She's Star ! Our Star !
2
〜人気独り占めの方法伝授します〜
いよいよ始まる撮影―――の前に。
「じゃあとりあえず最初はお互いの実力把握、という事で―――」
大石の提案に手塚も頷き、かくて練習試合をする事となった。
・ ・ ・ ・ ・
男子テニス部のコートで行われる試合。
『運動神経抜群で3ヶ月前からテニスを始め、大会で割といい成績が取れるほどの実力』と最初に言った通りさすがに明石はそこそこ強かった。男子テニス部員に楽に勝つ。レギュラーにはちっとも敵わなかったが、まあその程度出来れば問題はないか。
そして女子の練習。
男子コートのほうが一面多いという事でミクスドの練習は男子コートで行われる事になっていた。
そんなワケで男子部員と試合をする舞。
『おおおおおおお!!!!!』
「やんっ」「きゃっ!」などとボールが来ては可愛らしく悲鳴を上げ、それでも懸命に返そうとするその姿は確かに「守ってあげたい!」と周りに思わせる彼女のイメージ通り。
その姿に、女子部員らの冷めたひんしゅくを他所に盛り上がる男子部員ら。
そしてこちら、男子レギュラー陣も、
『おおおおおおお!!!!!』
普段にはない程に盛り上がっていた・・・・・・。
・ ・ ・ ・ ・
「で、向こうは向こうにやらせるとして、越前の相手は誰がする?」
今回ひょんな事(どこぞの2人の我侭)からミクスドを組む事になったリョーマ。しかしリョーマは女子テニス部員である。『期待の新ルーキー』と話に聞いてはいても、その実力は男子部員の彼らにはわからなかった。
が、仮にもリョーマは異例の1年レギュラー。普通の部員に相手をさせては失礼、という事でこちらもレギュラーが相手をする事になった。
「ああ、越前君ならオールラウンダーだけど完全攻撃型だし、サーブとネットプレイが得意だよ」
恋人としてもちろんリョーマの事は良く見ている不二がすらすらと答える。
「ネットプレイ・・・・・・というと菊丸と同じか」
「オッケー。俺やる俺やるv」
そんなわけでリョーマの対戦相手は英二となった。
そして―――
・ ・ ・ ・ ・
『おおおおおおお!!!!!』
完全互角に進む試合に、思わず不二除くレギュラー全員が声を上げる。
「スッゲーぜ越前! 英二先輩と互角じゃねーか!!」
「一本足でのスプリットステップだと・・・!?」
「これは・・・驚きだな・・・・・・」
手塚ですら予想しなかったリョ―マの実力に声を詰まらせる。実力派揃い(当り前)のレギュラー陣。性別や年齢・敵味方など一切関係なく単純に強い相手に引き寄せられる性分の持ち主たちだ。
かわいらしいヘタクソな女の子など見向きもせずに、ただリョーマと英二の試合にのめり込んでいった。
・ ・ ・ ・ ・
「―――ゲームセット! ウォンバイ越前! 7−5!」
「まだまだだね」
「にゃ〜〜〜!!! 悔し〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
「英二先輩に勝っちまった・・・・・・」
「さすが。やるね、越前」
全身から汗を噴出させ、荒い息を落ち着けながらも生意気台詞は忘れないリョーマに、不二が笑顔でタオルを手渡した。
「というわけだから、越前が僕たちとミクスドを組む上では何も問題はないと思うけど?」
「そうだね。これだけ出来るならむしろ願ったりだ」
「後は・・・相性の問題か」
「相性なら僕たちばっちりだよvv」
「・・・・・・・・・・・・なんで?」
不二の不穏ならざる言葉に、タオルから顔を上げてリョーマが尋ねた。
『なんで』・・・・・・もちろん尋ねる前の沈黙がその理由は痛いほどに物語っていたが。
それでも構わず不二は言った。飛び切りの笑顔と共に。
「だって―――
もちろんそれは僕達が恋人だからv だよvvv」
ぎゅっとリョーマを抱き締める不二。
「だったら俺もだよね!? おチビ!?」
逆側から英二もまた抱き締める。
「何言ってるのさ英二。君は負けたじゃないか。負けたヤツは越前には相応しくないよ」
「けど俺の方がダブルス専門じゃんかよ!!」
などなど言い争う2人とその間に挟まれたままの不幸な少女を見やり―――
((勝手にやってろバカップル・・・・・・))
全員の思う事はおおむねこの一点に尽きた。この程度はいつも通りなので今更誰も口を挟まない。
と―――
「―――あの、どうでした?」
ふと隣のコートから声がかかった。
隣のコートに目を向ける。そこには部員らに混じって見慣れない少女と少年が1人ずつ・・・・・・
『あ・・・・・・・・・・・・』
思わずレギュラーら全員が呆けた声を上げた。
リョーマの試合に夢中で、
・・・・・・すっかり見忘れていた。―――3へ
む・・・。蹴落とし合いまで行ってない!? てゆーかもしや蹴落としあいはリョーマと舞の間の出来事か!?
さて次! こそいよいよ待望の(誰が?)ミクスド! が出来ると・・・いい、な・・・・・・・・・・・・
2003.9.11