そんなこんなで、『跡部様クローン幼少のみぎりver』をもらった。
101―――TOY
〜10月誕生祭その1:佐伯〜
「設定年齢は10歳。自分以外の記憶は0で学習能力あり、か・・・・・・」
セットでもらった取説を読み、
佐伯はぱたんとそれを閉じた。
さっそく話しかけてみる。
「やあ景吾」
「誰だよてめぇ。俺様に気安く話しかけてんじゃねえよ」
・・・・・・・・・・・・。
(『確かに記憶は0。性格は素のまま』と・・・)
《景吾育成日記》と記されたノート0日目に、そんな事を記す。
思い描くは現在の彼。
(う〜ん・・・。今の景吾も悪くはないけど、やっぱ乱暴だったり粗暴だったり横暴だったり暴々だったりするのは教育失敗の賜物か・・・。
じゃあ今度こそちゃ〜んと可愛らしくしつけて〜・・・)
大きな野望を胸に、再び会話スタート。
「俺は佐伯虎次郎。『佐伯』でいいぜ?」
「ヘンな名前だな」
「お前ほどじゃないけどな」
「俺の名前のどこがヘンなんだよ!! いいかこの名前はなあ―――!!」
「ヘン〜♪ ヘン〜♪ すごく変〜♪」
「歌うなあああああああ!!!!!!!」
「変ったら変とっても変変変変変しかつかず変に変ゆえに変」
「唱えんな!!」
「『跡部は変』」
「書き留めんなしかも略すな!! それじゃまるで俺が変じゃねえか!!」
「変」
「基本に立ち返ってはっきり言うな!!」
「変、お前はとても」
「だからって捻んなよ!! 倒置法とか使って強調してんじゃねえ!!」
「お前はとても変」
「普通に言やいいなんて言ってねーだろ!?」
「You are CRAZY」
「言語変えようが言ってる事ぁ同じだろ何さりげに強調してやがる!?」
「つまり言ってる事を変えろと。
お前おかしいぞ」
「変わってねえだろ!?」
「お前可笑しいぞ」
「余計に悪いわああああああああああ!!!!!!!!!!!
うーーーーーーーーーーがーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
ひとしきり吠え、
幼少跡部は力尽きた。
「はあ・・・。はあ・・・。はあ・・・。
えぐっ・・・。ぐすっ・・・。
何だよお前さっきから変変変って・・・。俺のどこが変なんだよ・・・・・・」
泣き出してしまった。ぐずぐずと。腕で必死に涙を擦って。
暫しじっとそれを見て、
「カワイイ・・・・・・vv」
「やめんか」
ごん。
ちょっぴり胸をきゅんとさせていた佐伯は、後ろ頭に一撃を喰らった。
後ろを振り向けば。そこには中身が気になるドラム缶を掲げた跡部(本物)がいて。
「何だよ景吾!! 俺は今、このチビ景吾に正しい教育を施すため奮闘中なんだからな!! 邪魔すんなよな!!」
「ちなみに訊くが、『正しい教育』の成果チビ景吾とやらはどーなんだ?」
「もちろん可愛くおしとやかに。間違っても人の後頭部に予告0でドラム缶振り下ろすような卑怯千万な真似はしないように」
「悪かったな・・・!」
犬歯を見せるような獰猛な笑みで謝り、
跡部はは〜〜〜とため息をついた。
「あのなあ佐伯。てめぇがそういう事やるから俺はこうなったんだろーが」
「ああわかってる。だから今回はそんな気もなくさせるほど徹底的に苛め抜こうと」
「だからそれを止めろっつってんだよ!!」
再びドラム缶で殴り倒す。気絶した隙に、跡部はチビ救出へと向かった。
「ほらお前、大丈夫か?」
「うえっ・・・。えっ・・・。
大丈夫だもん・・・。俺、全然平気だもん・・・・・・」
全然平気じゃなく見えながら、それでも決して弱音を吐かない『自分』。
(まーったく、肩肘張りやがって・・・・・・)
自分だからこそわからず、自分だからこそわかる事。そんなに頑張らなくても周りは受け入れてくれるが、それでも頑張らなければ自分は自分でなくなってしまう。
愛しさを込め、抱き締め・・・・・・
「景吾×チビ景吾・・・。萌え・・・・・・vvvvv」
『何の話だ!!』
いつの間にやら復活していた佐伯に、ダブル跡部は息もぴったり突っ込んだ。
特に何も気にせず近寄り、
ぽんぽんと2人の肩を叩く。
「お前ら2人の面倒は俺がしっかり見るからな」
『嫌だあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!』
1 1 1 1 1
10月1日が終わる。佐伯だけが楽しかったこの日が。
「来年はぜひともオール10月1日に」
『なるか!!』
―――ダブル跡部の運命や如何に!?
さてサエ誕。10月1日でToyとくれば、続く4日はやはりいわし!? さ〜それはどーなる事やら。
・・・ところで『TOY』。ヤ●ーの辞書で調べるといきなり『おとなのおもちゃ』と出てきたんですが・・・。これで一体どうしろと・・・・・・。
もちろん〆はとても久しぶりの、そしてサエSSでは初めての、
サエ、お誕生日おめでとうvv
2005.9.30