昼休みにて
学校生活を営む者にとって、昼休みとは様々な意味を持つ。そして誰もが己の見出した『意味』に沿って行動する。昼食を食べる者、昼食を急いで食べさっさと遊びに行く者、そして授業からの延長として寝続ける者―――。
ここ、1年2組にもにもそんな一人がいた。越前リョーマ。テニスの腕は天才的で、近隣の中学では既に「青学の1年ルーキー」として有名である彼も、授業中にはただの中学1年生と化す。それもかなり悪い部類の。
「おい越前、もう昼だぞ!」
見かねた堀尾がゆさゆさ揺さぶるも、軽くうめいただけで再び眠りこけるリョーマに、周りからは苦笑と失笑が漏れる。リョーマの寝癖(髪の方ではなく)は入学してからそうそうたっていないにも関わらず、既に周知の事実となっていた。
「ったく、しょーがねーなー・・・」
ぼやく堀尾、これもまたいつもの事だ。が、
ガラッ!
教室の扉を開け、外から人が乱入してくると同時、『いつもの事』はあっさりと終わりを迎えた。
「おっチビ〜! お昼食べよ〜vv」
突然の訪問者にクラス中が悲鳴をあげる。それもその筈、笑顔で弁当袋(だろう、多分。話の流れからすると)を振り回すその乱入者は青学の生徒なら、どころか青学の関係者なら知らない者はいないであろう男子テニス部のレギュラー・菊丸英二だった。その後ろには同じくレギュラーの不二周助も、こちらは幾分大人しくいつもの笑みで「失礼します」などと言っていたりする。
「き、菊丸先輩! それに不二先輩も!?」
いきなり来た先輩達に、挨拶も忘れて堀尾は叫び―――その事に気が付き頭を下げかけたが、不二が笑顔で「別にいいよ」という手振りをしたためとりあえず挨拶はそこそこに尋ねた。
「けど先輩達、何でこんなトコに来たんスか?」
「ああ、英二が言ったとおりだよ。越前君とお昼食べようかと思って―――」
「あ〜! おチビ寝てるにゃ〜!!」
不二の声を遮る形で英二が叫んだ。相変わらずブンブンと振られる弁当袋の先では、先程までと同様に両腕を枕にリョーマがすぴすぴと眠っていた。
「あ,今起こします!」
不満げな英二の機嫌を取るように慌ててリョーマを起こそうとした堀尾だったが・・・。
「え、いいよ、そのままで」
「そーっスか?」
「うん。
―――ね、英二」
殊更深い笑み(といってもそれ察したのは同じテニス部員のみであっただろうが)で英二に向かって首を傾げる不二に口を尖らせていた英二もにんまりと笑った。
「そーそー」
笑いあう二人から流れる妙なオーラに誰のかはわからないが身の危険を感じる堀尾。だが、
「・・・じゃ、じゃあ俺今日はカチローたちと食べますんで」
「そなの?」
「じゃあまた放課後」
(ゴメン、越前・・・)
とりあえず自分の身の安全を最優先にして、堀尾は渦中の人物を残したまま教室を出て行った。
κ κ κ κ κ
「にゃ〜v おチビほっぺたぷにぷに〜vv」
丁度空いていたリョーマの前の席に後ろ向きに座った英二が、早速寝たままのリョーマにちょっかいをかけ始めた。
「まあまだ成長前だものね」
言いながら、やはり空いていたリョーマの隣の人の椅子を借りた不二がこれまた英二同様リョーマの頬を指でつついた。
「裕太もこの位の頃(年齢ではなく身長。大笑い)はこんな感じだったな」
「へ〜そーにゃの? 俺一番下だから触った事にゃいよ〜」
「あ、そっか。むしろ英二は触られる側だしね」
「そーそー、姉ちゃんとか兄ちゃんとかにしょっちゅう触られてたよ」
「うん、僕も姉さんにはよく触られてたな・・・あれ?」
「どったの、不二?」
ほっぺをつついていた手にさらりとかかってきた髪の感触に、思わず声を上げる不二。
「越前の髪って・・・柔らかかったんだね」
いつも外に跳ねていたため(そして彼の性格からそうセットしていたわけではないだろうと予測していたため)てっきり割と堅めなのかと思っていたのだが・・・。
