SQUARE






 
WGPも2回目を迎え、ここアメリカの地では1回目にも増して強力なミニ四レーサー達が集結していた。これはその宿舎にての出来事。





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 練習の合間に宿舎のカフェで一息ついていた時の事。ココア片手にほーっと息を吐く烈の方をせなが叩いた。
 「ねえ烈君、1つ聞きたいんだけれど・・・?」
 「何
 脇に置いておいたクリップを片手に振り向く。クリップにはマシンやチームのデータが所狭しと書かれていた。
 先月ボルゾイが行った
WGPレイサー潰しの大会で、崖から落とされたソニックを守ろうとした結果またも怪我をし、リハビリ真っ最中の自分の代わりにWGPに出てもらっている彼女からの質問ならば、恐らくこの中に書かれているようなものだろう。そう見当をつけ振り向いたのだが―――。
 「―――昨日の夜中、エーリッヒ君と何やってたの? 泣きながら抱きついている様に見えたけど」
 『なにーーー!!?』
 その言葉に烈よりも早く反応したのは豪・ブレット・シュミットの3人だった。確かにここで休憩していたのは2人だけではなく、
TRFビクトリーズ・NAアストロレンジャーズ・アイゼンヴォルフの3チームだったのだが・・・・・・。
 (こんなにザワザワしてて、なんで聞き取れたんだろう、この3人・・・?)
 烈は思わずどうでもいい事を考えていた。その間にも3人は席を立ちあがり烈に詰め寄る。
 「・・・・・・で?」
 「どーゆーコトなんだ、烈兄貴?」
 「エーリに泣きながら抱きついただと・・・?」
 「そんなんじゃないって!!
 両手を振って必死に弁解する。と、今まで考え込むように眉を寄せていたエーリッヒが苦笑しつつ口を開いた。
 「ああ、あの事ですか。確かに見様によってはそうもなりますね。ですが―――」
 「
エーリッヒくん・・・?
 烈はエーリッヒを見てにっこりと笑った。その背後に怒気(というより殺気)のオーラを感じ、エーリッヒは顔色一つ変えず無難な方向に後を続けた。
 「―――まあ、私の口から言うのもなんですし、そういった事は本人に聞いた方がいいかと」
 『ふーん・・・』
 声をハモらせ、3人が半眼で烈を見る。
 (なんっっっで、そんなに聞きたがるかなあ・・・!?)
 不機嫌そうに口を尖らせ、烈は俯いた。言える訳がない、あの恥ずかしすぎる出来事を。思い出しただけで顔が赤くなるのがよくわかる。
 だがいつもとあまりにも違うその様子に不信感を持ってか、3人はより詰め寄ってきた。烈のこめかみに1本、また1本と青いものが浮かび、頬がひくひくと引きつり―――、
 「あ゙ーー!! もう だから大した事じゃないって!!」
 とうとう耐え切れずにイスから立ち上がり怒鳴った。
 「ジュース買おうと思って自販機のところでエーリッヒ君と会ったの! ただそれだけ!!」
 赤くなった顔を見られないようにと、そのまま踵を返し出口に向かう烈の耳に届いたのは、押し殺した低い笑い声だった。
 「・・・・・・何、ブレット君・・・!?」
 こめかみの筋や頬の引きつりをそのままに烈は振り向いた。一人背を向け肩を震わせるブレットを、豪とシュミットがあっけに取られて見ている。
 「エーリッヒ・・・・・・」
 バイザーを外し目に浮かぶ涙を拭いながら、今にも掴みかかろうとする烈をあしらいブレットはエーリッヒに尋ねた。
 「もしかしてその時、後ろから声をかけたりしたのか・・・?」
 「ええ、まあ。まさかあんな事になるとは思わず・・・」
 「そんなに笑う事ないじゃないか! 本当に苦手なんだから!!」
 早くも事態を飲み込み笑うブレットと苦笑するエーリッヒ、そして顔を真っ赤にして怒鳴る烈。一体何の事かわからず、他のメンバーはきょとんとした。
 「自販機で見かけた時、フラフラしていましたし、まだリハビリ中のようでしたから。下手に呼びかけたりするとバランスを失って倒れてしまうかと思って、支えられるようにすぐそばまで寄ってからこえをかけたのですが・・・」
 「・・・・・・なるほど」
 「そーいうコトでげしたか・・・」
 ブレットに続き、事態を理解したJと藤吉が沈痛に頷いた。2人は烈と目を合わさないようにして呟く。
 「まあ確かに、烈君には相当なショックだったんだろうね」
 「治ってなかったんでげすな、ちっとも・・・」
 「どーゆーコトだよ
 未だに理解できていない豪と、最早怒る気も失せたのかがしがしと荒々しく前髪を掻き上げる烈を交互に見て、Jは続けた。
 「ホラ、自販機の辺りって、夜中ほとんど明かりが消されるから」
 「あ・・・・・・」
 ようやくその言葉に納得いった豪は烈を見―――大爆笑した。
 「あ,兄貴情けねー! 
12にもなってまだ怖いのかよ!?」
 「うるっさいなー!! 嫌なものは嫌なんだ!!」
 弟の爆笑ぶりに先程以上に顔を赤くし、普段からは考えられない程混乱した台詞を口にする烈に驚きながら、ミハエルはエーリッヒの肩をちょんちょんと叩いて尋ねた。
 「結局どういう事なの?」
 「レツはかなりの怖がりだったようですね。昨日はその事を知らず、すぐ後ろから声をかけてしまい・・・・・・。
  ―――相当驚いたのでしょう、声一つ上げず気絶してしまいました」
 「・・・・・・じゃあ、私の見たのは?」
 「暫くして気付き、最初は慌てふためいていましたが、何とかなだめると安心して泣き出し―――」
 『・・・・・・・・・・・・』
 最早かける言葉すら思いつかず、事態をやっと飲み込んだ全員は今だ騒ぎ続ける3人をただ唖然と眺めるだけだった。
 「だって、本っ当ーに怖かったんだよ!? 後ろから足音近付くし、体固まって後ろ振り向けないし――!」
 烈の悲しすぎる言葉は何時までもカフェに響き続けた―――。



