メルヘヴン、心の底から誤った鑑賞法
〜こんな展開だったらイヤだ〜
3人目―――キャンディス 〜Nonstop the 暴走!〜
「私はドローだったから、力になれなくてごめんねファントム」
決勝前夜、申し訳なさそうに謝るキャンディスに、ファントムはゆっくりと首を振った。
「いいよ。どのみち君は最終決戦には出さないつもりだったから」
「え・・・?
―――ああ!!」
キャンディスが悲鳴を上げた。突如上がったファントムの魔力に。
チェスの十三星座すら慄かせる程の魔力を発し、それでもファントムはただ悠然と微笑むだけだった。
「ヴィーザル・ロラン・ハロウィン・キメラ、そしてペタと、僕。
この6人こそ、チェス最強の布陣[ふじん]」
「そんな、ファントム・・・!!
―――チェス最強の夫人[ふじん]は私じゃないの!?」
ぷしゅるるるるるるる〜・・・・・・。
ファントムの体から魔力と気合その他ついでにシリアス度が抜けた。
「・・・何の話かなキャンディス?」
困りつつも健気に尋ねるファントム。伸ばされた彼の手を拒絶するように、キャンディスは己の頭を抱えて喚いた。
「嫌よ嫌よ嫌!! ペタだけならまだ譲るとして他のメンバー特にロランに負けるのは嫌!!」
「・・・・・・。僕も嫌だよそんなメンバーからお嫁さん決めるの。
だからそうじゃなくって―――」
「チェス最強の夫人(候補)は私よ!! 私がファントムのお嫁さんになるのよ!!」
「・・・・・・・・・・・・。それ突き詰めると多分クイーンが『チェス最強の夫人』になるんだけど。立場上キングの妻だし。
あのねキャンディス―――」
「なら私はクイーンを越えるわ!! 一緒に頑張ろうねファントム!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い。いくら生ける屍でも君の力で思いっきり掴まれたら肩粉砕するから。
ねえだから聞いてよ僕の話」
「と言うか、私もファントム様にお仕えはしているものの、妻ではないのだが」
「いや君まで加わらないでよペタ。しかも微妙に僕落ち込むんだけどそう言われると」
傍に陰の様に寄り添う良妻―――にも見える参謀のペタもまた静かに諭した。が、
ギッ!!
「何よ何よペタ!! ファントムに指名されるほど愛されてながらそれを認めないのは解せないわよ!!
それとも私に同情したって言うの!? そんなの真っ平よ!! そうやって蔑むのなら正面切って笑いな!!」
これまた拒絶され、燃える瞳で宣告された。指を突きつけ練る魔力は、先ほどのファントム以上だ。
その間に解放されたファントムは軽く咳き込んで(肩と一緒に首まで絞められていたのだ)、
「はあ・・・・・・」
・・・ため息をついた。
「・・・それで終わりですかファントム様」
「うん。何かもう、無駄な気がする。いろいろと」
「もしやで窺いますが、キャンディスをメンバーに入れない理由は―――」
言葉を濁すペタへ、
ファントムは疲れた笑みを向けた。向けるしかなかった。
最短で、告げる。
「無理」
「確かに」
頷き合う2人の傍で、
「邪魔するヤツは全て潰す!! そしてあたしがファントムのお嫁さんよおぉ〜っほっほっほっほっほっほっほ!!!!!!!!!!!」
レスターヴァ城が、崩壊していく・・・・・・。
―――Fin
―――ちょっといろいろ聞き間違えました。ちなみにファントムが無理なのは、『キャンディスの制御』です。出来るのはきっとアッシュかロコくらいでしょう。
そして、『最強の布陣』と言うほど強かったですかね(爆)? 特にファントム(再爆)。
2006.10.22