Everyday  Specialday





「う〜・・・・・・」
そよ風に揺れる芝生に寝転び、英二は持っていた紙をぴらぴらと振ってみた。
と、
「―――どうしたの?」
「不二・・・・・・」
頭の上からかかる声。見なくてもわかる。大好きな君の声。
「もう部活始まっちゃうよ?」
「う〜・・・・・・・・・・・・」
にっこりと笑い、寝たままの英二を覗き込む不二。いつもならそんな事をすれば即座に起き上がってくるのに、何の反応も見せない英二に首をかしげ、不二もまた英二の隣に座り込んだ。
「不二〜? 部活あんだろ?」
「英二もね」
「・・・・・・・・・・・・」
何か言おうとして何も思いつかなかったのか、英二は黙り込んでごろりと体の向きを変えた。
背を向ける英二に、
「何か・・・嫌なこと、あった?」
「なんで!?」
がばりっ! と勢いよく起き上がる英二。そんな彼の見たものは、ぶっと噴出し、肩を震わせ笑う不二の姿だった。
「・・・・・・にゃんだよ」
「英二ってば・・・・・・解り易過ぎ・・・・・・」
くくく・・・と笑う合間に何とか言葉を搾り出す。
「〜〜〜〜〜〜〜!!!
―――もう知らにゃい!!!」
不二のあまりな態度に頬を膨らませ、外方を向く英二。
「ごめんごめん。
で? 何があったの?」
「ふ〜んだ! 不二なんて知らにゃいもんね!」
「そんな事言わないで。ね?」
ふわり
(え・・・・・・?)
後ろから優しく抱き締められ、不二の声が耳元にダイレクトに届く。いつもとは逆の立場に、英二の頬が自然と赤くなった。
「ふ、不二・・・・・・」
ゆっくりと振り向こうとして―――
「―――ああなる程。これが原因か」
「は・・・? え―――あ!!」
いつの間にか不二の右手に紙が握られている。慌てた英二が手元を見るが、そこにはもちろんあの紙はなかった.
「へえ、何々――」
「み、見るにゃーーー!!!」
叫んで不二の手からそれを引ったくる英二。
「見た・・・?」
「何を?」
「そ・・・にゃらいい・・・・・・」
ほーっと胸を撫で下ろす。が、現実はそれほど甘くはなかった。
「けどねえ英二・・・・・・」
「にゃ?」
「いくらなんでもこの時期その点は悪いんじゃないかなあ・・・・・・」
「見てんじゃんしっかり!!」
はぁ、と長々とため息をつく不二にツッコミを入れてみるが、英二自身同じ事を考えていた―――正確には同じ事で悩んでいた以上、反論は出来ない。
それ以外は、見れなかったよ」
「それだけ見れば十分だっての」
完全に拗ねて、再び芝生に横たわる英二。
(・・・。ま、もー、いっか)
いつかはどうせバレるのだ。それに自分が頼るのもこの親友兼恋人な訳で。
「さっき先生に呼び出された」
「それで僕に先行けって行ったんだ」
「んでそれ渡されて―――」
「うん」
「『そんな成績じゃ高校行くどころか留年だぞ』って言われたーー!!」
「英二・・・・・・」
(たとえ何があったとしても義務教育の中学生じゃ留年はしないんだよ・・・・・・)
目の前で頭を抱えて泣き喚く友人の、別の意味でのアホさ加減に頭が痛くなるのを覚えるが、とりあえず笑っては失礼だろうといつもの笑顔で誤魔化す不二。
その娘とを告げようと口を開き―――
「だって・・・・・・俺、留年したくないんだよ」
「そりゃあ、まあ・・・・・・」
(大学くらいならともかく、中学で留年〔仮定〕したいと思う人はあんまりいないだろうね・・・・・・)
そう思ったのが伝わったのか、英二がじと〜っとした目でこちらを見てきた。
「そうじゃなくて・・・・・・俺、不二と一緒に高校行きたいんだよ・・・・・・」
「英二・・・・・・」
視線を逸らして顔を赤くする英二と、目を見開いて驚く不二の間に柔らかい風が吹く。
(なんてかわいい事言ってくれるんだろうね、この子は・・・・・・)
その風に想いを乗せるようにくすりと笑い、不二は英二のクセっ毛をなでた。
「じゃあ、部活が終わったら家で一緒に勉強しようか」
「不二・・・・・・」
「だから――行こ?」
立ち上がって、英二に手を伸ばす。
「――行くにゃ!」
頷いて、不二の手を取る。





