メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜





 



 勇者のアームを発動させたキャル。その力は、ロコがせっかく手に入れた新たなアームをぶち壊すほどの威力だった。
 「ロコ、怒りました」
 据わった目でネグゼロを発動させるロコ。その怒りはとても激しく、伝説にもなる勇者のアームをただのダークネスで破壊するほどだった。
 が、それだけの力を地下でぶつけ合えば当然の事が起こる。
 「ぅ・・・・・・ああ!」
 力負けしてロコが地上に戻される。彼女のいなくなった地下では、破壊され尽くし崩壊を始めていた。
 「危ねえ!!」
 「早く逃げましょう!」
 呆然としたアリババを残し、合流した一同は必死に地上へ走る・・・・・・。





・     ・     ・     ・     ・






 「ロコ・・・。地上に戻ったようですね」
 ロコを表していた駒が盤から落ちた。地に付く前に、人型を模る。もちろんロコの型を。
 「ロコ戻りました」
 「おかえりロコ」
 「勇者のアームは取り損ねたようだな」
 「申し訳ありませんでした」
 厳しく言い放つペタに、現れたロコが頭を下げた。
 横でファントムが手を振る。
 「まあいいよペタ。どうやらあのアームは相手を選ぶようだしね。取って来れても誰が使えるやら」
 「恐らくロランかキャンディスなら使えるでしょう。貴方を守るために。ファントム様」
 「あはは。だと嬉しいね」
 「あるいはファントム様、貴方が」
 「僕が?」
 「我らチェスを導き愛して下さる貴方ならば、間違いなく発動出来るでしょう」
 きょとんとペタを見る。ペタは虚空を見上げ、無表情で呟いていた。
 じっと見つめ・・・
 ファントムは小さく笑った。
 「残念ながら辞退しておくよ。僕にあの鎧は似合わない。それに、左手に嵌め様がないからね」
 「左様ですか」
 瞳を閉じ頷くペタに、ファントムも笑って頷く。
 視線をロコに戻し、
 「それより、無事でよかったよ。ロコ」
 「危なかったので戻ってきました」
 「うんうん。良い判断だね」
 「ありがとうございます」
 やはり全く表情を変えないロコ。彼女の心を動かせるのはやはりオカルト関連だけらしい。
 「ご苦労様。じゃあもう行っていいよ」
 「はい。失礼します」
 ロコが一礼する。踵を返しいつもの座に戻るファントムの後ろで、
 盤に目を戻したペタが呟いた。
 「アリババ除く一行は無事に脱出したらしいな」
 「ちっ」
 「・・・・・・やはりお前、わざと崩してきたな?」
 「4対1では勝ち目は低いかと思いましたから」
 「本音は?」
 「ロコ楽なの大好きです」
 「・・・・・・・・・・・・。
  もういい」
 「それでは失礼します」



―――Fin

 









 ――――徹頭徹尾ロコは素敵でしたvv ガイコツから引っぺがしたアームでさっそく人体実験。恨みだけで伝説のアームをぶっ壊し、地下も壊したクセして最初に脱出。多分彼女がクイーンだったら、チェスはもっとエグい集団になっていたと思います。
 そしてかのアーム。ファントムなら実際発動出来ると思いますがねえ。まあ・・・そんなに強くもなさそうなので(それとも身に付けたのがキャスだから弱いだけ?)、あまり役には立たなさそうですが。

2006.7.16