青学の人々




No.4Writing 朋香

 8月☆日 木曜日  快晴


 こんにちは! 私小坂田朋香。青学の・・・部活はとりあえず何もやってないけど生徒です! 弟'sの世話があって部活出来ないんだけど、出来たらテニス部に入りたいな。憧れのリョーマ様と同じテニス部に! それで―――ぐふふ・・・・・・。
 ―――って何、桜乃? ああ、ハイハイ。わかってるって。
 話ずれちゃいましたけど、今日は私がこの『青学レギュラー観察日誌』を担当する事になりました。ではさっそくみんなの様子を調査しに行ってきま〜す!





 「よし! 
20分休憩!」
 手塚部長―――ああ、もう全国大会終わって3年の先輩たちは引退したから、本当は部長は今桃城先輩なんだけどね。まあ青学はエスカレーター式で高校行けるし、後輩指導があるから元レギュラーの先輩たちもまだ部活に毎日参加してるのよね。
 で、まあいつも通り手塚部長の号令でみんなとりあえず解散になったんだけど・・・・・・
 や〜っぱ練習って疲れるのね。大抵みんなその言葉聞いてへたり込んじゃった。あれだけハードだから仕方ないんだろうけど。
 で、とりあえず私はまずリョーマ様を直撃取材! と・・・・・・
 あら?
 リョーマ様?
 桜乃、リョーマ様知らない?
 「リョーマ君だったらすぐ出て行っちゃったけど・・・・・・」
 ええ!!? せっかくのインタビューチャンスが〜!!
 桜乃! どうしてすぐ教えてくれなかったのよ〜〜〜!!!!
 「え、だって朋ちゃんが・・・・・・」
 まあそれはいいわ! となればリョーマ様を探しに
Go! 休み時間ならきっとあそこよ!!
 「そ、そんなのまで解るの・・・!?」
 あったりまえよ! リョーマ様ファンクラブ会長の私を舐めないでもらいたいわね!!!
 じゃあさっそく
Let's Go!!
 「あ、朋ちゃん! 他の人への取材は〜・・・!?」





 と、リョーマ様を探しに走っていった途中の芝生で、
 「あ、大石先輩・・・・・・」
 「やあ、2人とも」
 「あの、どうしたんですか・・・?」
 「ああ、『これ』かい?」
 笑いながら大石先輩が指差した先、先輩の伸ばした膝の上に頭を乗せて、菊丸先輩が気持ち良さそうに眠ってる。
 「英二の奴、昨日遅くまでテレビゲームしてたらしくてね。休憩になった途端に『眠い! 寝る!』って本当に寝ちゃって。
  ―――まあ終わったらちゃんと起こすから」
 なんて言いながら眠ってる菊丸先輩の髪を撫でる大石先輩。すっごく優しい笑顔してる。きっと菊丸先輩、凄く大切に想われてんだな〜。菊丸先輩も安心した顔で寝てるし。
 あ、なんか髪撫でられて菊丸先輩笑ったみたい。嬉しそ〜。
 「邪魔しちゃ悪いからそろそろ行こっか、桜乃」
 「え?」
 首を傾げる桜乃。ニブいな〜。
 「じゃ、邪魔って・・・・・・////!!」
 「顔真っ赤にして言わなくていいですよ。ちゃ〜んと、わかってますからv」
 「い、いやあの・・・俺と英二は別にそんなんじゃ・・・・・・////!!」
 「応援してま〜す! 頑張ってください、大石先輩!!」
 「あ、ちょっと―――」





