テニプリパロディ略してパロプリ劇場
―――スリップスリップ千石次第!―――
おまけ―――
今回公式HPの内容紹介ではメインのようで、意外と目立たなかった(爆)山内夫妻。光秀メインで当てればそりゃそんなに活躍の場はなかったでしょうが、実はもう少し先まで続いていればやりたかったのが千代の密書。秀吉没後、徳川家康に尽くすに当たり、秀吉側の監視下に置かれていた千代が、己の命に構わず家康様に忠義を尽くしなさいといったメッセージと共に送ったチクり手紙ですね。
これを手塚と不二、そして跡部でやるとしたら・・・・・・
それは関が原の戦の前の事。兵として出ていた手塚、そしてそれについてきていた跡部は、密使から手紙を受け取った。
「不二から?」
「はい。こちらの手紙を手塚殿に、そしてこちらは―――
―――開封せずに家康様にお渡しください、と」
「どういう事だ?」
疑問符を浮かべながら1通目―――軽く折り畳んであるだけの方を開いた。
開いて、
止まる。
「あん? 手塚どうした?」
隣から跡部も覗き見て、
同様に止まった。
《大好きだよ手塚。
僕は君の妻になれた事を誇りに思う。
だから―――
――――――君は君の信じる道を進んで。それだけが僕の願い》
「なあ、不二って今・・・・・・」
「大阪にて、秀吉様の側の監視下に置かれている」
「んじゃこの2通目の手紙ってやっぱ・・・・・・」
「・・・・・・だろうな」
結論だけは言わず、会話を続ける。
この手紙は恐らく、
―――秀吉側の情報。
彼女が命と引き換えに手に入れた、それ。
渡せば、そして情報を洩らしたのが彼女だとわかれば、すぐにでも殺されるだろう。
瞬きもせず、手塚は2通目の手紙に目をやり・・・
「反対だ」
伸ばされた跡部の手にとどめられた。
跡部を見る。じっと自分を見つめる跡部を。
じっと、厳しい目つきで見つめたまま、言う。
「てめぇそれでも不二の夫か? 夫なら妻守るモンじゃねえのか?」
「だがこれは不二の望んだ事だ。
俺は家康様に仕える。これを渡せば家康様のお力になれる」
「だから? だからどうした?
てめぇ不二見捨てて家康に仕えようってか? それで満足か?」
手塚の襟を取り、跡部は怒鳴りつけた。
「答えろよ手塚!! てめぇが取るのは不二か!? 家康か!?」
「不二に決まっているだろう!」
「なら―――!!」
「だから俺は家康様にこの手紙を渡す! アイツの望み通りにだ!!」
「―――っ!!」
跡部の手の力が抜ける。
逆に掴み返し、鋭く囁く。決して逸らさない。その目を見つめ。
「アイツは俺の妻だ。俺と共に在り、俺と共に戦う事を選んだ。
この手紙には、アイツのそんな思いが詰まっている。
お前はそれを無駄にしろと? 今すぐこの場で握り潰せと言うのか?
ふざけるな! 今一番アイツを冒涜しているのはお前だ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
跡部の目が、下へと下がっていった。
項垂れる。
「だって・・・、よお・・・・・・」
口から溢れるは力ない呟き。かろうじて抑えているのは純粋に不二を心配する気持ち。
そんな跡部からは視線を逸らし、
手塚はそっと呟いた。
「ありがとうな跡部」
「え・・・・・・?」
「お前がそうやって止めてくれたおかげで、俺は決心が固められた。
俺1人ならきっと、アイツが心配で言われた通り動く事は出来なかっただろう」
「それって・・・・・・
・・・・・・・・・・・・俺様を反面教師にしたって事か」
「そういう言い方も出来るな」
「このヤロ・・・!」
拳を固め上げかけた跡部の頭をぽんぽんと撫で、
「アイツは大丈夫だ。家康様が勝利されたらすぐに自由になれる。
俺たちに出来るのは、なるべく早く勝利に導く事だ」
「・・・・・・・・・・・・。
―――そうだな」
―――おまけ 了
―――さて、かつて3にて跡部に負けまくった手塚。ついに今回逆襲を果たしたようです。おめでとう!
・・・こんな風に成長していく2人も書きたかったのですよ。
今度こそではv
2006.1.31