それは、都大会準決勝と決勝、そして五位決定戦を控えたある平日―――早い話が準々決勝後の平日の事。この日、風輪と千城は練習試合を行う事になった。
階 | |||||||||
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〜Bewitchers〜 | 〜Bewitchers〜 |
「―――こういう場合、普通学校で固まって入ってこないか? 『よく来たなー』『今日はよろしく頼むよー』(←両方低音で)って感じで」
「・・・どこのおっさん2人や?
それはともかく、言うやろ? 『勝手知ったる何とやら〜』って」
「それで堂々他校に乱入するお前もどうかと思うよ。よく警備員に止められなかったな」
「めちゃめちゃふっつ〜に入ったら全っ然止められへんかったわ。ココ、警備体制見直した方がええんとちゃう?」
「お前がよっぽど馬鹿に見えたんだろ。コイツなら入れても大丈夫だって」
「馬鹿の方が入れたらあかんのとちゃう? 最近そない犯罪多いしなあ」
「やっぱお前馬っ鹿だなあ。最近は頭のいいヤツの犯罪が多いんだって。だからみんなテレビの前で『あの子は普段良い子だったのに・・・』って言うんだろ?
良かったな? 間抜けに見られて」
「嬉しゅうないわ!!」
風輪校内にて。そんな、それこそ間抜けトークに花を咲かせるのはご存知お騒がせ2年生烈と不来。もちろん片方は風輪生ではなく、学ランの風輪内では哀しいほどに浮いたブレザーが彼を部外者だとより強調している。
が、
実のところ不来が簡単に入って来られた理由はそれこそ実に簡単だ。警備員が去年から変わっていないからだ。正確には―――去年もいた警備員に顔を覚えられるほど不来は有名だった(何で、かはあえて言わない)からだ。
こんな会話をしつつもちろん2人とも理由はわかって・・・・・・
「本気で何で入って来れたんだろうな?」
「風輪7不思議やな」
・・・・・・いなかったらしい。
気を取り直し。
「で、こっちが音楽室で、向かいが書道室な」
「案内されんでもわかっとるわ」
「そうだよなー。そうなんだよなー」
「・・・・・・何言いたいん?」
首を傾げる不来を、烈が後ろを向いてびしりと指差した。
「わかってんならあちこちうろつくな!! じっと待ってろ!! お前は近所の野良猫か!?」
「どない言う例えや・・・?
せやから言うたやろが。『勝手知ったる〜』って。案内いらんから代わりにうろついててもええやんか」
「よくない!! お前探すのにどれだけ手間取ったと思ってんだ!? 馬鹿と煙は上昇るって言うから絶対屋上のカギ壊して侵入してるかと思ったら1階にいやがって!!」
「仕方ないやろカギ頑丈にされてもうたんやから!! 本気で壊してもうたら絶対お前『千城学園中等部2年テニス部部員の不来裕也が練習試合にかこつけて風輪で暴れました』とか言うつもりやろ!?」
「そこまでわかってんならちゃんと壊して来いよ!! お前を大会出場停止にするまたとない機会だったのに!!」
スポーツマンとしてこの上なく最低な台詞を吐く烈。普段の彼にあるまじきこんな姿は、弟辺りが見ればさぞかしショックであろう。のだが。
異烈と不来においてはこれが普通である。ポイントは『如何に相手に屈辱的な負けをさせるか』。そのためならばスポーツマンシップの100や200軽く捨てられる(もちろんさすがに実際はやらないだろうが多分)。
「まあそれはともかくな」
「何やそのあからさまな仕切り直し?」
不来の冷めた突っ込みは無視し、
烈はこの上なく綺麗に笑った。
「いなくなったお前探すの、何でか僕の役割になったのだよなあ。おかげで大変だったよいろいろ。
――――――この落とし前、どうやってつけてくれるのかなあ? ああ?」
「きゃ〜!! ぼったくりー!! 売り飛ばされる〜!!」
「誰がだ!! ていうか文章繋がってないし!!」
「何となくオモロそうな単語繋げてみたわ」
「ワケわかんないよ・・・」
ため息をつく烈へと、不来もまたため息で返す。
「お前も充分ワケわからんわ」
「僕が? どこが?」
「俺探しに来たんやよなあ?」
「いろいろ大変な思いして」
「んでもって、俺らこれから試合なんやよなあ? 練習試合」
「そうそう。そこでお前が再び僕にボコボコにやられるワケで」
「でな・・・」
烈の度重なるボケにはもう付き合わないことにして、さっさと結論を出す。
「部室で寝とった俺がなして今4階におるんじゃい!!??」
そう。2人が今いるのは校舎最上階である4階。しかも奥の方の特別棟。部室で寝ていた不来を発見したのならばそのまま外のコートへ出るだけでよかったはずなのだが・・・・・・。
一通り聞き終えた烈はぽん、と手を叩き、
「きゃ〜!! レイパー!! 襲われる〜!!」
「誰がや!? ちゅーか連れて来たのお前やろ!?」
「そんな事言って、ここで僕を手篭めにするつもりなんだね!? しかもいたいけな僕に『こんなところへ連れてきたお前が悪い』なんて卑怯な台詞言って!!」
「うあ寒ッ!! お前そのお目目うるうる似合わんなあ!!」
どごすっ!!
