“F”で思いつくもの。Father.Family.FILA.そして―――Fuji
“F”の真意
「あれ?」
その日、いつも通り部活に出てきたリョーマに不二は首を傾げた。
「なんスか?」
「越前君、ウエアどうしたの?」
その言葉の通りリョーマの今着ているウエアはレギュラージャージのオプション(笑)のものではなく最初の頃着ていた自前の物だった。全体的な印象はさして変わらないが、青赤白の青学ウエアに対し赤と白。そしてロゴは『SEIGAKU』ではなくFILAメーカーの『F』。
「別に。ただ朝練の時濡らしただけっス」
「へえ、そうなんだ・・・・・・」
「・・・・・・?」
「―――不二・越前、練習が始まるぞ。コートに入れ!」
意味ありげに頷く不二に疑問を覚えないでもなかったが、手塚の声を聞き尋ねるのを断念した。わざわざ部長の怒りを買い校庭何十周も走らさせられるような真似はしたくない。
そして部活にて。
「・・・・・・どうしたの、不二〜」
練習中も顔の緩みっぱなしの不二を見て英二が不安げに声を掛けた。少なくとも部活に来るまではこうではなかった。しかし今の不二は回りにお花畑が見えそうなほど浮れている。普段の笑顔がポーカーフェイスとなり逆に感情の読み取りづらい不二にしてはこれは珍しい―――どころか異常な事だった。
「あのね、英二vv」
(うわあ、本気で浮れてるよ・・・・・・)
言葉1つ取ってもハートが飛び散りまくっている不二についたじろぐ。が、そんな英二を無視して不二は話を続けた。
「あれ見て何思う?」
「あれ・・・・・・っておチビじゃん。それがどうしたの?」
指された方を見てみる。そこにいたのは練習中のリョーマ。特に不思議なことも、ましてや不二をここまで喜ばせることなどしていない―――ハズ。
(不二の感覚ってみょ〜に違うからにゃあ〜・・・)
時々親友の自分ですら「はあ!?」と突っ込みたくなるような言動をとる彼を完全に理解するのは不可能である。とりあえず先を促した。
「んで?」
「ホラ越前君の服、いつもと違うでしょ?」
「違う・・・ってウエアだけじゃん」
別におかしくないっしょ? と訊こうとした英二はこの上なく恐ろしい物を見てしまった。
(ふ、不二が照れてるにゃ〜〜〜!!!)
頬に手を当て視線を斜め下に落としはにかむ不二。こんな姿を一体誰が想像できたか(失礼)!?
「あの姿って・・・・・・なんか上から下まで僕一色、って感じじゃない?」
「・・・・・・はあ?」
「ほら、帽子にもウエアにもシューズにも“F”ってvv」
「さ、さいですか・・・・・・」
しかもテニスバッグ[もちもの]までvv と喜ぶ不二に、ようやく彼の言いたかったことを理解して頷く英二。つまるところどうやら彼にはFILAのロゴマークである“F”は自分のイニシャルに見えているらしい。
「かわいいなあ、越前君はvvv」
ふふ・・・と笑う不二から5mほど離れ、英二は心の中でやはり突っ込みを入れた。
(ダメじゃんこのバカップル〜〜〜!!!)
おわっとけ!
てなわけで最早突っ込み様もないバカップル(菊ちゃん突っ込んでたけど)に大笑いの話でした。あ、アニメのみご覧の方には全っ然ワケのわからない話でしたね。ですが原作のリョーマの格好(もちろん私服ver)を見ているとど〜〜〜〜〜〜しても! こんな思考に・・・(思いっきり力説)!!
はあ不二リョ。なんだか書きはじめて30分経ってないような・・・・・・。いいなあこのバカップルvv と私も壊れたところでまた次回!
―――今回あほらしすぎて背景も思いつかないっての!!
2002.9.23