思っていたことをそのまま述べる。
「てっきり英二みたいに堅いのかと思ってたんだけど」
「悪かったな、堅くて・・・・・・」
ジト目で英二が不二を見る。まあこちらはこちらでクセだけでこの髪形を維持できるのだから――というか逆に毎朝ムースだのワックスだのを使って押さえ込んでいるのだから相当に堅い。
「―――けどホントおチビ髪も柔らかい〜v」
多少むくれていた英二もリョーマの髪をなで、あっさり機嫌を直す。と、
「―――英二?」
「あ、やっぱ不二の方が柔らかい」
「そりゃあ、ねえ・・・」
こちらに手を伸ばし、薄茶色の髪をなでたり引っ張ったりする英二に、不二は苦笑した。英二とは対称的に自分の髪はかなり柔らかい。というか芯がない。おかげで寝グセの付きようもないほどだ。ちなみにこれは菊丸一家同様不二家の伝統である。
「裕太も今かなり髪短くしてるでしょ? あれたぶんあれ以上にすると下に下りてくるからだと思うよ」
「あれ、けどお姉さんクルクルしてたよね?」
「姉さんはパーマかけたからね。けどすぐ落ちるって文句言ってたけどね」
「大変にゃんだねー、柔らかいのも」
堅い英二としては柔らかい不二の髪には憧れていたのだが・・・。
「そんな事もないよ。こういう髪型には便利だし。まあ風が吹くとすぐに絡まるのが欠点かな」
「にゃるほど〜・・・」
不二の髪型は中学に入ってから――いやアルバムを見せてもらった限りではそれ以前も変わっていない。そんな髪型だから女の子にも間違えられるだろうに(もちろんそう口に出した訳はないが。命も惜しいし)なぜ変えないのか不思議だったのだが。
「―――ところで越前起きないね。よっぽど眠りが深いのかな?」
これだけ周りで騒いでいながらもリョーマはピクリとも反応しない。
「う〜〜ん、どーしよっか・・・」
お昼食べたいし、と英二が続ける。当然の事ながらこのようにリョーマで遊んでいる2人はお弁当を広げてすらいない――ちなみにそんな2人の(3人の)動向が気になるギャラリーもお昼どころではない。
「越前を・・・・・・1.鑑賞しながら食べる。2.オカズにしていただく。3.遊ぶ片手間に食べる。4―――」
「ストップストップスト―――ップ!!!」
不二のなかなかに危ない発案の連打に両手を振って英二が叫んだ。
「ヤバいって今の! 特に2番!!」
「そーかなー、僕は純粋にテレビを見ながら食べるのと同じような意味で言ったんだけどなあ・・・」
「不二が言うとそうは聞こえない!!」
「じゃあ、どうしようか?」
「どうって・・・・・・頼むから俺の意見聞いてくれ・・・・・・」
無駄だと思いつつ抗議してみる。が、やはり無駄なものは無駄だった。
あっさり英二の言葉を流して不二が続ける。
「後あるとすると・・・・・・」
「・・・素直に起こして一緒に食べるとか出ないワケ?」
肩をカクリと落として呟く英二に不二がああ、と声を上げる。
「けど越前って寝起き悪くなかったっけ。となると問題はどうやって起こすか、だよね」
「にゃ〜、どーしよっか」
これじゃさっきの繰り返しかにゃ? などと英二は思っていたのだが、あっさりと会話は進んだ。
「こうしよっか」
言いながら不二の手に持たれた『それ』を見て――むしろそれを持った不二の顔を見てか――英二もまた不二と同じような笑みを浮かべた。
「いいじゃん、ソレ」
κ κ κ κ κ
「おっチビ〜、起きないとキスしちゃうぞvv」
ええーーー!!?
ガタガタガタッ!!
リョーマの耳元で英二が囁いた言葉に、どうやって聞きとったのかギャラリーが沸き立つ。が、その中心にて問題発言をした人物は全く動じる事無く、言われた本人が目覚めないのを確認すると斜め前にて自分達をにこにこと見守っていた共犯者へと目配せした。
「じゃあ遠慮なく」
そう言うと不二は机に横向きに寝ていたリョーマの髪を左手で掻き上げ、顔を近づけた。
いやーーー!!!
