始まるS3、ボビー対千石の試合は、
初めから奇妙な様子を見せていた。
「(おい弱虫野郎。今からお前をぶちのめしてやる)」
「あっはっは。ゴメンね。俺英語苦手なんだよね」
かるちゃーしょっくブンカコウリュウ
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?「(ハッ! そうやってヘラヘラしてられんのも今のうちだぜ)」
「うっうっうっ。そんな事言われてもわかんないんだってば〜。
―――っていう感じで泣くからさ。ね?」
「(この俺と当たっちまったこと、後悔するんだな)」
「いっや〜。もしかして俺ってこの場に不釣合い? 確かにそうかもねえ〜・・・」
「(今すぐこの場で泣いて謝りゃ許してやるぜ。土下座は日本人の得意技なんだろ?)」
「そうなんだよ俺っていろんなトコの血混じってるから厳密には『日本人』じゃないんじゃん? って感じなんだけど、だからって別に外人っぽい事が出来たりするワケでもないんだよね。だから日本風に謝るよ。
いや〜。メ〜ンゴっv〔←パチンと両手を合わせ〕」
「(・・・・・・舐めやがって)」
「え? 何々? 許してくれる? 俺ってラッキー♪」
「(テメーおちょくってんのか!?)」
「うわっ! 何か怒った? おっかし〜な〜俺人受けは完璧なのに」
「(いい加減にしやがれ!!)」
「このいい加減さがまたいいって巷じゃ大評判なんだよ? でも代わりに『てめぇにゃ芯がねえのか!?』ってよく怒られるんだよねえ誰にとは言わないけど。
そ〜んな事ないって! やる時はやるよ?」
「(さっさとテメー本気見せろってんだ!!)」
「でもそうそう簡単に本気見せびらかしちゃったら興ざめじゃん? だからこうやってヘラヘラしてたりするんだよね〜・・・・・・って85%くらい嘘だけど。
けど世が求めるのってむっずかし〜よねえ。二面性? 2つの人格の間に差があればあるほど完璧なんだって。どうどう? 俺って完璧っしょ?」
「(がああ!! フザけんのも大概にしろ!!)」
「ええ!? 認めてくんないの〜? さっみし〜なあ。この位受け入れられなきゃ世の中楽しくないよ? ホラ怒ってないで。笑って笑って」
「(だから笑ってんじゃねえ!!!)」
「む〜。やっぱ言葉通じないと意志の疎通ってムズカしいねえ。
―――じゃそんな感じでよろしくv 楽しくやろうね〔←左手を差し出して〕」
「(ヘッ! 利き手は出さねえって事はやっぱテメーも警戒してるってか。いいぜ。警戒なんぞ無意味だって程に完膚なきまでに潰してやる―――)」
「あ〜メンゴ! 間違って左手出しちゃってたよ〜。しっつれいしっつれい。ついつい右手でラケット持ちっぱなしだったから。俺が友好崩してどうすんのさ、って感じだね。指摘してくれてありがと〜vv
んじゃ改めて、よろしくねv〔←ふつーに右手を差し出して〕」
「(・・・・・・・・・・・・もういい)」
? ? ? ? ?
「―――っていう感じ」
「ほへ〜」
千石同様英語の出来ない者たちのために臨時通訳として働くリョーマ。千石の台詞と彼の同時通訳を合わせ、一斉に(とはいっても3人だが)感嘆の声を上げた。
「すっげ〜千石」
「もしかしてこれもラッキーの力っスか?」
「かもしれん。まともに会話として成り立っていたな」
目を見開きそんな感想を洩らす彼らに、
跡部は思いっきりため息をついていた。
「にゃんだよ〜」
「バーカ。てめぇら本気で千石が英語通じねえと思ってんのか?」
「は・・・?」
「それって・・・・・・」
「つまり千石は、相手の言葉―――英語がわかっていたという事か?」
「ったりめーだろうが」
そんな普通に肯定されても・・・・・・。
当り前の話理解出来ない3人へと、不二と忍足が補足を入れた。
「千石君、少なくとも幼稚舎だけとはいえ氷帝出身だから」
「あの位わからへんとそもそも単位取れへんわ」
「単位?」
「氷帝は学園内だけで特殊なシステムを採用しているんだよ。それが幼稚舎から大学部まで一貫した単位制。普通に大学であるのと同じように、卒業するまでに一定数の単位が必要なんだよ。逆に次の分を先取りする事も出来るし。だから小学生と大学生が同じ授業を学ぶなんていうのもあったりするんだよね」
「その典型が跡部やな。単位数だけやったらとっくに大学部行っとるわ。
んで、一部『必須』がありおるんよ。英語はその筆頭やな」
「んでもって最終試験の課題は『1人3分スピーチとそれに対する審議』。もちろん全部英語だからあの位のレベルは出来なきゃこなせねえよ。ついでに千石は中等部の入試は落ちたが幼稚舎は一応卒業してる。けっこー単位落としたがそれでも必須は全部クリアしてな」
「そりゃあ君に合わせていろいろ取ればさすがに落とすよ」
「てめぇは全部取っただろ? 不二」
「さすがに同じ授業を2回受けたくはないからね。千石君と一緒に落ちたサエは『ひたすらヒマだった』って言ってたし」
ちなみにその佐伯が千石共々落ちた教科は―――跡部の『得意な』ドイツ語だったりする。実力では合格どころかAランク確実だったのだが、千石の一夜漬けに付き合わされ、試験中爆睡したのだ。だからこそ跡部はそんな佐伯を馬鹿にするために、得意科目としてあえてドイツ語を強調する。逆に佐伯に聞くと、『嫌いな』科目はドイツ語と答える(『苦手な』ではないところがポイント)。どうやらこれは彼の人生における最大の汚点のようだ。まあ余談だが。
閑話休題。
「じゃあ千石ってばわかった上でわかんないフリしてたの?」
「そりゃそうだろうよ。じゃなけりゃいくら何でもンなに会話合う訳ねえだろ?」
「でもじゃあなんで・・・?」
「あの会話聞いて他に何を求めるんだ? てめぇらは」
「からかい詭弁嘘八百は千石君の得意技だものね」
「何にしろ―――
―――アイツの相手はまともにしねえ方がいい。それが結論だろうよ今の会話は」
『確かに・・・・・・』
? ? ? ? ?
そして、
「ゲームセット! ウォンバイ千石! 6−3!」
「サ〜ンキュ〜サ〜ンキュ〜。いっや〜勝っちゃってわ〜るいねえ」
「(畜生! クソッ!)」
「あ、祝ってくれる? あ〜りがと〜vv」
最初の3ゲーム除き徹頭徹尾からかわれ続けたボビー。試合を終え、彼はこう洩らしていたらしい。
「(大嫌いだ日本人なんて・・・・・・)」
―――こうして、日米間の溝はますます深まっていく・・・・・・。
―――Fin
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アニプリ、千石さんが頭いい的設定がすっげーツボです! やっぱわかんのか素敵だぞさすがクセ者!! が、そうそう簡単に挑発に乗ってしまうのか・・・。しっかあああし! 次回というか29日放送はついにそんな千石さんの反撃劇場! わ〜思いっきり活躍して〜vvv てゆーか思いっきりからかって〜〜〜vvvvvv
2004.9.28