プチ小説11 青学編3



 「道、分かれてるね・・・」
 「そうだな・・・・・・」
 それだけといえばそれだけなのだが・・・・・・。
 残り6人となった青学チームは、手塚の栄誉ある犠牲によりなんとか関門だった街の中央広場を抜け、反対側まで辿り着いていた。だが、ここが古く寂れたド田舎ではなく割と発展している(らしい)街である以上、道に分岐点があるのは当然である。が、
 「どうする〜?」
 「そーっスねー・・・」
 目的地のない時の分岐点ほど困るものはない。とりあえず街の外へ逃げようと漠然と考えたはいいが、ネックなのはこの街の造りである。ぐるりと一面街壁に囲まれ、出口は備え付けられた正門のみ。中央広場を抜け近付いてはきたが、この造り上実は余程の方向オンチでない限り歩いていれば街壁へ辿り着けるし、壁沿いに歩いて行けば門にもつける。つまりはどういうルートを取ったところで問題はないのだ―――安全性以外は。
 「まあこんなトコロでウジウジ悩んでても仕方ないっスよ! パッパって決めてさっさと行きませんか?」
 「―――で、てめーはどっちに行くつもりだ?」
 ムードメーカーである桃が明るく前に踏み出し―――海堂の言葉に汗を一筋流して固まった。問題はここなのだ。どちらへ行くか。もしも自分の選んだ方でなにか危険があったとしたら、たとえそれを切り抜けられたとしてもその後他の5人にリンチに遭うのは必至! この条件下でそれでも決断を下せる無謀家――もとい自信家はさすがの青学にもいなかった。
 ―――のだが・・・
 「んじゃー、てめーはわかってんのかよ?」
 「ああ? わかんねーからこうやって立ち止まってんだろーが。バカかてめーは」
 海堂にバカにされた悔しさからかついに桃が暗黙の了解として触れずにいた問題の核心に足を踏み入れてしまった。
 「(ムカ・・・)な〜んだ。俺にエラそーに説教たれるからてっきりてめーはわかってんのかと思ったけどな。がっかりだよなー。がっかりだぜ」
 「(ふしゅ〜・・・)るせーな。俺はただ全員が納得して道を選ぶべきだっつってるだけだ。1人で勝手に決められるワケねーだろ」
 「へ〜。とか言って実は外すのが怖いだけじゃね―のか?」
 「なに・・・!?」
 「だってそーだろ? 男ならバシっと決めなきゃなー」
 「(怒)俺はこっちの道だ!!」
 「何ぃ!? だったら俺はこっちだ!!」
 互いに別の道を指差すと「フン!」とばかりに顔を背け、他の4人の意見を聞く事もなくずんずんと歩いていく2人。
 その姿が徐々に遠のき―――





 どん!
 「ぐはっ・・・!!」
 3分程後、海堂の進んだ方向から鈍い銃声が響き渡った。
 「ふ〜、危なかったぜ」
 それを聞き取り額の汗を拭う桃。売り言葉に買い言葉でこちらを選んでしまったが、どうやら正解だったらしい。
 そして―――





 「さて、桃城・海堂のはえある先行のおかげで正しい道もわかった」
 「うん。ホントあの2人のおかげだね」
 「助かったにゃ〜v 桃〜v 海堂〜v ありがと〜vv」
 「―――じゃ、俺達も行きましょうか」
 リョーマの言葉を受け、分岐点にて2人の行く先を温かく見守っていた(笑)4人が桃の選んだ道を進んでいった。心の中で海堂の冥福を祈っていたか――それは誰にもわからない。


Survivor―――不二・英二・乾・桃城・リョーマ






 ―――途中から2年2人しか話に出てこなかったのは書き忘れではなくこんな理由[ワケ]です。噛ませ犬かい・・・。
 では青学はこの5人(多いなあ。やっぱ好きな人多いから(笑))で合流点へ
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2003.1.5write2002.10.25