case4.観月




 さて、今度はそんな観月の試合。
 (んふっ。事前の調査は完璧。ボクの勝ちが揺らぐ事はないでしょう)
 ―――などと考えるのは決して彼の自意識過剰のせいだ、とは必ずしも言い切れなかった。実際あっさり1セット目を先取してベンチへ戻る。
 と・・・・・・





 「ああ、観月、終わったの?
  ―――はい、リョーマ君v あ〜んvv」
 「(ごくごくごく・・・と渡されたペットボトルを暫く飲んでから)・・・・・・ああ、意外と早かったね」
 「お〜さっすがさっすが。
  ―――大石〜v 俺も飲まして〜〜vvv」
 「え・・・英二・・・////!!?(腕を組みもたれかかってくる英二に顔を赤らめ)
  ―――あ、観月、お疲れさん」
 「ホンマ早かったなあ。
  ―――岳人v お前も恥ずかしがらんとv(と、ペットボトルのストローを向日に差し出す)」
 「だ、誰が恥ずかしがってなんか・・・・・・////!!!(忍足からは顔を背けて)
  ―――ま、あと2セットくらいさっさといっちまえよ」
 「はあ・・・、何でこんな事になっちまってんだ・・・?
  ―――ああ、観月さん、お疲れ様です」
 「何だ神尾、やって欲しいの?」
 「言ってねえよンな事!!!」
 「ふっ。俺のチームにいる以上まあこの位は当り前だな(いちゃつくバカップル8人は無視)」
 「あっれ〜? 跡部くん、実は羨ましいの?」
 「何でそういう考えになる・・・」
 「え〜。俺めちゃめちゃ羨ましいよ〜?
  誰か変わって〜vv って感じで。
  ―――ああ観月くん。お疲れ♪」
 「・・・・・・・・・・・・」
 ベンチは思いっきりだらけていた。試合中であるにも関わらず。
 発端はもちろん不二。観月の試合を見る気など端っから全くない彼は、試合開始とほぼ同時にリョーマにちょっかいをかけ始めた。
 それに対抗心を燃やした英二と、さらに便乗した忍足。ため息をつきつつもなんだかいい感じになっている(?)神尾と深司。
 それらバカップルは無視するが、ついでに観月の試合も無視している跡部に、指を咥えて羨ましそうに見やる千石。
 ―――まあどう考えてもこのメンツがまともに試合を見ていたわけもなく。
 上の空で―――というより完全に社交辞令的な口調で流され、観月の額に2つ3つと青筋が立っていった・・・。
 そして・・・・・・・・・・・・







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 「ゲームセット! ウォンバイ日本! 観月!」
 「わ〜すご〜い観月!!」
 「おめでと〜!!」
 「凄かったでお前の試合!!」
 「さっすが観月!!」
 スタンディングオベーション。
 総立ちで拍手を送る彼らに―――
 「嫌がらせですか!!!?」
 ついにぶちきれた観月がコートから出るなり力の限り叫んだ・・・・・・。



―――観月の受難『』まだまだ続く








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いやあ。大変だわ観月。やっぱこのシリーズ(というかウチのサイト全体通して)、不幸なのは跡部と観月か・・・・・・。

2003.5.11