同じドアの前で
本編
―――その後の出来事―――
「―――というワケで、罪人2名の報告をします。片やAliverだったのに生き返る前に再び死亡しかも自殺。片やKillerで罪の免除手続きが済んでいない内によりによって冥界脱走。2名の罪の重さは計り知れないものであり、もう輪廻転生の輪には戻れそうにありません。以上です」
冥界の管理者である周。本日は某罪人2名のおかげで緊急呼び出しを喰らったのだ。
痛む頭を押さえつつ、不機嫌絶好調で吐き捨てる周の愚痴―――もとい報告を最後まで聞き、
なぜだか持ち前のラッキーさで世界全体の管理者となった少年は苦笑を浮かべた。
「う〜わ。なんっか冥界始まって以来の大事件、って感じだね〜」
「のんびり言わないでよ!!」
どばん!!
怒鳴り、周が目の前の机に資料を叩きつけた。上に乗っていたものが1センチは跳ね上がったか。
「どうどう。まあ落ち着いて」
「キヨはそうやって無責任に言ってられるからいいよ!! 『冥界はたった一つしかない出入り口の管理すらまともに出来ないのか』って僕国光にこってり絞られたんだけど!?」
「まあ・・・国光くんは生真面目だからねえ。俺としてはちゃんと捕まえられたんだからいいかな、って思うけど」
「大体キヨ!! 君が佐伯を跡部の案内人にしようなんて案出すからこうなるんだよ!?」
「だ、だって面白そうだったから〜・・・・・・」
「それに国光も国光だよ!! だったら君だって現世の管理ちゃんとやってよ!! 絶対サボってるよアレ!! 無駄に死に過ぎだもの!!」
「いや・・・。国光くんはむしろ真面目にやりすぎなんだと思うよ・・・。たまにはちょっと奇跡起こってみたっていいじゃん。なんで跡部くん殺しちゃうワケ!? おかげでサエくんまで死んじゃったじゃん!!」
「何かなそれは。つまり君のお気に入りは僕の元には来させたくない、と?」
「う・・・。いやあのそれは〜・・・。
あ、ホラ、やっぱ限りある生を存分に生きて欲しいな〜・・・ってダメ?」
「見事なまでに無駄にしたね。2人とも。
あ〜あ。せっかく跡部来た時チャーンス! って思ったのに」
「・・・・・・もしかしてそれは―――
―――今だに俺に対して根に持ってる?」
「ああ持ってるよたっぷりと。君の『助言』がなければ僕が案内人になろうと思ってたのになあ」
「でもまあホラいいじゃん。跡部くんともたっぷり会話出来たでしょ?」
「思いっきり馬鹿扱いされたけどね。しかも敵に塩撒く発言ばっか」
「それで済んだんならいいじゃん。俺サエくんにやられた頭今だに痛くてたまんないんだけどさ・・・・・・」
・ ・ ・ ・ ・
こんな上でのやりとりを経て、晴れて冥界終身刑になった跡部と佐伯。意外な事に彼らはこの5日後、2人揃って『奇跡の生還』を果たす事になった。理由は・・・
「ああもうあの2人ウザい!! 見ててイラつく!!!」
「待て!! 周落ち着け!!」
「あああああああ!!! 周くん君のコントロールでペン手裏剣はマジで死ぬ!!」
「それとこれというのも君たちの責任でしょ!?」
「わかった!! あの2人は責任もって俺が引き受ける!! だからお前はとりあえずその手にしたクリップボードを机に置け!!」
「うんもうオッケーオッケー!! 無理も道理も全部引っ込めて俺が許可する!!」
「・・・・・・ホント?」
「そりゃもー周くんのためならvv」
「あの2人も共に戻ったのならば文句は言うまい」
「あのバカップルどもがああああああああああ!!!!!!!!!」
「ちょっと国光くうううん!!! せっかく収まりかけてた火にガソリン注がない!!」
「うお・・・!! 周落ち着け・・・・・・ぐはっ!!」
こうして、お騒がせ2人組は神及び現世の管理者に徹底的に保護され、その後は何事も無く幸せに一生を終えたという・・・・・・。
―――Happy End
おお!? アンケートで虎跡虎が1位になってたぞ(1/22にて)!? こんなどマイナーなものがトップになるウチのサイトって・・・・・・(爆。いやどれもこれも似たもの勝負だから)。
さて改めまして、えっと、この話はBUMP UP CHICKENの『同じドアをくぐれたら』・・・・・・の内容を180度ひっくり返した、実に普通の内容です。元の歌はドアの向こうへ行くため別れる2人の話なのですが。ドアを開くために捨てるもの。全てと引き換えに自分たちは進む・・・といったような内容です。かなり切なくて泣けます。
さてそれを捨てられなかった場合どうなるのだろう。考えた結果がこの話です。サエと再び会うために進んでいたのに、出会ってしまった『コウ』を捨てることが出来なかった跡部。もし彼らが同一人物でなかったならばどうなるのでしょうねえ。なお跡部があくまでドアを越えてから戻ってきた理由は、サエの決意にプラスして『コウ』ではなくサエを取るといった意思表示かと。あそこでナチュラルに戻ると、自分のために頑張ってくれてるんだ・・・と大義名分はともかく心の一片では思っていたであろうサエの希望を見事なまでに踏み潰す事になりますし。しっかしおかげでタイトルオチが出来ました。『同じ』ドアの前で。実は佐伯とコウどっちを選んでも同じ結果にしかならないという意味では同じでしたね。
そして途中でむやみに出張ったオヤジと娘。まあつまりはキヨと周のお遊びだったのですが、互いの口からそれが出るまで完全他人というか本気で通りすがりのキャラでした。だから娘の方のみですが適当に名前付けたりとかして。そしてこの娘と跡部の会話、面白かったなあ・・・。
では、曲を聴いて一晩で書き上げたこの話(夜8時から早朝4時まで頑張りましたぞ!! 9時から約束あるのに・・・)、ノリだけで書いたので後で見直さないと! 自分でもどうなってるのかよくわかってない何よりこのあとがきが!!
・・・そういえばこの話、サエ視点でも書いてみたいなあ・・・。そして顔隠したまま先進むってのも・・・・・・。
2005.1.20〜21