プチ小説15 氷帝編3 〜跡部サイド〜
忍足・向日離脱という事態が起こりつつももちろんそれで今の状態が好転する訳でもない。
「なんだまた襲撃か」
跡部のその言葉に、最早彼の指示すら待つ事無く樺地が動き出す。背負っていたジローを前に掲げ―――
ころんころん・・・・・・。
「手榴弾・・・?」
割と遠くから放られてきた―――それ故にここまで届かず地面を転がる黒い物体の正体を正確に突き止め、跡部が眉を顰めた。
ドン!!
炸裂するそれをまともに食らうバカはここにはいない。跡部は地に伏せ耳を両手で塞ぎ口を半開きにするという完全対衝撃波防御姿勢。樺地は跡部に被さり(ただしもちろん体重はかけず)身を呈して彼を庇い、そして―――
「―――ふぎゃ!?」
放り捨てられたジローが地面に激突し、無様に転んだ。
そこに襲い掛かる第2の手榴弾。
今度は割と至近距離から投げられたらしいそれはピンポイントで倒れたジローに降り注ごうとしていた。
「うにゃっ!!」
起きているのか寝ているのか、半端な状態で某青学の猫のような悲鳴を上げるジロー。無意識で背中のリュックからラケットを取り出し、落ちてきた手榴弾をボレーで打ち返す!
―――が、やはり寝ぼけていたらしい。跳ねた手榴弾は前ではなく後ろ、跡部らの避難した方に飛んでいった。
「あ・・・・・・」
ドパアン!!
2人の頭上で手榴弾が破裂。もうもうとあたりに立ち込める煙を手でぱたぱたと払い、ジローがやはり眠そうに頭を掻いた。
「死んだかな?」
あっさりそう言いあくびをする。
「・・・・・・ま、いっか」
暫し待ち、誰も出てこないのを確認するとごろりと横になる。が、
「―――行くぞ、ジロー」
跡部様復活。
彼を庇って光の粒子となり始めた樺地を振り向く事もせず、ただ前へ進みつづける跡部。そしてその後を相も変わらずあくびをしつつついて行くジロー。2人の行く先は、まだまだ長い・・・・・・。
Survivor――跡部・ジロー
―――香奈嬢ヤバいです! 跡部書きにくい!! せっかくのあなたのお気に入りキャラなのに!! これからジロー中心にしていいですか!?
では、氷帝跡部サイドはこの2人で合流点へGo!
2003.1.4