「さって問題も全部解決したところで」
「・・・・・・何もしとらんやろ・・・・・・」
「そういやお前学校の方どうだ?」
「無理矢理誤魔化すなや・・・」
「いろいろ大変だろうなあちこち転校して」
「そないに話題がんがん逸らしおったって俺は誤魔化されんからな」
「大変なお前に同情を送るよ」
「同情いらんから話題戻しいや」
「誤魔化されろよお前もいい加減に!!」
「逆切れして誤魔化そうとしたって無駄やからな!!!」
ぜ〜、は〜、ぜ〜、は〜・・・・・・
「(ふっ)、やるな不来。さすが僕の見込んだライバルだけの事はある」
「あくまでそーやって誤魔化そうとするその根性はさすがお前やな」
「まあ、もうすぐ試合始まるしいつまでもこんな事やってても仕方ないよな」
「せやからそうやって―――」
言いかけた不来の目の前に、
烈の手が翳された。ご丁寧に手首内側につけられた時計ごと。
「ホンマに時間ないやん!」
「な? そろそろ行かないと」
「せやな」
ばたばたと走り出し・・・
―――10歩進んだところで不来が止まった。
「ちょお待ちい烈!」
「ん? どうした?」
前を進んでいた烈が振り返る。
丁度階段を駆け下りていた最中。2・3段下で止まった烈をびしりと指差し、
「お前さりげにそーやって誤魔化そうとしておったな!?」
「はっはっはv 何の事だよ不来v そんなのお前の被害妄想だってvv」
「うあ・・・。説得力まるきし0」
「あのなあ。何勝手に断言して―――」
言いかけた烈の言葉が、ふいに止まる。
きょとんと見守る不来の前で、烈はなぜか階段を上がってきた。本能による反射行動で下がろうとする不来に構わず近寄り、
ぐいとネクタイを掴んだ。
「何や?」
見ようによらずともケンカを吹っかけるような態度。自然と不来の眉が険悪に寄る中・・・。
「お前さあ、千城に転校してどれだけ経った?」
いきなり烈はこんな事を訊いてきた。不来の眉が違う意味で寄る。
「に・・・2・3ヶ月・・・っちゅートコか・・・・・・?」
それが? と尋ねる前に。
烈は首を振り盛大にため息をついてみせた。
「そんなに経ったんだったらせめて制服はまともに着られるようになれよ」
「まともに着とるわ!!」
「どこが? だってネクタイゆるゆるじゃないか。縛れないんだろ?」
「何そっちこそ勝手に断言しとるん!! こらオシャレや!!」
「まともに縛れないのが?」
「ちゃう!! 大体ぎゅっと締めたら堅苦しいやん!!」
「そうか将来その位太るだろう事を考え・・・」
「そら『苦しい』やろ!? 俺が言うたんは『堅苦しい』や!! ちゅーかどこの世界のデブが元のサイズの2倍弱首周り太くなるん!?」
「ほら、太ってる人ってだんだん首がなくなっていくし」
「それにしたってもネクタイは毎日外すやろ!?」
「・・・・・・いや今の会話切り出しはお前だろ。
はいはいもうわかったからちょっとじっとしてろ。結び直してやる」
「は・・・?」
「他校訪問中ならちょっとは『堅苦しく』しろよ。何だれてんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
言い返したいことは富士山に投棄されているゴミ以上に多くあったのだが―――だったらお前も堅苦しくしろとか今これだけ騒いでたら今更かしこまったところで意味ないだろとかどうせすぐジャージに着替えるんだから誰も見ないだろとか逆にこの姿で入ってきたんだから既にいろんな人が見てるとかその他いろいろエトセトラ―――、一応烈の言葉も真理を・・・まあ1厘くらいはついているだろう。
「せやったら、まあ・・・・・・」
360度回転させたい勢いで首を傾げ、それでも一応不来は大人しく従った。
烈の手がネクタイに触れる。自然、開けられていた襟元から冷たい手の感触がひやりと伝わってきた。
顔を近づけてきた烈。丁度烈の方が1段下にいたため、近寄れば容易に胸元へと忍び込める。