周りからの声がより一層大きくなったが、幸いリョーマを起こすほどではなかった。
顔を近づけ、1秒、2秒・・・
「ん・・・・・・」
5秒ほどしてようやく反応し始めたリョーマ。しかしそれは覚醒寸前というのではなく・・・。
「あ・・・・・・」
触れているものを中へと導くように唇を僅かに開く。無意識ながらもその扇情的な姿に英二が見を乗り出し、不二も顔をより近づけた。
「ぅん・・・・・・」
誘われるまま少し口の中に入って来たものをより引き入れたいのかそれとも押し出したいのか、蠢くリョーマの舌がそれに絡みつこうとした。
と、
「んん〜・・・・・・」
ようやく目覚め始めたかリョーマの目が薄く開いた。薄く開き、そして・・・。
「オハヨウ、越前君v」
がたん!
にっこり笑う不二に、一気に目を見開いて椅子から勢いよく立ち上がった。
「せ、せ先輩・・・・・・!!」
「なに?」
「い、今・・・!!」
震える声で、それでも真剣に問う。この答え如何で自分の彼に対する態度は変化する。
「今、何したん・・・・・・っス、か・・・?」
「何だと思う?」
「〜〜〜!!!」
笑顔のままの不二に逆にされた質問に、リョーマは顔を赤くして固まった。キスならアメリカでいっぱいした事がある。ただし挨拶代わりに。当然の事ながら頬にのみ。
つまり、今自分の考えた事が真実[ホント]だとしたら―――自分のファーストキスの相手は不二という事に(もちろん家族は除く)!!
(そ、そりゃ不二先輩はキライじゃないケド・・・! あ、けどこの人見下すみたいな笑顔とワケわかんないトコなんかはちょっとな・・・。ってそんな事考えてる場合じゃなくて! 俺は別にそんな趣味ないし・・・大体先輩なら相手なんていくらでもいるだろうし絶対俺となんて遊びだろうし・・・だからそーじゃなっくって!!)
などといつもの生意気な態度からわ想像がつかないほど可愛くパニクるリョーマ。顔を赤らめたまま徐々に口を開いていく。と、
「なんてね」
「は?」
訝しげなリョーマの口に笑顔の不二がそれを放り込んだ。
「んむ・・・。ウインナー?」
入ってきたそれを飲み込み、呟く。口の中に広がる味はまさしくそれだった(いやまあソーセージやフランクフルトでも同じような味だっただろうが)。
わけがわからず首をかしげたリョーマを見て―――耐え切れなくなった英二がぎゃはははははは!! ど大笑いした。
「おチビナイスリアクション!!」
「は? あ、英二先輩!」
「も〜おチビちゃんカワイイ〜〜〜vvv」
言いながら―――というか笑いながら座ったままの英二がリョーマの頭を乱暴になでた。不二は不二で彼特有の笑い方―――ブッと噴出し、顔を赤くして肩を震わせている。どうやらこう呆ける自分は本気で面白いらしい。
笑いこける2人を前に、ようやくリョーマは今まで自分の身に起こっていた事―――というか自分がこの2人にされていた事を理解した。どうやら口に触れていたのはこのウインナー(と推定)らしい。そういえば寝ぼけながらもなんか伝わった感触は堅かったような・・・・・・。
―――ちなみに余談だがさすが天才不二様(何のだ?)、ウインナーを箸に挟んだまま繊細に動かし、ラストには完璧なコントロールでリョーマの口に放り込むという達人並みの行為を難なくこなしていたりする。
「・・・・・・で?」
まだまだ笑いつづける2人に、元々短気なリョーマの怒りが早頂点に達した。拳を振るわせ、それでもギリギリで込み上げてくる何かを堪る。
「何やったんスか、先輩達・・・・・・」
「あ、そーそー」
俯いたままゆっくりと尋ねるリョーマの剣幕に押され――た訳ではないが、一通り笑い終わった英二が本題を思い出し、今まで前の机に置いていた弁当袋をかざした。
「お昼一緒に食べよv」
「いやっス」
返事はにべもないものだった。
「え〜〜〜〜〜〜!!? なんでーーー!!?」
「アンタたち2人と食べてると全っ然食事進まないじゃん。しかもすぐにヒトの分[モン]まで食べようとするし」
「けどおチビだってオレのモン食おうとするじゃん。こないだだってそれでエビフライ取られたし」
「先輩が先に俺の弁当取ろうとしたからでしょ」
「じゃあ僕は良いよね?」
「・・・アンタが一番ダメなんじゃん」
