テニス齧り始めの高校生(虎跡に遭遇)


 ストリートテニス場で、私は友達とテニスの練習をしていました。とはいってもまだまだ素人2人。一応それっぽくこんなトコに来たものの、コートを使うなんてまだまだ夢の先。
 「いつかあんな風に上手くなれたらいいねー」
 「そーだねー」
 コートの端で打ち合いながら、友達とそんな会話をしてみたり。台詞が間延びしてるのはコートで試合している大学生っぽい人を見てたから。
 でもって打ちながら見て話してなんてしてたらもちろん・・・
 「あっ・・・!」
 ・・・打ち損ねた球は、私の後ろをてんてんと跳ねていった。跳ねていって、
 「―――ん?」
 そこにいた人の足にこつんと当たった。腰を屈め、ボールを拾う。
 「すいませーん」
 謝って近付く。近付いて―――私はびっくりした。顔を上げたその人。すっごいカッコいい!! サラサラの銀髪に整った顔。そんなに背は高くないけど手足もすらっと長くてスリム。ぱっと見モデルさん。こんな人がやってたら写真集買うの決定!!
 「あ、あの・・・ボール・・・・・・」
 どぎまぎしながら話し掛ける。ああ・・・絶対顔赤いだろーなあ。
 「ああ、これですか?」
 その彼は、顔の造作を崩さない柔らかい笑みを浮かべボールを差し出してきた。あ、鼻血噴きそう・・・・・・。
 向こう側では友達が燃える目つきで私を見ている。をを? やったね役得ダヨvv
 と―――
 「よお佐伯。もう来てたのかよ。早ええな」
 「ああ景吾。俺も今来たばっかだぜ?」
 階段を上ってやってきた・・・・・・うわこっちもカッコいい人。類は友を呼ぶのかしら。とりあえずそんな景吾さんというらしい人(苗字で呼ばれないからそのまま下の名前で)に、問題の佐伯さんは私に向けたのとはちょっと違う笑みで話し掛けた。
 「んで? てめぇ何やってんだ?」
 「別に? ただボール飛んできたから拾っただけ。
  ―――はい、どうぞ」
 「あ・・・ありがとうございます//」
 極上の笑みを向けられ、しかも渡された時手が触れ合っちゃったりで、私は心臓ばくばく状態でお礼を言った。・・・なんでか後から来た景吾さんに睨まれてるような気が。でも元からキツそうな顔の作りだし・・・・・・。
 「それじゃ」
 軽く手を上げ去っていく佐伯さんに、こっちもお辞儀をして応える。踵を返す後ろで、こんな会話が聞こえてきた。
 「な〜に怒ってんだよ景吾」
 「うっせーな。別に怒ってなんてねーだろ?」
 「はいはい。景吾は可愛いなあ」
 「・・・・・・むしろてめぇに怒んぞ佐伯」
 「ははっ」
 ・・・・・・やっぱさっきのは気のせいじゃなかったみたい。