温かく湿った吐息がかかる。さらさらの前髪もまた。
ネクタイを見下ろしっ放しの烈は気付かない。そんな彼を見下ろす不来の顔が赤くなっていた事に。
赤い顔を見られないよう首ごと視線を逸らし、
「あ、あんな・・・・・・やっぱええぐはっ!?」
「・・・っていうか・・・・・・ネクタイってどういう構造になってんだ・・・? ここ引っ張って・・・・・・あ、何かよけー絡まったような・・・・・・」
『結び直し』はどこへやら、なおもぎゅいぎゅい締め付ける烈。赤くなっていた顔が紫になり青くなったところで、ようやく不来は気道の確保に成功した。
「ちょお待ちい!! 烈!! お前ネクタイの締め方しらんのか!?」
「当たり前じゃないか。風輪学ランなんだから」
「親父さんのとかでは試さんかったん・・・?」
「豪がやって首締めて窒息死しかけて以来僕にも貸さなくなっちゃって」
「近頃の少年犯罪の原因の一部は危険物取り除き過ぎだからやっちゅー風にも思とったけど、やっぱあら間違ってなかったんやな・・・・・・」
「だろ?」
一体どこに自慢する要素があるのかは不明だが、自信満々に頷く烈に不来が覚えたのは絶望だった。
「や、やっぱええわもう・・・」
一応弱気に断ってみたりするが・・・、
「何言ってんだよ。一度言ったことはやるぞきっちり」
つまり烈はこういう性格だった。一度やり始めると何があろうと成し遂げようとするタイプ。それ自体は大いに結構だろう。『根気強い』とか『根性がある』とかいえるのだから。
―――さて、ではそれが過失致死計画だったらどうだろう?
不来は全てを諦め、とりあえず気道確保だけに全力を注いだ。ここでヘタに争い、勝ったならばともかく負けたならばその先には確実な死が待っている。ヘトヘトの心身で烈の『攻撃』をかわす事は不可能。ならばこうするしかない。
どれだけ地獄が続いたのだろう。ようやっとインターバル―――まず解き終わりが来た。
「よし! 解けた!!」
「って引っ張んなや!! まだ首かかっとる!!」
一難去ってまた一難。首にかけたまま両端を思いっきり引っ張った烈により、不来は絞殺に続き転落殺(などという言葉はないが)へと陥れられた。
慌てて手すりを掴む。意識は完全に烈から離れた。と・・・・・・
「へ・・・・・・?」
絶対避けるだろうと思っていた烈は避けなかった。どころかこちらを受け止めてきた―――唇で。
離れる。脊髄反射で手すりを掴んでいたからいいものの、脳で考え掴んでいたならば今の驚きで間違いなく離していた。
「な・・・、な・・・、な〜・・・・・・」
動揺というより混乱。何がどうなったのかがわからない。わからないあまりそれを言おうとして言えないのだから立派な混乱状態だ。
真っ赤な顔でぱくぱく口を開く不来を見て、烈はくすりといたずらっぽく笑った。手綱のように持っていたネクタイを手放し、言ってやる。
「この間の仕返し。やられっ放しは性に合わないからな」
軽く突き指す指の先で、ようやく事態を理解した不来がにやりと獰猛な笑みを浮かべた。
「は〜さよか〜。せやけどな〜烈。
――――――俺もやられっ放しは性に合わへんのよ」
「なら・・・、
やり返してみなよ」
囁くと同時、烈が足で階段を蹴った。ふわりと後ろに飛び上がる体。このままならもちろん着地と同時に転落だ。
「ハッ! 上等や」
鼻で笑い、不来もまた飛び出した。手すりを掴んでいた手を離し、落ちかけていた勢いを利用し烈よりも加速をつける。
空中で接触した2人の体。左手一本で腰を抱き引き寄せる。烈も特に逆らわず不来の首に両腕を回し抱きついた。
命綱代わりに後ろに伸ばしていた不来の手が手すりを再び捕らえ―――
どがっ☆
「は・・・?」
「あ・・・・・・」
ひゅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・
『うどわあああああああああ!!!!!!!!!!』
ずばたばたばたどたがしゃあん!!!!!
