メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜
勇者のアームを探すアリババ・キャル、そしてレギンレイヴ姫。
今度のトラップは飛び石だった。紋様の描かれた飛び石。間違ったのに乗ると崩れ落ちる。さらに入り口は3つ。どれが正解かもわからない。
どうやって行くのか問うアリババに、姫は身に着けていた首飾りを外した。
掲げ、言う。
「我が王家に古くから伝わる首飾り。
どの足場が正解か、私も存じません。しかし、この首飾りが正しき道を教えてくれるでしょう」
その言葉を証明するように、動き出した。
真中の大きなロケットを開ける。流れるのは単音メロディ。
さらに両側に4つづつ付けられた石を見る。飛び石に描かれているのと同じような紋様。完全に同じものを探し、姫は目を細めた。
飛び乗る。
ブブー。
ブブー。
ブブー。
「―――とこのように、渡る事が出来ます」
「ってちょっと待て!! 1個足りとも正解してねえじゃねえか!!」
「ですが渡れました」
「全部壊してな!!」
「問題は解決しましたね」
「してねえよ!! 俺らどうやって渡れってんだよ!?」
「頑張ってください」
「結局力技か!? その首飾りは一体何を教えてくれたんだよ!?」
地団駄を踏んで指差され、姫は首に戻した首飾りを指で弄んだ。
再び言う。口を尖らせ。
「だってこれが合ってる保証ないじゃないですか。それなら初めから覚悟の上で外れを渡った方が対処しやすいです」
「うおおい!! 何古くからの教え完全に無にしてんだよ!? それでいいのかレギンレイヴ!?」
「おかげで先人を恨んで死なずに済みました。ただでさえあなた方チェスにいいように使われストレス溜まってますから私。ここで死んだらゴーストになって永遠に取り付くかもしれません」
「さらっと怖ええよ!! お前はロコか!?
・・・ったく何でこの話の女キャラは強さと比例して怖さが上がるんだよ・・・」
ぶつくさ謎の文句を言いながらも、アリババは頑張って渡った。
ブブー。
ブブー―――がらがらがら・・・・・・。
「うわあああああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
そして当然のように落ちた。
魔法の絨毯もないので即死だろう。利用価値もなくなった馬鹿をファントムが2度も回収してくれたとはとても思えない。
余韻も全て消え・・・
呆然とするキャルに、姫が目を合わせた。
「お前はこのまま地上へ戻りなさい。ここはお前のいる場所ではありません」
「いえそうしたいのは山々ですが・・・・・・。
―――どうやって戻るんですか?」
そもそもここへは落ちてきた。空を飛ぶアームがない以上、戻るには崖を延々と登らなければならないのだが・・・・・・。
「頑張ってください」
「無理だと思います!!」
「では私はこちらから戻っていますので」
「ええ!? そっちから戻れるんですか!?
僕も行きます!! 待って下さい姫様〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
ブブー。
ブブー。
ブブー。
「し・・・・・・死ぬかと思った・・・・・・」
「では戻りますよ」
「ひ、姫様・・・。フォローなしですか・・・?」
「早くしなさい。置いていきますよ」
「とほほ〜・・・・・・」
レギンレイヴ姫。
外部の者には聡明で心優しき姫として有名であり、そして内部の者にはその怖さと強さがたまらないと恐れられている。騎士が先に全滅したのは、姫に逆らうよりはチェスに殺られた方がマシだと思われたからだとは・・・・・・残念ながらキャルはまだ知らない。
―――Fin
―――多分あの姫ならこの位出来ると思います。アリババじゃアーム発動は無理だとわかっていたからちゃんと導いたんですかね?
2006.7.16