△     ▽     △     ▽     △






 その後、こっちは気のせいには全然見えない感じで怒る友達をなだめてまた練習。佐伯さんと景吾さんはのんびりしていた。大きなテニスバッグ持ってるからてっきりテニスをしに来たのかと思ってたんだけど、でも何かやる様子もない。まあコートも脇も埋まってるからかもしれないけど。
 暫くやってると・・・
 「ねえ君たち」
 「君たち高校生? 凄く可愛いね」
 「どう? 俺たちと一緒にやんない?」
 ―――こんな風に声をかけてきたのがあの2人だったりしたら友達と一緒に思いっきり頷いてたけど、残念。近付いてきたのは普通の大学生位の人達だった。
 「えっと・・・あの〜・・・」
 いきなりのナンパに詰まる私たち。哀しい自慢として、私はこんな風に声をかけられたのは宗教勧誘とアンケートと怪しい仕事案内除いて初めて。何をどうすればいいのかよくわからない。
 と・・・
 「アタシ達相手いますのですいません」
 「え゙・・・・・・?」
 私よりは慣れている(自称)友達が、笑顔でしゃあしゃあと言い切った。よくよく考えると『相手』ってお互いの事指せば、友達の言い分に別に間違いはなかった。けどパニくってそこまで考えられなかった私。2人しかいないけど・・・?という意味で声を上げてしまった。
 「(何やってんのよ!!)」
 「(ご、ごめん!!)」
 アイコンタクトで謝っても既に遅し。2人きりだと悟ったらしい男らは下卑た笑みで近付いてきた。
 「女の子2人ならさ〜。俺らも2人だし?」
 「丁度いいじゃん。一緒にやろーぜ?」
 凄い馴れ馴れしい感じに嫌悪感が沸く。あまりの嫌悪感に、
 私は思わずやってはいけない事をやってしまった。
 「わ、私たち本当に連れいるんですよお〜?」
 ・・・口調のおかしさは動揺の現れ、という事で。
 「はあ? どこに?」
 「え? ここに」
 友達以上のしれっとさで言う。佐伯さんと景吾さんを指し示して。
 「は・・・? アレ、が・・・・・・?」
 「そーです!」
 争いに気付きこちらを見てくる周り・・・・・・と全然気にしてくれない佐伯さんと景吾さん。男らもこの薄情さにさすがにたじろいだ。こーなったらもう後には引けないヤケクソだ!!
 全力ダッシュで佐伯さんに近付き、何か言われる前に腕をぎゅっと絡めた。
 辺りの空気の温度が一気に下がる。すっげー寒い中、私はそれでも頑張った。
 「えへv どうだった私たち?」
 媚びた事なんかないから何をどうすればいいのかさっぱりわからない。とりあえず世間一般で言われる『バカ女』の典型っぽくちょっと引きつった笑顔で迫った。
 目では真剣に訴える。お願い助けて下さいと。
 それが通じたのだろうか、
 「てめぇ・・・・・・」
 何か言いかけた景吾さんを小さな手の振り1つで抑え、佐伯さんはするりと抜いた手で私の頭をぽんぽんと撫でてきた。
 「うん。なかなか良くなってきたんじゃないかな?」
 「ホント? ありがと〜vv」
 佐伯さん親切だ!! こっちの事情を察したのか、ちゃんと知り合い風に会話してくれた!!
 男はなおも訝しげに、
 「そこのテメー、ホントにそいつの知り合いか?」
 「知り合いですけど? 何か?」
 そして佐伯さんクセ者だ!! 1%のためらいもなく嘘ついた! 目も泳いでないし!!
