「だから、ね? リョーマ君」

「ヤダ」






美徳・偽徳でお得な作戦?







「え? 受けてくれるの? ありがとうvv」
「『ヤダ』って言ってんじゃん。アンタ耳大丈夫?」
「確かに日本人の美徳として物事をはっきり言わないっていうのがあるけどね」
「はっきり言ってるし」
「でもそれは外国人からしてみれば『はっきりしろ』って言いたいんだって」
「それはわかる」
「わかってくれる? ありがとう」
「だから俺は―――」
「というわけではっきり言った方が時にいい場合もあるんだよ?」
「『ヤダ(きっぱり)』」
「そんな理由で君も僕にはっきりと言ってね」
「いや、アンタまずモロに日本人だろ・・・?」
「そんな事は関係ないよ」
「『日本人の』美徳はどこいったワケ・・・?」
「そんな屁理屈は聞かないよ?」
「アンタだろ始めたの!?」
「そんな風に責任を人になすりつけちゃダメだよ?」
「きっぱりとアンタのせいだ!!」
「またそんな戯言を・・・・・・」
「アンタだアンタ!!」
「やれやれ、ワガママだなあ・・・・・・」
「その台詞はそっくりそのままアンタに返す!!」
「(クス・・・)カウンターなら負けないよ?」
「何の対決だ何の!!」
「まあ気にしないで」
「するに決まってんだろ!?」
「じゃあさっそくやってみようか」
「だから何をだよ!?」
「それはやってからのお楽しみ。
どうする? やる? やらない?」
「ぐ・・・。
やればい―――!!
・・・・・・
・・・・・・ってちょっと待てよ!! それって結局引き受けたらなし崩しにやらされるハメになんのかよ!?」
「わあ。リョーマ君『なし崩し』なんて言葉よく知ってるねv」
「誤魔化すなあああああああ!!!!!!」
















































「―――越前。諦めとけ。そいつには逆らえねえ・・・・・・」
なおもぎゃーぎゃー無駄な問答を続けるリョーマを精神的にとても遠くから見つつ、跡部はため息をついた。リョーマと同様、摩訶不思議の理論に脳内バーストさせられ
OKするハメとなった跡部が。
「まあ・・・・・・周ちゃんだしね」
と、諦めの境地に達したのは、先程泣き落としを喰らい精神戦に負けた佐伯。
「てゆーか誰か不二に勝とうよ・・・・・・」
目の幅涙をぶわ〜っと流し、この中では唯一まともに脅された英二が実現不可能な希望を口にする。
そしてそれにトドメを刺す者もまたいたり。
「いや、ムリでしょう。越前でも負けそうですし・・・・・・」
ただし先程往来で手足を振り回しダダをこねられた事に比べればかなりマシな扱いだと思う―――嫉妬とでも言うべきか、そんなものを僅かに覚えながら裕太が呟く。
ため息の四重奏が・・・・・・いや、ため息の交響曲が広がる。不二の被害者はもちろん彼ら4人だけではなかった。
誰もが思うのは1つ。
((((千石(さん)はどうやって勝った!!!!???))))
不条理な事実に対する怒り。なぜ彼だけ逃げおおせた!?
そんな疑問はもちろん解けないまま、今彼らの目の前で最後の砦が崩れた・・・・・・。







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「じゃあ人数もそろったところで始めようか」
「お〜♪」
『え・・・・・・・・・・・・?』
重苦しいその場に限りなく似合わない明るい声に、誰もが眉を潜める。
不条理な事実
Part2。明るさにも確かに感じるがそれ以上にその存在そのものに。
「千石・・・・・・」
「なんで、お前が・・・・・・?」
そこにいる・・・・・・先程不二の『攻撃』から逃げおおせた筈なのに今むしろ率先して不二に協力する千石に。
が、彼らの疑惑の視線を一心に浴び、それでも千石はきょとんとするだけだった。
「なんでって・・・・・・もちろん俺も参加するからだけど?」
『え・・・・・・?』
不条理な以下略3。とことん明るい千石の様子に誰もが首を傾げる。
代表して、何人かが尋ねた。
「なんか変な理論に惑わされたんじゃねーのか?」
「え? 別に? 普通に誘われただけだよ?」
「泣き落としとかも喰らったんじゃなくって?」
「不二君が俺にやってくれるワケないっしょ」
「脅されたんでもなくって?」
「いっや〜。それはそれは大変だったね。ご愁傷様。うん。本気で思う」
「ダダとか捏ねられたりしたんでもないんですか?」
「あ〜。それ見てみたかったな〜vv」
『・・・・・・・・・・・・』
不条理だ。不条理すぎる。
こんなに嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で嫌でたまらないものを何もされずに自ら引き受けただと!?
「いたじゃん。周助よりも強者」
呆れ返ったリョーマの言葉に、全員はただただ頷くしかなかった・・・・・・。













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この話は確かリョーマと不二の摩訶不思議理論がメインのはずだったのですが・・・・・・気が付くと摩訶不思議な千石さんがメインになっていました。さてさて、結局不二はみんなを誘って何をやろうとしていた―――しているのか、それは皆様のご自由にどうぞ。
―――あー、一体何やろうとしてたんだろう不二様・・・・・・ってお前も考えてないんかい・・・・・・。