メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜
ファイナルバトル前夜。何となく集まったのは、ガロン・アッシュ・そしてロランだった。
「いよいよ最終決戦ですね」
「あのアルヴィスとかいうカッコいい兄ちゃんとリターンマッチかい?」
「いやあ〜。どうでしょうねえ。なはははは・・・」
話題を振られ困ったように笑うロランに、ガロンが続けた。
「あの少年も、爆発系の強力なアームを手に入れたようですが」
・・・途端、ロランの顔つきが変わった。
剣呑な眼差しで、言う。
「―――はい。あの、非常に名前を言いにくいアームを」
「は・・・?」
「だって言いにくくないですか!? “ア・バオア・クー”ですよ!?
焦ると絶対途中で1回噛みますよ!? 詰まるとすっごい恥ずかしいですよ!?
アルヴィス君!! なぜあんなアームを使うんですか!? そんな事になったら僕笑っちゃうじゃないですか!! 試合出来ませんよ!!」
「確かに笑うだろーねえ君だったら」
硬直するガロンに代わりアッシュが頷く。このように、チェスの中でも十三星座はその個性豊かな性格で有名だ。もちろん筆頭はファントムだ。それは別にいいとして。
頷き納得し、アッシュはさっさと次の話題に移った。
「そういや、あの兄ちゃんもゾンビタトゥーつけてんだろ? 似てるトコが多いなあ」
さらっとされた話題転換に、何とかロランも戻って来る。
「彼とは、他人のような気がしませんよ・・・」
「ほ〜お。つまり兄弟みたいだ、と?」
「いえ、ライバルです」
「他人・・・・・・だと思うんだけど。それ」
今度はさすがに突っ込まざるを得なかった。
極めて的確な指摘を入れるアッシュを、ロランがぎらりと睨みつける。
「何を言うんですか!! ライバルはお互いに競い合う中で誰よりも相手の事を理解するようになるんですよ!?」
「いやたとえ相互理解し合おうが他人は他人だから」
「いーえそんな事はないです!! そうやって築き上げた関係は血よりも遥かに濃くなるんです!!」
「そーかなあ・・・・・・?」
ロランの確信めいた謎な理屈(結局他人である事には何の変わりもない)を聞き珍しく絶句するアッシュ。確かロランはまだ話し相手としてはマシだったような〜・・・・・・。
「―――という大前提として質問ですが、ならあなたはアルヴィスと何のライバルなんですか?」
今度はガロンが尋ねた。
確信度120%でロランが答える。
「もちろんファントムを巡って、です!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「尚更『他人』だと思うな君達・・・・・・」
ぼそりとそう付け加えたアッシュの言葉は、幸いロランの耳には届かなかった。
―――Fin
―――ちなみに、ガロンの質問に対しロランが言った本当の台詞は「はい。あの力、敵の物にしとくのは惜しいくらいです」です。
そう! アッシュの質問に対する返答はアニメそのまんまなのです!! 他人じゃないんですか彼ら2人!? ロラアルか逆のFanはさぞかし喜んだでしょうねえ!!
・・・いっそそっちでも良かった・・・。アッシュの極めて冷たい突っ込みがやらせたかった一心でこうなりましたが、書いていないだけでそんなCPも好きではあります。
そしてアッシュ。久し振りに話を書いた影響で・・・でもない理由で、どうやっても彼の口調が千石になる・・・。
そんなのはいいとして(いいのか?)、「カッコいい兄ちゃん」ですと!? ファントムのアルべた褒めはこんなところまで影響が!? という事で、アッシュはその人付き合いの良さによりわりかしファントムの話(ノロケとか妄想とか)も笑顔で聞いててくれるのだろうと推奨。キャンディスにもいろいろ言って怒られたり、こんな時にロランとも話してたり、いい人だなあアッシュ。さすが子ども好きだvv
2006.8.17