HAPPY END(ってどこが!?)














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 本っ気で意味のない話でした。長編(?)2本を平行して書いていて、ふとバカ話が書きたくなったもんで。とりあえず『とにかく短く』の目標はクリア。ただしデキは最悪。何も考えずに書いたのバレバレです。
 設定は最初で少し述べたように
WGP中。微っ妙〜にMAXも入ってたりするのですが、これだけではワケわかりませんね。はっはっは。説明として、これは第2回WGPの最中。ボルゾイの世界進出(笑)の最中バトルレースを挑まれ、またもソニックと共に崖から落ちた烈兄貴。1ヶ月間の昏睡状態から何とか復活するも筋力ガタ落ち。レーサー復帰は先の先。ということで現在せなさんが烈の替わりに走ってます。彼女のマシンも元はソニックだったわけですから、たとえ進化していようがその特性は烈並にわかるので。それに次郎丸じゃソニックは使えないしね・・・。
 この話考えてる最中―――というよりこんなシチュエーションだったら烈兄貴は絶対こうなるだろうなと考えていたら、友達に後ろからいきなり肩を叩かれ、思い切り悲鳴を上げ周りの人ごと驚かせました。気絶しなかっただけマシ? いや真昼間の体育館でこんなコトやってる(悲鳴上げてる)時点で私の負けか・・・・・・。
 タイトルの
SQUARE〔4角形〕は、烈兄貴を中心にして豪・ブレット・エーリッヒ・せなの4人の事を指したんですけどねえ・・・。イマイチ絡んでくれないなあ。やっぱこの短さ+ギャグオンリーでは無理っスね。
 ―――そうそう、現在(パソ書き込み時)改めて読んでみると、烈兄貴素直だなあ・・・。逆のはずなのにむしろこっちがニセモノくさい・・・・・・。

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