そして始まった『ロシアンわさび寿司ルーレットパーティー』。名前からして恐怖極まりないそれは、本当に恐怖極まりないものだった。
100%本当に嘘偽りなく真実であると太陽に向かって確証持って硬く誓えるそれは・・・・・・・・・・・・





殺シアン・ルーレット!








 「じゃあルールの説明をするわね。さっき言った通り、このわさび寿司はご飯に含まれるわさびの分量によってあたりはずれが決まるのよ。0%、
30%、50%、70%、それに100%」
 「だから
100%って・・・・・・」
 最早逆らっても無駄だと悟ったらしい裕太が、それでもとりあえず静かに突っ込みを入れた。もちろん無視されたが。
 「で、テーブルの真ん中に割り箸が刺さってるでしょう?」
 という由美子の説明通り、テーブルの真ん中には割り箸が入ったビンが置かれていた。各イスの前に箸(こちらは漆塗りの上品なもの)が用意されているのになんでこんなものがあるのかと不思議に思っていたのだが・・・。
 「その割り箸はクジになってて、当たりが1本だけ入ってるからそれを引いた人がお寿司を食べられるの」
  ((((『当たり』じゃねえ・・・・・・))))
 言葉こそ違えど、この時4人の思った事をまとめるとこんなものだった。
 さらに続く、由美子の説明。
 「で、当たりを引いた人がこのテーブルを回すのよ」
 言いながら、こんこんと形の良い指でテーブルを叩く。彼女が身を乗り出している食卓ではなく、その上に乗った回転テーブルの方を。
 自然、4人の視線がそちらに集中し―――上に乗ったお皿を見て即座に背けられた。
 「そして目の前に止まったお皿のものを食べる。好きなもので止まるよう少しだけ回してもいいし、上のお皿が飛んでいかない限りは思いっきり回しても大丈夫よ。
  ・・・・・・ルールはこんなものでいいかしら?」
 「うん、いいよ。姉さん」
 ((((よくない。よくないから・・・・・・))))
 またしても4人の―――以下略。そして当然の如くそれを口に出して言う勇気のあるもの―――というかはっきりと命知らず―――はこの場にはいなかった。
 「じゃあ始めましょうか」
  「「「「お〜・・・・・・・・・・・・」」」」







*     *     *     *     *








 1ターン目。
 「いきなり俺かよ!!!???」
 先端が赤く塗られた割り箸を手に、リョーマが一部人格を壊して怒鳴り声を上げた。
 「おめでとうv 越前君」
 「じゃあさっそく」
 にっこりと同じ笑みを浮かべる不二姉兄。それにさらされ、リョーマはだらだらと冷や汗を流した。テーブルを見る。回転テーブルの上には6個のお寿司。ネタの下にはもちろんわさび。
 (・・・・・・いいのないじゃん・・・!!!)
 トランプの『
51』や『川流し』などを彷彿とさせるこのゲーム。用意された寿司の数はどの%も同数である以上、結果的には公平になるのだろう。が、これらのゲームの特徴として当たりがない時はとことん来ない。トランプなどなら適当なカードと交換して次のターンを待てばいいのだろうが・・・・・・・・・・・・。
 ―――一番『適当』そうなもので恐らくわさび
50%。間違いなくこの1ターンで潰れる。
 (こうなったら・・・・・・!!!)
 ガララララ―――!!!
 「おおお!!! おチビ!! 勇気ある!!!」
 ヤケクソ気味に―――訂正。
100%ヤケクソで勢いよくリョーマがテーブルを回転させた。あわよくば皿が飛んでいってくれないか、などと願いを込めて回されたテーブルは・・・・・・一体どういうマジックかぴったりと皿を、そしてもちろんその上の寿司を貼り付けたまま、徐々に回転速度を落としていき・・・・・・。
 ぴたりと止まった。
 『・・・・・・・・・・・・』
 非常に嫌な沈黙に包まれる。リョーマの目の前に来たのは―――『
100%』のマグロ赤身だった。
 「さ、越前君v」
 笑顔で不二が迫る。その手には箸。『マグロ赤身』を間に挟み、リョーマの目の前にあった小皿からしょう油をつけ。
 「はい。あ〜んv」
 言葉とは裏腹に完全に固まったリョーマの顎を無理矢理開き、中に一気に突っ込んだ。
 「
ゔ・・・・・・・・・・・・!!
 くぐもった声を上げるリョーマ。その目が大きく見開かれ―――
 ずりずりと、小さな体がイスから滑り落ちていった。
 「おおおおおおチビいいいいい!!!????」
 「しっかりしろ!! 越前!!!」
 「死ぬな越前! お前にはまだ青学の柱としての使命が―――!!」
 倒れたリョーマを前にパニックを起こす3人。そしてそれを前に、
 「ふふ。じゃあ次行きましょうか」
 「楽しみだね。次は誰かな?」
  (((『何が』だよ・・・・・・・・・・・・)))
 ほのぼのとそんな会話をする変人2名。1名脱落後、遺された3名はやはり異口同音でそんなことを考えていた・・・。



―――続(2003.7.8)








 ―――いきなりあとがき乱入。初っ端のリョーマの悲鳴、ノリはオン・ザ・レイディオ4/
24(かな?)放送の『テニプリバスタイム』にて、「カルピンかよ!?」と叫んだ感じでどうぞ。お風呂場でタオルと間違えたんですけどね、アレめちゃめちゃ可愛かったですわ。本気でリョーマ叫んでますしvvv