行く先は、部活なのかそれとも高校なのか。それがどこなのかは解らないけれど、それでも繋いだこの手は離したくないと、そう思った。
そんな、秋のとある1日。






―――fin












哀里:「ふえ〜・・・。終わった〜・・・」


英二:「『終わった〜』・・・って、半分だけじゃん。
これから俺と不二のデートがあんだろ? 歌からすると」


哀里:「あるのよねー。ありはするのよね〜。
――ねえ、そこまで書いて
28日に間に合わないのと、ここで切って28日に間に合わせるのとどっちがいい?」


英二:「う゛・・・・・・!」


哀里:「そう考えるとホラ、ここで切って正解でしょ?」


英二:「そ、そりゃ〜・・・・・・
―――ってだから! 哀里の計画性のなさと作業のトロさを正当化するなよ!!」


哀里:「ううう〜〜〜・・・。だってまさかレポートのグラフ作るのに2時間くらいかかるとは思わなかったんだよー(泣)!! 何でいきなりグラフが画面いっぱい現れるのよ!!!」


英二:「哀里・・・。全部お前のせいじゃにゃいの?」


哀里:「不可抗力ってやつね」


英二:「(ため息)」


哀里:「おかげでとりあえずこまめに上書き保存する事の大切さは学んだわ。
同日誕生日のせなさんは今生きていることの大切さを知り、菊ちゃんはずっと好きな人と一緒にいようと決心し―――そして私は上書き保存をこまめにする事を学んだ。実のある1日だったわね・・・・・・(遠い目)」



英二:「そうまとめられると俺たちがやった事もすっげーくだらなく聞こえるんだけど・・・・・・」


哀里:「けどメイツ。ってか不二菊。いいわねえ。ギャグにならなくて」


英二:「そこなワケ?、いいのは・・・・・・」


哀里:「なんて言うか、恋人なんだけどバカップルってワケでも無いし、イエ別にリョーマ絡み+不二兄弟モノが全てバカップルだなんて言うつもりはないんですけどね。ただ恋人なんだけどそれだけじゃない、っていうか、お互いに支え合ってるんだな〜っていうかなんか温かいの。わかる?」


英二:「わけないじゃん(きっぱり)」


哀里:「なんでー!!? ちゃんと理解してよ!!」


英二:「むしろ今ので理解できんのって誰だよ!?」


哀里:「・・・・・・不二先輩ならなんとか解らないかしら?」


英二:「イヤ無理だろ。いくら不二でも」


哀里:「はっ! そうか烈兄貴か! 彼なら間違いなく解る(ハズ)!!」


英二:「・・・・・・。ちなみににゃんで?」


哀里:「ここのサイトの豪烈の(一部)コンセプトはそこにあるから。
むしろ解らなかったら大爆笑」


英二:「その割には『ハズ』とか言ってなかった?」


哀里:「菊ちゃん。目だけじゃなくて耳もいいのね。
―――実は語ってる最中に自分でもよく解らなくなって(照れ笑い)」



英二:「ダメじゃん!!」


哀里:「けど不二菊。話は戻るけどいいわねえ。たとえ最初は思い切り菊不二のつもりで書いていたのだとしても」


英二:「そういや哀里がこっちで書くのって初めてじゃん?」


哀里:「そうなのよ。書くの―――っていうか話が思いつくのなんだけど、いつもは菊不二、厳密には菊→不二ばっかだったのよね。なにせいつもは不二リョ話のほんのりスパイス風味だから」


英二:「・・・・・・それでいつも片想いで終わるわけね・・・・・・(泣)」


哀里:「今回の敗因は不二様に背を向けさせたことね。あれじゃ襲ってくれといわんばかり」


英二:「言ってねえ!」


哀里:「書きながらanother storyってことで裏突入しようかと思ったし」


英二:「すんな!!」


哀里:「『そんな事言う悪い子にはお仕置きが必要だね』とか言って後ろから・・・・・・(うふふと笑い)」


英二:「哀里・・・・・・?」


哀里:「そしてそのまま芝生の上で青―――(かなりイっちゃった目で―――)」


英二:「にゃ〜〜〜〜〜!!!!! にゃに話してんだよ!!! ここは表だ!!!!!」


哀里:「はっ!! そういえばそうだった。
―――いけないわね。危うく妙な方向に突っ走るところだった」(額の汗を拭き、爽やかに笑う)



英二:「(ぜ〜は〜ぜ〜は〜・・・)ま〜ったくにゃに考えてんだよ。どーせいつもそんなふうに妄想しては1人で笑ってんだろ・・・・・・(半眼)」


哀里:「(ムカ・・・)けどそういえばこの時点で菊ちゃんって制服よね。制服って全部前開きか・・・。菊ちゃん下にシャツとか着てんのかしら・・・・・・」


英二:「にゃ〜〜〜!!! だからその話止めろって〜〜〜〜〜〜!!!!!!」





――
1128日 菊ちゃん HAPPY BIRTHDAY