なかなか来ない2人とは関係無しに顧問の用事を片付けていた瀬堂と手伝いのせな。背丈より高く積み上げたダンボールを運ぶ最中だった2人に、こんな変則的な降り方をしていた2人に気付けというのがどだい無理な事。
何かを押したかなという衝撃に、体の向きを変えようやく前方を見やった2人の前―――というか遥か下にいたのは、
―――もちろん突き落とされ踊り場まで転がり落ちた件の2人だった。
「どうしたの? 2人とも」
目を見開き尋ねる。小さな動作だが、これは2人が十分に驚いている事を指し示していた。当然だろう。結果論のみで語れば烈を不来が押し倒している様など見てしまえば。
・・・・・・なお落ちていく最中の2名。互いに相手を自分の下に組み敷きクッション代わりにしようと暴れたならば、どうやっても最初から下にいた烈が不利になるものだ。
「―――ってお前いきなり何すんだよ!?」
「そら俺の台詞や!! 最初にやりおったんはお前やろ!?」
体勢の建て直しより傍観者への弁解よりまず相手への文句付けを優先させてしまった2人。これが更なる悲劇を生んだ。
無視される中、ぼそぼそと瀬堂とせなが会話しだす。
「やっぱそういう事だよねえ?」
「そうですね。毎度恒例烈君が冗談で誘ったところ不来君が本気で受け止め襲い掛かってきたといったところでしょう」
「そうだね。不来君も服装乱れてるしネクタイ外してるし、ヤる気満々って感じだね」
「じゃあ私達邪魔者はさっさと退散しましょうか、先輩」
「だね。部長達には僕から適当に言っておくよ。棄権するって」
「丁度よかったですね。対戦相手同士の棄権なら他には誰にも迷惑かけませんし」
「あはは。確かに。
―――じゃあ2人ともゆっくりしててね」
ぱたぱたぱた・・・・・・
2人の上履きの音が遠ざかっていってもなお、
「大体お前何僕下敷きにしてんだよ!? 普通自分が下になって僕守るモンだろ!?」
「はあ!? お前守るう!? なして俺がそないな事せんとあかんのや!! むしろ初めにやりおったお前が責任とって下敷きになりいよ!!」
何も気付かないまま、2人は不毛な争いを続けていた・・・・・・。
そして―――
都大会2日目。準決勝と決勝、そして五位決定戦[コンソレーション]が行われるこの日。
「じゃあ行くぞ、豪」
「あ、ああ・・・・・・」
「? どうした? 元気ないな」
「いや・・・。元気爆発な兄貴に比べりゃそりゃねえかもしんねえけど・・・・・・」
「??
―――まあお前が理解不能な行動するのはいつもの事だからな」
「・・・・・・」
決勝戦D1。ペアを組んだ星馬兄弟がフェンスをくぐろうとした―――ところで。
「―――烈!!」
「不来・・・」
勢いよく走りこんできた不来が、そのまま烈に体当たりを食らわせた。
「〜〜〜〜〜!!」
かろうじてふんばる烈。額に怒りのマークを携えた彼に気付くもなく、不来は笑顔でぎゅっと抱きしめた。
抱きしめ、
言う。
「勝ったで俺らコンソレ!! 関東行けるわ!!」
「ホントかよ!?」
「ほんまほんま!!」
「やったじゃんか不来!!」
文句も忘れ、烈もまた喜んだ。関東で参戦する強豪校が増えた事も指すがそれはそれ。他校とはいえやはり一緒に戦えるのだ。嬉しくないわけがない。
そんな感じで抱き合い喜び合う2人は気付かなかった。『元気のなかった』豪が今や完全に朽ち果てている事に。そして、風輪サイドでこちらを指差し何やら耳打ちし合っている者が多い事に。
千城戦の厄介さに比べれば準決勝も決勝も随分楽なものだった。負けても関東へは行けるという甘えをリラックスへと転換させた風輪は、波に乗り一気に相手校を片付けていった。
難なく優勝した風輪と敗者復活で関東進出を果たした千城。2校は成り行きで合同打ち上げを行う事となった。
そして、
―――真の問題は、この合同打ち上げて勃発した。
代表して、乾杯の音頭を取る事になった風輪部長の加瀬。中学生のアルコールは禁止なので並々とジュースを注いだコップを掲げ、
「んじゃ、風輪の都大会優勝と千城の関東進出、でもって晴れて婚前交渉を終えた烈と不来を―――」
『祝うなあああああああああ!!!!!!!!!』
「何の話ですか加瀬部長!!」
「男同士の結婚が無理な時点で『婚前』もクソもあらへんと思いますがそれ以前の問題で俺と烈はまだそないな事しとりません!!」
「今更な〜に照れてんだよお前ら。ちゃ〜んと証人はいんだからな」
