そして千石と佐伯は結ばれた。ついでに跡部と不二も結ばれた(「おい・・・」
By跡部)。










Rat

〜おまけ.対××〜







 
 
 
 
 
 
   




 全国大会も終え暇になった3年4人。これから受験本番とはいえせっかくの夏休みなので、4人でデートなどしてみる事にした。







§     §     §     §     §








 「なあ・・・・・・」
 「ん? 何だ? 跡部」
 ダブルデート開始数分後、どこへ行こうか盛り上がる千石と不二を横目に、跡部は佐伯へと耳打ちした。
 「不二ってよお、元々ああいうヤツなのか?」
 「『ああいう』? 周ちゃんはずっと周ちゃんだけど?」
 極めて当たり前の返答をする佐伯。抽象的過ぎてワケがわからないらしい彼にさらに説明を加えようとして、
 「っあああああ!!!」
 「―――っ!!」
 びくうっ!!
 「跡部ってば何僕ほっぽってサエとばっか喋ってるのさ!?」
 「ばっか・・・って、
  まだ2言しか喋ってねえぞ?」
 「それだけ喋ったらもう充分じゃないか!! それとも何!? もっと喋りたいって言うの!? 君は僕よりサエの方が好きなの!?」
 「何でそーなる!? だったら何か!? 喫茶店入って『すみません。コーヒー下さい。アメリカン』でもーアウトか!?」
 「そんなの一言『おいコーヒー!』で済むじゃないか!!」
 「そりゃただの失礼な客だろーが!!」
 「余計な事つけてそれだけ喋ってたいんじゃないの!?」
 「どういう妄想の賜物だ!!」
 「酷い〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
 じたばた暴れ、不二は佐伯に泣きついた。
 「酷いよねえサエ!! 今のは酷いよねえ!?」
 「そうだなあ。跡部、お前恋人として最低だぞ」
 「その『恋人』胸に抱きつかせるてめぇに言われたかねえよ!!」
 「そーだよサエくん!! 俺にはちょ〜っと抱きつこうとしただけで蹴りいれてくるクセに何で不二くんにはそんなにさせちゃうワケ!?」
 「周ちゃんなんだからいいに決まってんだろ!?」
 「理屈になってねーよ!!」
 「サエってばやっさし〜vv 跡部とはおおちがいー」
 「そうだよ周ちゃん。選ぶんならあんな男は止めておきなよ? すぐ不幸になっちゃうからね?」
 「うんvv」
 「勝手に別れ促すな!!」
 「だってサエは誰より僕を大事にしてくれるし何より僕を優先させてくれるし、メールも電話も毎日ちゃ〜んと応えてくれるし記念日は全部覚えてるしデートの時は僕だけを見てくれるんだよ?
  ホラ君とは大違いじゃないか跡部!!」
 「出来るかンなに!? 俺は忙しいんだよ!! しかも誕生日だの国民の記念日だのならまだしも『初めてメール
100文字以上送りました記念』だの『初めて電話して12時超えました記念』だの憶えてられっか!! 歴史の年号暗記じゃねーんだ!! ンなに祝いたきゃ366日全部アニバーサリーにしろ!!」
 「それいいね! ナイスアイディア!! さすが跡部!!
  じゃあそうしよう!! もちろんお祝いなんだから一緒にいてくれるよね!?」
 「ぐ・・・・・・!!」
 「じゃあさっそく今日は『4人で遊びました記念』でしょ? 昨日は『遊ぶ相談しました記念』。一昨日は―――」
 「ああ周ちゃん。考えるんなら俺も手伝うよ」
 「ホント? ありがと〜サエvv」
 「2人で頑張ろうね」
 「うんvv」
 「・・・・・・つーか、てめぇが佐伯と一緒なのはいーのか?」
 「てゆーかサエく〜ん・・・。俺完全無視?」
 すたすた歩き出す2人。背中へ向け千石はだばだば涙を流し、
 「いいもんいいもん!! そーいう事なら俺だって跡部くんと浮気し―――!!」
 どごすっ!!
 「・・・・・・見事な後ろ回し蹴りだったな」
 「じゃあ俺と千石の今日は、『見事な後ろ回し蹴りが決まりました記念』という事で」
 「ちなみに昨日は?」
 「『山吹中にて左ストレートをお見舞いしました記念』だな。俺との約束すっぽかして教師と2人っきりで神妙な雰囲気で向かい合ってたんだぜ?」
 「・・・それは『1人居残りで補習受けてた』っつーんじゃねえのか?」
 「そうとも言うらしいな。だが俺の言い方も間違ってはいない。なのに千石は『それは違う』と必死こいてイイワケしてきたからな。正義の鉄槌を下した」
 「すご〜い!! さすがサエ!!」
 「・・・・・・『正義』?」
 「どーせアレだろ? 『愛は聖なるものだ。それを行う者は正しい。よって、愛するが故の思考及び行為は全て正義に値する』」
 「よく知ってるな」
 「不二がそう言ってたんだが・・・・・・やっぱてめぇの受け売りか」
 「ねえ、もしかしてサエくんの『束縛好き』って・・・・・・
  ・・・・・・不二くんに仕込まれた?」
 「そうだぞ? やっぱ好きならこの位は当然だな」
 「何とか止めさせる方法はねーのか訊きたかったんだが・・・・・・・・・・・・もういい」
 跡部は頭を抱えた。
 隣では千石が倒れていた。
 何も気にせず―――気付く事はなく、2人は歩いていった。
 よろよろ起き上がる千石。ともすれば倒れそうな体を跡部と互いに支え合い、2人でため息を吐く。
 「とりあえず、まずあの2人別れさせる作戦から行こうぜ」
 「うん。前向きな感じでいいね」
 どすごどすっ!!!
 ぷしゅるるる〜・・・・・・
 「はーいそこ何2人でくっついてんのかなあ?」
 「跡部ってばさっきっから全然反省の色なし!? 僕だっていい加減に怒るよ!?」
 「そうだよ周ちゃん。躾は最初が肝心。三つ子の魂百までって言うからね。今のうちにしっかり教え込まないと図に乗られるからね」
 「そうだね! 僕頑張るよ!!」
 「うん。その意気だよ!」
 ははははははははははははははははは・・・・・・・・・・・・
 笑い声を引き連れ去っていった2人。
 見送り、血に伏した―――もとい地に伏した2人は同じ台詞を呟いていた。
 『こんなヤツ選ぶんじゃなかった・・・・・・』



―――Fin

   

 
 
 
 















§     §     §     §     §

 様々な慣用句が出てきたRat。結局最後に残ったのは『後悔先に立たず』ですか?
 そんなこんなで
Ratもこれで本当に終わりです。そしてやはりサエの ≪好みのタイプ:束縛する人(単純な意味で)≫ は絶対不二に仕込まれたと・・・・・・!!

2005.6.16