乾汁。乾汁!?






 「じゃあ今日はカラーコーンでの練習。失敗した人は交代。で、今日はこの―――アロエジュースを飲んでもらう」
 そう言って乾の出した薄緑の液体にみんな首を傾げた。
 「アロエジュース?」
 「アロエって、あのヨーグルトとかにはいってるやつ?」
 「そう。そのアロエ」
 『・・・・・・』
 あっさり頷く乾に全員の不信感が募る。乾汁といえば正体不明の謎の液体。最近ではついに『野菜』の範疇も越えた筈! それが『アロエ』。極めて平凡な素材。しかもそれだけで一切のブレンドは無し。
 ((怪しい・・・・・・))
 そう思っても当然だろう。その上―――。
 「何か小さくないっスか? そのコップ」
 「1日
30mlが原則だからね。大量に飲むと腹を下すらしい。まあ適量を守れば体にいいんだけどね」
 『・・・・・・・・・・・・』
 全員の眉間に手塚並のしわが寄る。
 (あの乾が・・・?)
 (そんな普通のものを・・・?)
 だが風に乗って漂う香りはアロエのものである。
 (けど乾だし)
 (匂いはアロエの謎の液体なんてものも・・・・・・!)
 「他に質問がないなら始めるよ」
 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 質問どころが多すぎて逆に何も言えないのだが、そんなこんなで練習は始まってしまった。







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 ・・・・・・というわけでやはり今回もまた手塚以外全員が失敗した。ちなみに今回またも不二はわざと失敗したようだがそれは置いておくとして。
 「じゃあ手塚を除いて全員これを一気に飲むように」
 と、指3本で摘める程度のコップを渡された全員の顔には安堵と恐怖がごちゃごちゃに浮かんでいた。
 謎の液体―――通称『アロエジュース』。色・香り共に異常はない。
 しかし出すのはあの乾。これだけで疑うには十分である。
 「あ、みんな飲むときは鼻をつまむといいよ?」
 なぜかそう助言したのは不二。言いつつ本人は鼻をつまむ事無く飲み干してくれた。
 「・・・・・・ちなみに味は?」
 英二が尋ねてみる。
 「おいしいよ?」
 『・・・・・・・・・・・・』
 この発言を全く役に立たない物と取るかそれとも役に立つ物と取るかそれは人それぞれであろう。不二の「ウマい」ほど当てにならないものはないが、逆にあの不二においしいと言わせるものが如何なる物か想像するのもまた良し。
 「じゃあ手塚を除いて全員これを一気に飲むように」
 乾の情け容赦ない追い立てに、ついに全員覚悟を決めそれを口にした! もちろん鼻はつまんで!!
 「・・・・・・にゃんだ〜」
 「別にたいした事・・・・・・」
 は〜、っとそれを飲んだ6人が肩の力を抜き、呟いた。当然の事ながら鼻を摘んで手を外して。
 「な・・・い・・・・・・」
 桃城の声が徐々に小さくなっていく。頬の肉がひくひくと痙攣している。
 「なん・・・なん、スか? これ・・・・・・」
 口の中を這い回る苦さを堪えてリョーマが聞いてみた。
 「だから、アロエジュース。ちなみにこれの提供者は不二だ。自家製だそうだ」
 『それを最初に言えーーー!!!』
 ごほ! ごほ! ごほ!
 咳込んでも唾液を飲み込んでも消えない苦さに異口同音に叫ぶ。恐ろしい罠にかかり生半可に鼻など押さえたせいで口中に充満するまで気付かなかった。
 そんな中、やはり1人平然としていた不二が恐るべき事を口にした。
 「けどこれ普通に売ってるよ? 僕の家では作ってるけどそんなに味違わないと思うけど」
 ((こ、こんなものを普通に売ってるのか・・・!?))
 一瞬苦さも忘れ思う。どうなってるんだ、この世の中? と・・・。
 『乾(先輩)のばかやろーーーーーー!!!!!!』
 水道へダッシュしながら叫ぶ6人。直接不二へ文句を言えないことに、一抹の虚しさを覚えなくもなかった・・・・・・。

おわる。









 

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アロエジュース。在ります実際に。友達の家に泊まりに行き、面白そうなので飲んでみました。30mlではなくちびりと一口。・・・・・・かなりタチの悪い代物でした。飲んだ瞬間「ぐはあっ!」っと激しく来る物では在りませんでしたが(いや規定量飲んでたらそうなってたかも)じわじわと口の中で何かが増殖していくようなそんな感じです。しかもなかなか取れないし。友達は取るためにカボス直接噛みましたし。
 今日はそのお泊まりの2日後です。できればその日に書きたかったのですが断念。なぜかこんな遅くなってしまいました。すんまそん―――と自分に謝りつつこの辺で終わりにさせていただきます。
 しっかしこの話本気でまとまりのない話だった。しかもどれを誰がしゃべってるのかわかんないし。あ、これはご自由に当てはめてください。まあ1・2年トリオにするにはメチャメチャタメ口ですが。次回はもう少しまとまりのある話を心がけます。

2002920