 「朋ちゃん! ねえ、どういう事なの、さっきの?」
 「も〜! にっぶいな〜桜乃は! だから大石先輩と菊丸先輩は付き合って―――お?」
 「どうしたの?」
 「いたいたvv」
 さっすが私。目指してた場所ピッタリでリョーマ様発見!
 「あ、朋ちゃん、あれって―――」
 「しっ! 桜乃! 隠れて!!」
 「え? え?」
 とりあえずわけのわからない感じの桜乃の口を塞いで、近くにあった小さな垣根の後ろに身をひそめる。垣根越しにリョーマ様を観察観察v
 自販機の前でリョーマ様はどのファンタにしようか悩んでる。あ、決まったみたい。あれは―――グレープ味ね。やっぱり練習の疲れを取るのは一番好きな味でなのね!
 え? こんな離れた場所から解るのかって? もちろんよ! 私視力
2.0だもの(じまぁぁぁん)!。
 で、その決まったファンタを指差して、リョーマ様は隣にいた不二先輩に何か言ってる。―――ああ、そういえば隠れるの優先でまだ書いてなかったけど、リョーマ様の隣に不二先輩がいたりしたのよね。隠れた理由わかったでしょ? 何やるのかしら、あの2人? どきどきv
 それを聞いた不二先輩はにっこり笑うとリョーマ様の頭を撫でて、持っていた小銭を自販機に入れた。な〜るほど。リョーマ様に奢るのね!
 (あれ・・・? ねえ、朋ちゃん。もしかして不二先輩ってリョーマ君にジュースあげるのかなあ?)
 (じゃない? リョーマ様の指してたファンタ選んでるし。不二先輩ファンタってあんまり飲まないし)
 (すごいね朋ちゃん。なんでそんな事まで知ってるの?)
 (リョーマ様ファンクラブ会長としてはリョーマ様の周りのことも知ってて当然でしょ!
  あ〜だから乾先輩の持ってるあのデータノート、すっごく気になるのよねえ。私もまだ知らないリョーマ様や他の先輩達の事もいっぱい書いてありそうで!)
 (・・・・・・すごいね、朋ちゃん。
  けど不二先輩、なんでリョーマ君にジュース奢ってるんだろう? いくら先輩だからって・・・・・・)
 なんで、って・・・。そんなの理由は1つでしょ?
 首傾げて悩む桜乃に私はため息をついて、視線をリョーマ様たちに戻した。
 「はいv」
 「ども」
 出てきたファンタを笑顔で差し出す不二先輩。軽く頭を下げてリョーマ様もそれを受け取って、栓を開けた。
 不二先輩の前でごくごくと飲み干していって―――
 やば! いきなり顔下げたリョーマ様と目が合っちゃった! バレたかな?
 「―――どうしたの?」
 「別に。何でもないっスよ」
 その様子に気付いた不二先輩がリョーマ様に訊くけど―――あら? 予想外の答え。バレたって思ったけど・・・あ、垣根越しだから向こうからは見えないか!
 「そうなんだ。ふーん・・・・・・
  ―――ねえ越前君。僕にもファンタちょうだい」
 「いいっスよ」
 簡単に返事するとリョーマ様は缶を持ってない方の手で先輩のジャージを掴んで引き寄せて―――
 うっわ〜vvv
 なんと口移し! 不二先輩もリョーマ様の顔を両手で支えて更に近づけてるし、いつの間にかリョーマ様の手は片手だけだけど先輩の首に回して抱きついてて!
 これは見物ね! すっごく絵になる! そう思うでしょ! ねえ桜乃!!
 ・・・・・・って、
 「リョーマ、君・・・・・・」
 あ〜ダメだわこの子。完全に現実逃避起こしちゃってるし。そういえば桜乃ってリョーマ様の事好きだったんだっけ。
 ま、いっか。
 とりあえず上の空でひたすら呟く桜乃は放っておくとして、私は握り拳でリョーマ様たちの様子を観察しつづける事にしましょ。










 さってとりあえず本日の結論。リョーマ様ファンクラブはこれからリョーマ様と不二先輩、2人の動向をしっかり追って行こうと思います!
 ―――あれ? そういえばこれってそんな事書くものだったっけ?
 まあ、いいわよね。もう書いちゃったし。
 では、『青学レギュラー観察日誌』終わりにします! まる












 ・・・・・・あ、他のレギュラーの人たち見てくるの忘れた。














 さて、第4弾はついに朋ちゃん視点。テーマはサブタイトル、といいますか上に書いてある通りです。しっかし朋ちゃん。見事に桜乃切り捨てました。彼女は何となく友情よりFan心を優先するような・・・・・・。いや、もちろんいざとなったら友情を優先するでしょうけどね(苦笑)。
 では今回は話にあわせてあとがきも短めに。しかしひな祭り企画でこの話。しかも設定真夏だし。ま、細かい事は気にしないで下さい(笑)。
 あ、見物人の存在はリョーマも不二も気付いてました。じゃなきゃこんな唐突な話題変更もしないでしょう。

2003.3.3