メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜





 



 アームで拘束したアリババを引きずり階段から落とし逆さ吊りのまま呪いのワラ人形を発動させたロコ。
 『暴れるとファントムに怒られるから』という理由だけでこれだけの事をしてのけた女は、自分が火を被らないようこんな事も平気でやる。





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1―――

 「ファントム〜〜〜vv」
 「あちょっとロラン!! 何割り込み仕掛けてんのよ!! ファントムに先会うのはアタシよ!!」
 「何ですかキャンディス!! 割り込みしたのはあなたでしょう!?」
 「何を〜〜〜〜!!??」
 『む〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!』
 ファントムの部屋の前で睨み合うロランとキャンディス。毎度恒例生死と愛情を賭けた戦いが始ま―――ろうとして。



 「ダークネスアーム“ネグゼロ”」
 ピキ―――ン・・・・・・
 「ぐっ・・・!!」
 「ゔ!?」



 「ロランもキャンディスも止めて下さい」
 「ロ・・・ロコ・・・!!」
 「や、やあロコ。
  さっそく訊くけど、何でこんな事すんのかな・・・?」
 「ファントムの命令です。ロランとキャンディスが自分から半径
10m以内に近付いたら強制排出しろ、と」
 「ファントム〜〜〜(泣)」
 「それでアンタ聞いたワケ!? ファントムのそんな命令!!」
 「もちろんです。聞かないとロコ殺されます」
 「だったらこの場でアタシが殺すよ!?」
 「ファントムは仲間を殺す人を嫌います。同じ理由でラプンツェルは嫌われ殺されました。
  構わないならどうぞ」
 「ぐ・・・!! アンタ汚い手を・・・!!」
 「さすが見た目に反し人生経験を積んだ人は違いますね・・・!!」
 「ダークネスアーム“呪いのワラ人形”」
 「すいませんほんのささやかな冗談と言いますか口が滑りましたごめんなさい!!」
 「では2人とも従ってください」
 『はーい・・・・・・とほほ』





 「ね? とってもいい手だろう?」
 「いい手であるのはわかりましたが・・・。
  ファントム様、なぜご自分でやらないのですか?」
 部屋の中にて、指を立てにぱっと笑うファントムにペタは首を傾げた。
 ・・・途端、ファントムがむくれた。
 「だって僕が言っても聞いてくれないじゃんあの2人」
 「確かに・・・」
 「それに、ああやると2人の怒りはロコに向くからねv」
 「うわアンタさりげに酷い事やってますね」
 「ん? 何か言ったかなペタ?」
 「いえ別に」
 「何にしてもあの2人にロコをどうにかするのは無理さ」
 「聞いてたんじゃないですか・・・。
  ちなみにその理由は?」
 「だって・・・・・・」





 「くっ! ファントムに迫る最大の敵来襲ね!!」
 「ここは全面戦争ですよ!! という事でキャンディス頑張って下さい!!」
 「嫌よ何でアタシが!!」
 「だって僕ロコ嫌ですもん無表情でカーンコーン!!」
 「アタシだって嫌に決まってんでしょ!?」
 「何でですか!? キャンディスいたぶられるの好きじゃないですか!!」
 「好きにも程があるわよ!! 無表情でカーンコーンカーンコーン!! 気分萎えきるわよ!!
  ゴーゴン使ったって絶対固まるまで無表情でカンコンやり続けるわよあの子!! むしろそっちの方が呪いっぽいじゃない!!
  っていうかアンタ行きなさいよロラン!! その天然バカっぷりでロコ笑わせなさい!!」
 「嫌ですよ!! 笑わせるなんてそっちの方が怖そうじゃないですかにたぁ〜って感じで!! 最強の呪い発動ですよ!? 考えただけで呪われますよ!?」
 「う・・・!! 確かに・・・」





 ・・・・・・確かに、ロコ攻略の道程は遠そうだった。





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2―――

 修練の門からなぜかギンタとジャックが出てきてしまった。ガイラは疲労困憊。残り4つの門を維持するのが精一杯で、新たに2つ開くのは無理らしい。
 「つまり! 今このチャンスを利用すれば僕はアルヴィスくんの元へ向かい放題!! しかも門の中なら1日が
60日!! 誰にも邪魔されずアルヴィスくん独占し放題だvvv
  待っててね〜アルヴィスく〜〜〜んvvvvvv」
 事態の捉え方を完全に間違ったファントムが喜び勇んでダーリンの元へ通おうとし・・・



 「ダークネスアーム“ネグゼロ”」
 ピキ―――ン・・・・・・
 「ゔゔっ・・・!?」



 「えっと〜・・・。
  ロコ、どういう事かな?」
 いつの間にかそこにいた見た目少女に動きを止められ、ファントムはかろうじて笑顔で返した。
 基本的に彼は仲間にはフレンドリーだ。たとえそれが、原因不明で突如自分に呪いを仕掛け野望達成を阻んだ者であっても。というか、自分に向かってそんな事を平気でするヤツだからこそ無駄な喧嘩は売りたくなかった。
 そんなファントムの努力がわかっているのか否か、いつも通りの無表情でロコが答える。衝撃の事実を。
 「メルの人に呪いをかけられました」
 「ええ!?」
 驚き、ロコを見やる。大変だ。それならすぐ解いてやらねば。
 懸命に目を凝らし魔力を高め・・・
 「・・・・・・絶対今てきと〜に言ったよね?」
 ファントムは額に青筋を3本ほど立て、それでも笑顔を保って尋ねた。
 「そんな事はないです」
 「なら内容は?」
 「ファントムが自分の元へ来そうだったら遠慮なく排除しろ、という事です」
 「えちょっと待ってロコ。それは『メルの人』というかきっぱりはっきりアルヴィスくん本人じゃないかな?」
 「『メルの人』に変わりはありません。はっきりきっぱり言うと可哀相だったので対象を増やしました」
 「・・・・・・。
  うんありがとう。そんな君の気遣いが一番心に痛いよ」
 「ちなみに呪いは“スマイル0円”でした」
 「ええ!? 僕ですらアルヴィスくんの笑顔はそんなに見た事ないのに!!」
 「目がまぢでとても怖かったです。従わないと死以上の何かが与えられそうだったのでロコ従います」
 「う・う・う〜・・・。いいな〜ロコ・・・」
 「・・・・・・・・・・・・」
 何せ相手は魔力戦においてはチェス最強のファントムである。かけられた呪いなど自力でとっとと破り、その成果として手の包帯を噛んで泣き崩れる彼を前に、ロコが初めて引いた。
 引いて―――鞄からワラ人形を取り出す。
 「という事で、完全殲滅します」
 「待って待ってロコアルヴィスくんはそこまで言ってなかったような気がぐぎゃああああああああああああ・・・・・・・・・・・・!!!!!!」
 コーンコーンコーンコーン・・・・・・



―――Fin

 









 ―――ロコ再登場vv 前回以上のイっちゃったキャラ振り! とっても嬉しいですvv
 以前メチャバトでやりました話ではロラン滅殺のためアルヴィスに従わせましたが、こんな彼女ならきっとファントムにも有効ですよvv
 そして放送局始まってずっとですが、中立じゃない解説者ってとてもタチが悪いですね。スノウ・ドロシーのファッション、そしてもちろんアルヴィス以外は物凄く適当に流されているような・・・・・・。いえ最初から狙ってやっているのだからいいのでしょうが。

2006.7.10