「そうそう2人とも」
「あの時の事は全員に正確に伝えておいたから安心していいよ」
「瀬堂先輩もせなさんも!!」
「一体どういう何を正確に伝えおったんですか!?」
「もちろんこの間の練習試合時、特別棟4階階段踊り場で不来君が烈君を押し倒していた事を」
「2人とも凄いわねえ。あんないつ人が来てもおかしくないところで」
「きっとスリルを楽しんでいたんだな。さすが普段から普通では飽き足らないお前らだけある」
「だからといってよりによってこんな時期にですか? 学校側にバレたら退部どころか2校とも大会出場停止ですよ」
「ま〜そう硬い事言うなって直也も。いーじゃねえか若い内は無茶の1つや2つ」
「君ともあんまり年齢変わらないと思うよ2人とも」
「ぐっ・・・!!」
「あ〜・・・。烈兄貴〜・・・・・・」
むやみやたらな波乱を呼ぶ周り一同。既成事実とはいえここまで広がってしまえば最早取り消しは不可能なような気もするが、それでも2人は叫ばずにはいられなかった。
「それは誤解です!! 大体なんで僕が不来より下扱いなんですか!?」
「そこなんか問題点は!! どう考えたってお前の方が下やろーが!!」
「だからそれが何でだよ!! ライバル兼親友なんて対等な関係から始まった以上どっちが上になろうが普通じゃないか!! だったら僕が上になってもいいじゃないか!!」
「どこがや!? お前俺の胸で大泣きしたったクセに!!」
「な//!? あ、あれは事情によりきりだろ!?」
「動揺した動揺した!! つまりそこに関しては否定せんのやな!! しかもそういう女々しい真似したった方が下やっちゅーんも!!」
「それとこれとは話は別だろ!? お前の胸で泣いたのは認める!! けどそのたった一度の過失で今後の人生全部を棒に振る気はない!!」
「ハッ!! な〜に甘っちょろい理論ほざいとる!! 一度のミスで人生終わりはスポーツ選手なら当たり前やん!!」
「恋愛とスポーツは別物だろ!? それにスポーツだって『敗者復活戦』っていうものがあるんだ!! さらにケンカした互いに『仲直り』っていうチャンスがあるのと同じように、僕にも立派なやり直しを要求する!!」
「せやったら受けたろやないかその『やり直し』!! 何回やりおっても俺の上は変わらんわ!!」
なおもぎゃいぎゃいやる2人を見て、没していた豪が戻ってきた。こんな台詞と共に。
「・・・・・・実は仲悪くねえか? この2人・・・・・・」
―――ばかし合い 終わり
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
サブタイが『ばかし合い』と半端にひらがななのは、『化かし合い』と『馬鹿試合』どっちでもいいからです(爆)。本気でコイツら何やってんだろう・・・? といった感じで。
そんなこんなでついに来ました! かつてBBSで盛り上がり、最近メールでも盛り上がった階段突き落としネタ(誤)。何とかちゃんと不来×烈にしてみました! そしてついに不健全路線を!?・・・・・・行きそびれましたね。不来もちったあ頑張ったようですが・・・・・・。なおどうでもいいですがキスよりも殺人未遂被害者の回数の方が多い不来・・・。さりげにこの人不幸だなあ・・・・・・。
さって序章も終わりこれから本編だ! と散々言っておきながら今だ序章です。序章を『都大会編』と銘打ってしまったおかげでどうやってもこの話は『序章』なんですよね。というかコレが本編1話目だったらそれはそれでイヤですが。
そしてこんっどこそ! ついに本編始まりです。とりあえず現在、かなりメインで1人、またインターミッション的扱いで1人、新キャラを出そうかと画策中。くっついているようないないような微妙な関係のままの不来×烈コンビに、早くも最大のピンチ到来!? 現れる新キャラを前に2人+その他はどう立ち向かう!? そしてこのシリーズというか烈含む(爆)オリキャラら。いろんなタイプがいるようで、その実区分けすると2・3タイプしか存在していないような気がします。さあ、新キャラは新たな境地を切り開けるのか!? なお注。もしかしたら本編けっこー暗くなるかもしれません。実は序章も読みようによっては相当暗いんですけどね。そういった重苦しい感じで。なのでこれからもWeb拍手御礼SSだのその他だのに突発的バカ話が出てきそうです。皆様、そちらもぜひどうぞ(と宣伝してみたり)vv
2005.1.7〜3.20