 即答で返され困り果てる男ら。
 数秒後、へっ、と笑い・・・
 「・・・まあ、テメーらが知り合いかどうかなんて大した問題じゃねえよ」
 ・・・そういう結論にたどり着いたらしい。
 「俺ら今この子ら誘ってんだけどよ。テメーらほったらかしなら別にいいよな?」
 「よくありませんよ? ただ彼女達が『2人で練習して上達するんだから』と意気込んでいたので別々になっていただけですから」
 「・・・・・・よくわかんねーんだがその理屈」
 「意地っ張りって大変ですよね。教えようかって言ったんですけど嫌がられて」
 「んじゃやっぱいいんじゃねえのか?」
 「よくないって言ってるじゃないですか。俺らは頑張って練習している彼女らを温かく見守っているだけで他の男に連れて行かせるのを奨励しているワケではありません」
 うわ・・・。佐伯さん怖ッ! 綺麗な顔で凄まれると怖さはひとしお。ビビッて男らも引いていって・・・・・・
 ―――あ、戻ってきた。
 「そう言われてハイそーですかなんて引けるかよ。こーなったら勝負だ! テメーらと俺ら、勝った方がこの子らと一緒になるって事でどーだ!?」
 確かに『意地っ張りって大変』らしい。『プライドの高いの』って言った方がいいか。
 「いいですよ? 何でにします? 口ゲンカ? 殴り合い? ガン付け凄み? それともナンパ対決?」
 うわ〜。佐伯さん肝据わりすぎ。見事なまでに相手逆上させてるし。でもってナンパ対決なら確実に圧勝だと思う・・・。
 「テニスでだ!!」
 「あれ? でもコート埋まってますよ?」
 「ンなモンどかせりゃいいんだろ!? オラテメーらどけ!!」
 男らがラケットを振り回してずかずかコートに入っていく。明らかなマナー違反。それでもさっきからの争いはみんなも気付いていた事だし、巻き添えを嫌いコートで練習していた人たちも大人しく引き下がっていった。
 「テメーらも早く来いよ!!」
 「じゃあ準備しますので少しお待ちください」
 手を上げ適当に制し、佐伯さんたちはごそごそとバッグを漁った。ちなみに実は彼らは制服姿。テニスウェアの一同の中では力いっぱい浮いていた。今更ながらに思うけど、本当に何しに来たんだろうこの人達・・・・・・。
 そんな疑問は脇に捨てて。
 「本当にごめんなさい、巻き込んでしまって」
 「いえ、いいですよ。大変だったでしょうああいうのに絡まれて」
 ああ佐伯さんありがとう・・・。これで本気で迷惑そうな顔されたらどうしようかと思った。
 「けどよお佐伯、何時から俺らとコイツらが知り合いになったよ?」
 ・・・あ、景吾さんすっごい迷惑そうな顔してるー。
 どちらかというとこっちの方が反応としては普通だから軽く流して。
 「ホラ、昔から言うじゃん。『袖擦り合うも多少の縁』って。ちょっとは親しくしておかないと」
 「腹の底から意味間違ってんぞ」
 「俺は輪廻転生をそこまで信仰してないからな。現世を重んじればこれでもいいだろ? それに『情けは人のためならず』とも言うし」
 「それに関してはぜってー意味間違ってねえだろうなてめぇは」
 「ああもちろん。何せおかげでコートが早く使える。よかったよかった」
 今何か・・・・・・知ってはいけない真実を知ってしまったような気がする。きっと気のせいだろううん。





