テニプリ編8(裕太と不二そして佐伯・跡部)



 「裕太! 僕裕太のお願いなんでも叶えてあげる!!」
 「・・・・・・・・・・・・はあ?」
 「だから! 僕裕太のお願いなんでも叶えてあげる!!」
 目の前で、キラキラ瞳を輝かせ極上の笑顔を見せつける兄に、
 (うわあ・・・・・・)
 裕太が思った事はこの一言に尽きた。
 (どうしよう・・・。コイツ本気だ・・・・・・)
 というか、
 よくよく考えずとも、この兄は自分に向かって嘘をついた経験は一度もない。全てその通りにしてきた。そう―――
 ――――――たとえ絶対不可能だと思われる事ですら。
 恐る恐る尋ねる。
 「具体的にどんな感じで?」
 「例えば裕太にとって悪影響を及ぼすと思われる存在を物理的に排除―――」
 「佐伯さ〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!」
 明らかにこの兄に悪影響を及ぼした―――もとい知識を提供したと思われる存在に、
 裕太はただただ精神的憎悪を飛ばすしか出来なかった。





 それは誰もがまだ幼かった頃の事。
 「周ちゃん。俺はね、周ちゃんの望みだったら何でも叶えてあげるよ」
 「ホント!? サエ!!」
 「ああ。もちろん。
  俺は周ちゃんのためだったら何でもするよ物理的に
 という宣言を、
 佐伯は実に忠実に守った。





 不二を苛める者はその日の夜を待たず闇討ちに遭った。
 不二を襲おうとした変態は全員事前に病院送りになった。
 不二の悪口を言った者は次の日から登校拒否となった。家から出られないらしい。
 不二に想いを寄せる者はほぼ例外なく精神病院へと入れられた。





 「ありがとうサエ! 僕サエのおかげですっごい幸せだよ!!」
 「そっか。よかったね」
 「うん!」





 異次元ワールドの中心であははふふふと笑う2人を現実世界から眺めながら、
 「跡部さんお願いです。俺の願い叶えてください・・・・・・」
 「悪りいな裕太・・・。お前の願い叶えて俺が幸せになれる保障がどこにもねえんだ・・・・・・」
 裕太と跡部は、ただただ弱者たる互いに身を寄せ合う事しか出来なかった。



冗談。ああ本気で通じるヤツが身の回りに欲しいぜ・・・・・・―――By跡部

2004.11.16