烈と不来の場合2
『キス』といえば起床後
烈:「つまり彼女の口の中が酸っぱかったら病院に連れて行こう、と」
不来:「ちゅーかカウンセラーやな。やせ願望の女性っちゅーのは難儀なモンや。どんなに痩せおってもまだまだ自分は太い感じるらしいで。せやから単純に何か食え言うてもきかんのや」
烈:「ふむふむ。つまり改善させるには『自分は痩せてる』ってわからせればいいワケか」
不来:「簡単に言いおるが実際難しいで。それよりもっと簡単な方法があるわ。『自分は痩せてない人が好き』。そう思わせえよ。もちろん面と向かって言いおったらショックで別れるやろうけどな。薄々そう匂わせるんよ。すぐにはもちろん無理やろうけど、一般的に浸透した『綺麗』と自分が好きな相手が直接求める『綺麗』。どっち選ぶかは人それぞれやろうけど、やっぱ実際問題相手に好かれてなんぼのモンやろ」
烈:「なるほどなあ・・・」
不来:「・・・ところで質問なんやけどなあ烈。お前何そない真剣に聞いとるん? メモまで取りおって」
烈:「そりゃもちろん後々のために。もしかしたらこれから付き合う子の中にそういうケースがあるかもしれないだろ?」
不来:「ちょい待ちい!! 『これから付き合う』!? そないな事俺が許す思とるんか!?」
烈:「は? 何だよ? 恋愛は個々人の自由だろ? お前に止める権利はないだろ?」
不来:「ありやおおありめっちゃありや!! お前今自分が誰と付きおうとるかわかっとんのか!?」
烈:「え? 誰かいたっけ?」
不来:「フザけとるんやよなあ・・・? ホンマ頼むから『冗談』やって言うてやプリーズ・・・・・・」
烈:「どうしたんだよ不来? そんな地面にのの字書いて」
不来:「ああもう気にせんといて・・・・・・。もー俺お前とやってく自信ないわ・・・・・・」
烈:「? ふーん・・・」
ちゅv
不来:「〜〜〜〜〜〜////!!??
な、な、な、何しおる―――!!」
烈:「酸っぱ!! 不来!! お前ヤバいぞ!? 今すぐ行ってこい精神科!!」
不来:「ちょお待ちい!! こらお前がさっき罰ゲームや言うて酢一気飲みさせたからやろ!?」
烈:「大丈夫だ不来安心しろ!! 僕はたとえお前が太ってそのせいでテニスがヘタになろうが思いっ切り笑い飛ばしてやるから!!」
不来:「それのどこが『安心』なんや!! 今悲しみのあまりヤケ食いしよ思とったけど一気にぶっ飛んだわ!!」
烈:「ヤケ食い!? やっぱその後吐くのか指とか喉突っ込んで!!」
不来:「せん!! しとらんわ俺は断じて!! 確かにこの年末生がきに当たりおったらしく胃液まで吐いたけどな!!」
烈:「やっぱアレはお前が原因か!! 何が『田舎から送ってきよったからおすそ分けや』だ!! 豪のヤツ下痢と嘔吐で3日寝込んだんだぞ!? しかも治ったら治ったでアイツ僕が悪いとか怒り出しやがって!!」
不来:「お前食っとらんのか!? 全部弟に押し付けたんか!? お前にもたまにはええ思いさせたろ思て分けたんに!!」
烈:「別に普段からひもじい思いはしてない!! 第一寄越すんだったらそういう危険性のないやつ寄越せ!!」
不来:「何やと!? せやったら俺も言わせてもらうがなあ!! お前にこないだいらないからってもろた粗品のタオル! 洗ったらめっちゃ色落ちしたわ!! 周りの洗濯モン全部まっピンクになってもうたやん!!」
烈:「いいじゃないか染色の手間が省けて!!」
不来:「全然よくないわ!! ジャージまで一緒に洗っとったんやで!? 緑に赤混ざってめっちゃグロい色になってもうたやん!! 全然落ちひんし買い直して大損や!!」
烈:「それでも命には関わらないだろ!?」
不来:「関わっとるわ!! 買い直したおかげで生活費足りんで餓死すれすれやったんやで!? 挙句来おった天からの授かりモンで食中毒ってどない言う事や!?」
烈:「うわ・・・。お前年末は不幸だったんだなあ・・・」
不来:「しみじみ言うなや!! そもそもお前のせいでなあ―――!!」
烈:「ああわかった。うん。僕のせいにしてさんざんわめいていいからな」
不来:「は・・・・・・?」
烈:「まあお前も疲れただろ? 家寄っていけよ。おせちの残りだけどまだあるから。それ食べてゆっくり休めよ」
不来:「烈・・・・・・。
おおきにな」
烈:「いや気にするなよ。友達だろ?」
不来:「・・・・・・・・・・・・まあええけどな」
そして・・・
豪:「聞いたぞ不来!! 烈兄貴が珍しく豪勢なメシ用意したと思ったらあの生ガキお前の差し入れだったって!?」
不来:「そのせいで自分がどんなに苦しんだか言いたいんやろうけどなあ!! 俺かて同じメに遭ったんやで!? 大体カキにそないウイルス入っとるか見極められるワケあらへんやろ!?」
豪:「いーやぜってーお前わかってやってた!! お前俺がいつも烈兄貴といて邪魔だからって抹殺しようとしてたんだろ!?」
不来:「お前の想像力の何分の1かでええから烈に欲しいわ・・・」
豪:「ワケわかんねー事言って逃れようったってそうは問屋が卸さねえぞ!?」
不来:「大体やなあ!! それやったら直接烈に食わせて『看病』言うて入り浸るわそない遠回しな事やらんで!!」
豪:「何を―――!?」
烈:「―――はいはい2人とも落ち着いて。準備できたよ。さあどうぞ」
豪:「お! 出来たか兄貴!!」
不来:「おせち料理なんて食うのめっちゃ久しぶりや〜」
烈:「全部食べてねv」
2人:『いっただっきま〜す!!』
ぱくぱくもぐもぐもぐ。
2人:『ぐっ・・・・・・!!』
烈:「ああやっぱもういたんでたのか。今じゃ薄味とかやる分あんまり保存性よくないしなあ。
でも、
―――食ってくれてありがとうな残飯処理係。おかげで食べ物ムダにせずに済んだよv」
豪:「は、腹痛て・・・。気持ち悪り〜・・・・・・」
不来:「れ・・・烈・・・。お前復活した時覚えとれよ・・・・・・? 絶対泣かす・・・・・・!!」
―――Fin
―――なんだこの話Part2。全くもって『キス』からかけ離れております。とりあえず初夢話ですのでそれに絡んで正月ネタ。なおカキも関与した食中毒と色落ちネタは実話です。姉は何度洗ってもピンクが落ちていくタオルを前に途方に暮れたようです。『ビューティータオル』と印字されてましたが、一体何が『ビューティー』なのか・・・・・・。
2005.3.6