D1。アメリカチームのグリフィー兄弟はイケメンらしい。






わんわん対決!






 入場してきた2人―――テリーを見て、英二が感嘆のため息をついた。
 「は〜。アイツどう見ても女の子じゃん」
 「見てみい。あのふくらはぎの腓腹筋」
 忍足に指摘され、視線を下へと下ろしていく。ちょっぴり嫌らしい感じのフレーズながら下へ下へ・・・・・・
 ―――下ろした先にあるのは、確かに『男の体』だった。
 「う〜ん・・・・・・」
 苦笑いして呻く。
 カメラの真似をするようにテリーに向け手を翳す。四角いフレームに収まるのは少女のような顔。
 「?」
 テリーもまた、疑問げに思いつつもサービス精神(というより反射的行動)で笑顔で手を振ってくる。
 振って―――
 「イマイチ」
 英二の批評に、ビキリと頬の筋肉を痙攣させた。
 気にせず、『フレーム』を動かしていく。アメリカチームを素通りし、日本チーム―――その1人へ。
 「やっぱ『女の子っぽい』って言ったら不二っしょ!!」
 『は・・・・・・?』
 それが、英二の結論だった。
 「え、英二・・・・・・?」
 いきなり顔を向けられ挙句そんな言葉。わけがわからず戸惑う不二に対し、周りの人間はワケがわかったらしい。あるいはこれを思考回路共有者[シンパシー]と呼ぶのか。
 「そうっスよね!? やっぱ女の子らしいって言ったら不二さんっスよね!?」
 「しかも顔だけじゃなくって体も合格っスよ!! 筋肉は目立たないけど引き締まった体は女以上!!」
 切原とリョーマが、それこそ珍しいまでにハイテンションなノリで同意してきた。
 「え、っと・・・、あの、2人とも・・・・・・」
 「それになあ―――」
 何か言いかけた不二を遮り、今度は忍足がトムを目線で指した。指し―――これまた日本チームへと動かす。
 「カッコよさ対決やったらそら跡部の勝ちやろ。ただの『イケメン』の優男やあらへん。一本しっかり筋の通った綺麗さ―――それこそ美学のなせる技やな」
 「だよねだよね!? なんて言うの? まさしく高嶺の花って感じ? この何者にも届かない気高き美しさがもー何とも!!」
 「うむ。確かにな」
 今度は千石と、さらに真田まで賛成する。
 「そーかい。そりゃありがとよ。ま、そもそも俺様をあんなヤツと比べる事自体が間違いだろうが、それでも一応礼は言っといてやるよ」
 「普通に乗るんだ、君・・・・・・」
 「何言ってやがるテメエら!!」
 不二の呟きは、またしても遮られた。今度はなぜかケビンによって。
 「ケビン・・・・・・?」
 グリフィー兄弟が訝しげに呼びかける。その顔は微妙に嬉しそうだ。ようやっと自分達にまともな応援が来ると思ったのだろう。
 が―――
 ケビンが指差したのはなぜかリョーマだった。
 「ただのショボい男とつまりは冷てえだけの男がどうした!! どっちも兼ね備えた究極の美が越前リョーマだろーが!!」
 「はあ?」
 ケビンの言い分に声を上げるリョーマ。しかしながらそれは、決して彼の猛烈アタックに戸惑ったりしての反応ではなく、
 「何言ってんのアンタ? 不二先輩に勝てる人がいると思ってんの?」
 「あの、越前・・・。今僕と天秤にかけられてるの君自身なんだけど・・・・・・」
 「そうだそうだ!! それに不二がただのショボ男なワケにゃいだろ!?」
 「そうだぜ! この人は普段笑顔なのにコートに入った途端に一変! 天使の笑顔と悪魔の微笑、2面性で言ったらこの人が最強に決まってんだろ!!」
 「せや! それに跡部かて冷たいだけのヤツやあらへん!」
 「そう! 跡部くんって言ったらアットホーム氷帝の大黒柱! みんなを導くお父さんと甘えさせるお母さんを両方こなし、その強さ逞しさ優しさ綺麗さについていく者は氷帝部員
200人だけじゃ飽き足らず!! 俺だってFanクラブ会員No.7の称号持ってんだからね!!」
 「うむ。その通りだ」
 「真田・・・。そこだけは突っ込ませてくれ。
  ―――てめぇも入ってんのか? 俺の
Fanクラブとやらに」
 「無論だ。ちなみに会員番号は
3894だ」
 「・・・・・・・・・・・・。ヤベえ。俺の
Fanクラブだってのにもう俺には何やってんだか完璧にワケがわかんねえ」
 「ちなみに今回の
Jr.選抜合宿。君の寝顔写真は1枚5万で売れたよ」
 「真田ー!! てめぇか撮ったの!!」
 「何の話だ」
 「てめぇだろーがあん時俺と同室だったのは!! ストーカーかてめぇは!!」
 「心外だな。撮ったのは俺ではない。忍足だ。俺はその手引きをしたに過ぎない」
 「だからどーした!? 手引きした時点で立派に同罪だろうが何堂々と言い逃れしてやがる!!」
 「あ、ちなみに不二、安心してv お前の風呂場写真は7万で売れたよv」
 「ねえ英二・・・。それ立派に僕の肖像権侵害なんだけど・・・・・・」
 「大丈夫。撮ったのはおチビだから」
 「それで何をどう―――」
 「日本の法律なんて知らないっスよ」
 「―――ちなみにそれ、法廷では通らないと思うよ」
 「おいお前ら!! 俺の話無視すんじゃねえ!!」
 「ウルサイ!!」





 なおもぎゃーぎゃー続く『何か』を遠くに見やり、不二がため息をついた。隣では抜け出した―――というかこの腐りきった会話についていけなかったらしい跡部もまたため息をついている。
 「ねえ跡部、訊いていい?」
 「ああ? 何だ?」
 「この勝負・・・
  ―――一体何の勝負?」
 「俺が知るかよ・・・・・・」



―――Fin










v     v     v     v     v

 はい。問題の? D1でした。『イケメン』と聞いて、テリーを見て、トムに移して―――「イケメン?」と鼻で笑ってしまった自分もどうかと思います。いやテリーはOKですが。アニメは完全に腐ってましたね〜。そんなにトム×テリーを布教させたいかお前ら! といった感じで。そしてテリー、『顔と言動が少女のよう』というより、あの口調ではただのオカマのような気が・・・。いっそ完全に女性言葉にするのなら一人称も『私』にしたほうが可愛かったような・・・。「僕〜なのよね」って・・・・・・。それこそ不二先輩からそれよりちょっとだけ女の子ちっくに、くらいでいいような・・・。
 そして『ひふく筋』。漢字がわからず調べてきました。教科書として解剖図持ってると便利だな〜。

2004.9.27