△     ▽     △     ▽     △






 そんな感じで試合が始まりそして終わった。ダイジェスト―――ではなく普通に見ると、
 「フィッチ?」
 「どっちだと思う景吾?」
 「ラフ」
 「んじゃスムースで」
 「おい!」
 「よし当たった。さっすが景吾。トス外しではラッキー千石に退け取らないぞv」
 「嬉しくねーよ!」
 「とりあえずサーブ権もらいますという事で。
  じゃんけんぽん」
 「くっ・・・!!」
 「ほんっとお前全般的に弱いなー。じゃ、俺からサーブな」
 「ああもーさっさとやれよ」
 「んじゃやるけどその前に1つ。ボールは敵に当てるものだぞ味方じゃなくって
 「そん位わかってるに決まってんだろ!?」
 物騒なやりとりが行われ・・・
 ・・・そしてその通りの試合運びになった。





 1球目。佐伯さんのサーブ。
 いきなりアンダーサーブだった。笑う男たちに佐伯さんが言う。
 「そのサーブ、
360度どこにでも飛びますのでお気をつけ下さい」
 「はあ? 何を―――」
 がすっ!
 レシーバーの言葉はそこで途切れた。足元から跳ね上がったボールに顎を打たれて。
 倒れる男に、佐伯さんが繰り返す。
 「ちゃんと忠告しましたよ? 気をつけてくださいって」
 だから文句は言うなと暗に告げ、
 佐伯さんが2球目を放った。倒れた1人は無視で。
 「うひょあっ!!」
 今度は何とか返せた男。ネットから浮いた球に、
 飛び上がったのは景吾さんだった。
 「ほらよっ!」
 飛び上がって打つ、ドライブボレー。強力なスピンのかかった球は、男の手からラケットを弾き飛ばすだけでは飽き足らずそのままみぞおちにまでぶつかった。まあラケット越しだからちょっとは威力も拡散されたか。
 ちなみにこんな風に解説する私。テニスをやるのはほとんど初めてだけど、弟が某テニスの名門校にいたりするおかげで見るのは慣れてたり。弟曰く『スポーツ解説者の典型』だそうで。そう馬鹿にする弟への反発心でテニス始めました!
 ・・・こんな私の話はどうでもよくて、かくて1セットマッチだったような気のする試合は開始僅か2球、時間にして
38秒で終わりを告げた。
 呻き悶え苦しむ2人を脇に蹴転がし、
 「肩慣らしにもなんなかったな」
 「まあいいじゃん。さっさと終わった」
 「んじゃ丁度コートも空いたみてーだし、さっさとやるか」
 「そうだな」
 そう言い、2人はスポーツタオルを手にコートに入った。
 「本気でやんのか景吾?」
 「ったりめーだろ? 俺様が不二に負けてたまっか・・・!!」
 「いや何でも勝てばいいって問題でもないと思うけどな」
 「ああ? てめぇ不二の味方だってか?」
 「当たり前だろ? 何今更確認してんだよ?」
 「・・・・・・。ああそーだな。何今更確認してんだろーな俺は」
 「でもまあ、俺も面白そうだからやってみよ」
 と、佐伯さんは手に持っていたタオルをたたみ出した。帯状に細長〜く。
 景吾さんも同じようにたたみ、それを顔に巻いた。というかそれで目を隠した。
 「んじゃ行くぞ〜」
 「ああ」
 目隠しプレイ! こういうとヤバいけど!!
 驚く周りを他所に、2人は本当に目隠しをしたまま打ち合った。ちゃんとラリーになってる。しかも動き回って。
 「嘘! 何で!?」
 友達が声を上げた。私だってもちろん上げた。向こうでは、さっきの試合が満足いくものではなかったかケチをつけようとしていたナンパ組が大口を開けて固まってた。まあ完全にレベルが違うって事見せ付けられればそうなっても仕方ないか。
 「つーか佐伯、てめぇ目が武器だなんて言ってなかったか?」
 「言ったな。だから目以外が発達した」
 「どーいう理屈だそりゃ」
 「何のために剣道やってたと思うんだよ? 剣道なんて目ほとんど使えないぞ?」
 「そういやそうだよな。面でほとんど隠れるしな」
 「得意分野を伸ばすのも大事だろうがむしろそれ以上に苦手を突かれるとムカつく。だから得意潰しの剣道に走った」
 「前から何でよりによって剣道なのか不思議でたまんなかったが、今のでよく納得した」
 「じゃあそういう事で」
 目隠しをしていたからには頼りは耳だと思うんだけど、その耳を塞ぐ形で会話をしていた2人。やっぱり会話をしながらではさすがに無理があったのかと思いきや、
 いきなり前に出だした。しかも2人揃って。
 ネット際での激しいラリーの応酬。多分ほとんどの人は目で追うだけで精一杯。なのに見てすらいない2人はその中にもジャックナイフだの超アングルショットだの平然と技を繰り出す。本っ気でこの辺りにいる人達とレベルが違うと思う。テレビでだってめったに見られない位だ。
 と―――
 詰めていた佐伯さんがついに『仕掛けた』。大きく息を吸い――――――一気に吐く!!
 「
わっ!!
 「―――ってンな古典的なテに俺様が引っかかるか!!」
