相手に言わせるつまりは脅す
Part2(対リョーマ)


 「おら越前。チョコはどうした?」
 「何? アンタ食べたいの? だったら執事なり下僕なりに言えばいいじゃん。俺じゃなくって」
 「馬鹿言え。なんで俺様がわざわざンなモン買ってまで食わなきゃなんねーんだよ」
 「はぁ? 何アンタわけわかんない事言ってんの?」





 「―――つまり、アメリカにずっといた越前君には『バレンタイン=好きな相手にチョコを送る』っていう日本独特の習慣はあんまり理解できてないんだと思うよ」
 「へぇ〜・・・・・・」
 「跡部もまた、無意味な事頑張るね」
 全く以って噛み合わない2人の会話に懇切丁寧に解説を入れる不二とデバカメ隊千石に佐伯。こちらも入れてようやく納得のいく出来事に、
 「待て不二。今の話ホントか?」
 「不二先輩、何スかその『日本独特の習慣』って」
 こちらもようやく気付いたらしい、跡部とリョーマが言い争いを一時停止して解説を求めてきた。





 数分後。





 「おら越前。わかったんならさっさとチョコを俺様に寄越しやがれ」
 「嫌に決まってんじゃん。バカ? アンタ」
 「ああ? てめぇ今の不二の説明まさか聞いてなかった、なんてワケじゃあねえんだろ?」
 「だからヤダっつってんじゃん。大体不二先輩の説明だったらむしろアンタが俺にチョコ持ってきなよ」
 「俺様がなんでてめぇにやらなきゃなんねーんだ」
 「だったら俺だってなんでアンタにあげなきゃいけないのさ」
 「てめぇ俺様の事好きなんだろ? だったら持って来いよ」
 「はあ? アンタの方が俺のこと好きなんでしょ? だったらアンタが持って来なよ」
 「嫌なこった。ざけんな」
 「それはこっちの台詞」





 「―――つまりね。今の争いを要約すると2人ともお互い好きなんだよ。だけど自分からそれを言うのが恥ずかしいだけで」
 「ゴチソウサマって感じだね」
 「跡部も本気で無意味な争い仕掛けたよな。他のヤツならともかく、越前が素直に従うワケないじゃん」
 「大変だね。意地っ張りかつ頑固者同士っていうのも」
 あはははははと半端にこだまする笑い声。それの響く先では、





 「てめぇ、俺様の言う事が聞けねえってのか?」
 「アンタこそ、俺に逆らうワケ?」





 果たして、この争いに決着が付くのは―――永遠にこないだろうのでとりあえず終わるのはいつか?



―――バレンタイン・トラブル!
2004.2.15