せんじょうの騙し合い Party Game








  7.賭けの代償 −シングルス編 
Latter Part− <undeca

 騒動が終わって。
 「はあ。何か疲れた」
 「だろうな・・・」
 リョーマは、隣にいた跡部の肩にぽてっと頭を乗せた。普段にない甘えた仕草に微笑み、ぽんぽんと頭を撫でる。
 「ご苦労だったな。ま、ゆっくり休め」
 「そーする・・・・・・」
 消えていく声。そのまま寝たのかと思いきや・・・
 「『チビ助』・・・・・・」
 「・・・あん?」
 いきなり呟かれ、跡部はリョーマを見下ろした。リョーマは俯いたまま跡部のジャージの裾をぎゅっと掴み、
 「昨日も思ったんだけど、
  リョーガ、俺の事ずっとそうやって呼んでた。昔から変わらない」
 「ああ・・・」
 「オレンジの事も憶えてた。俺が練習してたの、ちゃんと知ってた」
 「ああ・・・」
 「親父の口癖も。守ろうって頑張ってた」
 「ああ・・・」
 「リョーガはリョーガだった。何にも変わってなかった。昔も、今も」
 「ああ・・・」
 「俺は、見つけられるかな。親父の言ってた『でっけえ夢』」
 ぴたりと。
 跡部はリョーマの頭を撫でていた手を止めた。引き寄せる。
 「さあな。だが―――
  アイツにはアイツの道がある。お前にはお前の道がある。歩いてきゃいつか見つかんだろ。
  そうだろ? なあ、リョーマ」
 「・・・そだね」





 ちなみに余談として、2人がもらったオレンジは―――
 「食べてみたいそれ!」
 「ずっとリョーガ君もサエも食べてたものね」
 「となるとそれ相応の味、と」
 「ウチのオレンジは甘くて美味いっス! 世界一っスよ!!」
 「だが越前、お前たち一家はアメリカから日本へ越してきたのだろう? 今その家でオレンジは誰が育てているんだ?」
 「ぐっ・・・!」
 「まあまあ、手塚もそないに責めんと」
 「別に俺は責めてなどいないぞ?」
 「ま、細かい事はともかくあれだけ食ってたんだ。味の保証は出来てんだろ。食おうぜ」
 「あ、俺皮ごと食ってみたいっス! ガブって」
 「俺は皮剥いて・・・・・・」
 『いっただっきま〜す―――ぐはあっ!!』
 「か、辛ッ!!」
 「なぜオレンジがこのような味を醸し出す!?」
 「つーか・・・
  ―――リョーガにしろ佐伯にしろずぶ濡れだったよなあ・・・?」
 「つまり・・・」
 「海水に漬かって、こんな味になった・・・、と」
 「確かに、せやったら辛いなんちゅーんも納得、やな・・・・・・」
 「オレンジの浅漬け・・・?」
 「皮剥けばよかった〜!!」
 「皮剥いといてよかった・・・・・・(ぼそり)」
 「ウチのオレンジはこんな味じゃない〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」



―――dodeca