 ぽ―――ん・・・・・・てん・てん・てん・・・・・・
 質問。今の2人のやりとりで私はどこを取り上げるべきでしょうか?
 とりあえず景吾さんがツッコミを入れる間に佐伯さんが打ったロブは、しっかり景吾さんのコートに入っていた事だけは報告するとして。
 「ははははははは。や〜いや〜い引っかかってやんの〜♪」
 「うお腹立つ・・・・・・!!」
 目隠しを外し指を差して笑う佐伯さん。こちらも目隠しを外しぶるぶる震える景吾さん。
 「というワケで、《輝け! 第一回目隠しプレイ大会》勝者は俺で決定な」
 「誰が納得するかンな負け方!!」
 「あれ? おかしいなあ。仁王直伝『相手も納得せざるを得ない自爆誘導テク』その
38だったのに・・・・・・」
 「他に何教わったあと
37・・・・・・!!」
 確かに疑問だ。すっごい知りたいあと
37かそれ以上・・・・・・。
 「よし。じゃあ勝敗がはっきりしたところで帰るか」
 「そうだな」
 は? 今ので終わり? いや自爆誘導テクじゃなくってテニスの方。
 疑問な私をもちろんほっぽって、2人はラケットをいそいそとバッグにしまい込んだ。そのまま本当に去っていく2人を見送り・・・
 「―――あ」
 「え?」
 「お礼言わなきゃ。助けてもらったんだから」
 「あ・・・」
 私たちは2人を追う事にした。ゆっくり歩いているようでさすが脚が長い。全力ダッシュでようやっと追いつきそうになった木陰で。
 「で、俺が勝ったぞ景吾v」
 「・・・・・・。ああそーだな」
 「忘れた振りしてしらばっくれるなよvv?」
 「この俺がンな事するワケねーだろ!?」
 「じゃあさっそくvv」
 「今ここでかよ・・・。家帰ってからでいいじゃねえか」
 「ヤだ」
 「・・・・・・何歳児だてめぇは」
 「
14歳児」
 「ああもーいいわかったやりゃいいんだろやりゃ」
 「その棒読みでの開き直りっぷりがさすが景吾」
 「やっぱ止めるか」
 「『氷帝帝王跡部景吾様は自分で口にした約束すら守れないさりげにダメ人間』、と・・・」
 「何メモってやがる!?」
 「知り合いのよしみで柳にでも売ろうかと」
 「知り合いならくれてやれよ・・・」
 「そーか売ってオッケーか」
 「売んなンなモン!!」
 「『跡部様はワガママかつ不条理』・・・・・・」
 「増やすな!!」
 「ちなみに買い戻しは罰ゲームの2倍で手を打とう」
 「『佐伯は人の足元を見る最低な卑怯者』・・・・・・」
 「俺の項目増やされてもなあ」
 「どっちかっつーと柳も俺よりてめぇのデータの方がありがたがるんじゃねえのか・・・・・・?」
 「俺のデータはいいんだよ。お前が知ってさえいれば」
 「・・・・・・・・・・・・。よくそういう台詞素面で言えんな」
 「そんなノリでお前もvv」
 「いけるか!!」
 ひととおりそんなやりとりをして、
 なんと跡部さん―――景吾さんの名字ようやっと判明! 佐伯さんに合わせてこっちで行きましょう―――、佐伯さんの顔引き寄せてキスし出した!! それも一瞬だけじゃなくって、首に手回して本格的に!!
 佐伯さんも腰を抱いてそれに応じる。条件反射で時計に付いてるストップウォッチを押したところ、試合時間を余裕で越えて1分オーバー。辺りには特に跡部さんの刺激的な声が広がった。
 「・・・・・・・・・・・・ほらよ。これでいいんだろ?」
 糸を繋げながらにやりと笑う跡部さん。完璧誘った仕草に、佐伯さんもまた近づいて―――
 合計3分
53秒で2人はようやく離れた。佐伯さんは跡部さんの手にメモを押し込んで、
 「ま、お前の勇気に免じて、と」
 「バーカ。何言ってやがる」
 くつくつ笑い、今度こそ去っていくお二人様。去り際、跡部さんが私たちの方を見てへっと笑ってた。バレてた☆ 思いっきり。
 茫然自失といった感じで立ち尽くす友達。立ち直れそうにない彼女を横目で見やり、
 私は小さく握り拳を作った。
 (やった・・・! 新刊ネタゲット!!)



 以上。そんな私、特技:テニス(希望)、趣味:絵描きと本作りの妄想大好き腐女子による実録レポートでした。



―――Fin







 ―――ありふれたオチにてこんにちは。途中でいろいろ出てきたので紛らわしいでしょうが、この『私』、特に誰かポジション決めてた人ではありません。最初は千石さんの姉にしようかと思い、途中で出てきた『まだまだ』のフレーズにリョーマの姉という考えも出ながら何かテニスの説明するのに丁度いいから乾か柳の姉というのも捨てがたかったです。それで氷帝ジャージ着て偉ぶる跡部を見てようやく跡部の名字を思いつく、というのも。だからずっとサエが跡部を名前呼びしてたりします。ただしやりすぎるとメインがわからない上に制服のままテニスというのも好きなのでそのままにしましたが。
 ではこんな感じで通称『ドリー夢ストーカー』。正確にはドリー夢じゃないですがまだまだ続いていきそうです。

2005.4.2730