうじゃないかvv」
「・・・・・・・・・・・・」
「うんv 僕も君の事は最高の美少年だと思うよvv だからちゃんと周りにもそう広めてるんだvv」
「お前か原因は・・・・・・」
硬直状態から脱出。確かにギンタは『美少年』とは分類しにくいし、唯一ライバルになりそうなナナシがいない以上自分がご指名喰らったのは仕方ないのかとも思ったが・・・・・・
・・・・・・どうやらこの色ボケ男はそんなに自分に楯突きたいらしい。チェスの兵隊No.1ナイトとして立派な心がけだ。
今度は笑顔でひとつ頷き、
アルヴィスは言った。ぼそりと。
「『俺はお前のような美少年面したヤツが一番気に入らねえんだ』」
「――――――――――――っ!!!???」
があああああああん・・・・・・・・・・・・!!!
よよよとファントムが崩れ落ちる。邪魔なのできのこのフィールドから蹴り落し、
「さて余興も終わった。始めるか」
『・・・・・・・・・・・・』
・ ・ ・ ・ ・
「ラスボスが『余興』で倒されちまったけど・・・・・・」
「ウォーゲーム・・・続行する?」
ギンタとドロシーに問われ、ポズンはただただ冷や汗を垂らすしかなかった。
―――Fin
―――修練の門ではナナシに言い寄られ、ギンタの夢の中ではファントムにキスされかけ、そして一発使い捨て決定だろう敵にまでこんな発言をされ。原作ではわかりませんが、少なくともアニメではエキモスに「ブス」と言われたスノウより遥かにオイシイ・・・というか何というかの役どころを与えられているのですねアルヴィスって。今のOPと合わせ、最近妙に腐女子向けになってきたような気がするのは私だけですか・・・?
そしてそんなアルヴィス。この予告を観るまでずっと彼は白属性だと勘違いを起こしておりました。そういえば(まともな)初登場シーンから妙に黒っぽい事は散々やっていましたよね。多分自分の描く彼の像が黒すぎて、だからこそ元ネタの方に白さを求めたかったのでしょうね・・・・・・・・・・・・。・・・いや素で黒い彼もステキですけど。
しっかし最近アクの強すぎる脇役(つまりはロラン・キャンディス・そしてペタ)のおかげでどうも弱くなってしまったファントム様。基本に立ち返りアルと2人にしてみましたが・・・・・・彼が弱い根本原因はアルが強すぎる事にあると思います。
2006.4.16