「そーだよ。俺とおチビが取り合いやってたらいーっつも不二に横から掻っ攫われるし」
「大体どーやっていっぺんに2個も3個も取れるんスか? それも俺と英二先輩の弁当両方から」
「う〜ん、特に何かコツがある訳じゃないと思うんだけど。強いて言うなれば箸使いと隙の見つけ方かな?」
「それって俺たちは隙だらけってコトー!?」
「隙、というかそれ以前に周りの事も見るようにしたほうが良いんじゃないかな?」
「そんなの出来るワケないじゃん!! 大体―――」
自分で振っておいてなんなのだが・・・・・・リョーマはこの不毛な会話に早くも飽きていた。
(何やってんだろ、俺・・・・・・)
先程まで、ほんの2・3分程前までは幸せを噛み締めていた。それがこの先輩達の乱入のおかげであっさり崩れ、おなかが空いているというのにお昼も食べられずこんな不毛な会話に付き合わされて。もう無視してお弁当を広げてもいいのだが、そうすると先程の会話どおりこの2人の餌食となる。別にこの2人がそこまでの大食という訳ではないし、取られた分以上にくれるのだから厳密には『おすそわけ』だが。
(ほんっと、何やりたいかわかんないよね、この先輩達・・・)
だがしかし、好物を取られればムカつく。しかもなぜか自分の好物ほどよく狙われる。
「ところで先輩達、さっきの答え、まだ聞いてないんスけど」
「ああ、あれ?」
次いで会話に参加してきたのは不二だった。いつも通りの笑みを浮かべ、
「越前君を起こそうと思って。ホラ起こすって言ったらやっぱりキスでしょ? けど越前君のそんな可愛い姿他人[ヒト]には見せたくないし」
「アンタ達にも見せた事ないだろ!!!」
当然のような顔をして平気でメチャクチャ言ってくる不二に再び真っ赤になるリョーマ。机をどばんと叩いて詰め寄るが、その程度で不二の鉄壁の笑顔を崩す事は到底出来なかった。
「けど・・・・・・」
と呟きながら、リョーマが詰め寄ってきたのをいい事に不二は椅子から僅かに腰を浮かせると彼の耳元に顔を寄せた。
目を少し開き、口の端に笑みを浮かべ、今までより若干声のトーンを落として囁く。
「(さっきの越前君、凄く可愛かったよ・・・・・・)」
「〜〜〜〜〜〜!!!」
もちろん寝ぼけての奇行など完全には憶えていない。ただあの時、口の中に入ってきた物が気持ちよくて舌を伸ばした事は良く憶えている。
かあ〜っと、首といわず耳といわず全てが赤くなるのを感じる。
「あ、おチビ真っ赤。
不二―、おチビになんて言ったの?」
「それはね―――」
ガタン!!
不二に致命的なことを言われる前にと、リョーマはおもむろに立ち上がると脇に下げてあったテニスバッグを掴み、椅子から離れた。
扉まで進み、くるりと後ろを振り向く。自分の行動にきょとんとする2人に向かって、一言。
「俺今日屋上行って食べますんで、くれぐれもついて来ないように」
言い終えるとリョーマはその意思表示のためか、後ろ手にピシャリと扉を閉めた。
κ κ κ κ κ
リョーマの去った(であろう)方向を暫し目で追った後、英二がボソリと言った。
「行っちゃったね、おチビ」
「うん、そうだね」
なぜかこの状況でも笑顔のままの不二を不審に思わなくもなかったが、先を続ける。
「怒ってたね」
「うん、そうだね」
「やっぱちょ〜っとやりすぎたかな―・・・」
「うん、そうだね」
「・・・・・・」
「うん、そうだね」
「・・・・・・最近の俺ってすっげーバカだよね」
「うん、そうだね」
「―――聞いてる不二? 俺の話」
「特に」
そうあっさりと答えてくれた素敵な親友に英二の肩が落ちた。
「・・・・・・別にいいけどさ・・・」
(聞いてないんならないでなんでそこだけ即答するワケ?)
そんな事も思わなくもなかったが。ついでにその1つ前に関しても絶対聞いていたような気もするが。
「そう? で、どうするの?」
「へ? にゃにが?」
「だから―――このままここにいるの?」
不二の質問にようやく思い当たる。そういえばここは自分達のいつもいる3-6ではなかった。
「う〜ん。おチビがいないんじゃ俺達がいてもにゃあ・・・」
「じゃあ教室戻る?」
「そーするしかないっしょ」
そう言いながらも不二の意図が読めず、英二は首をかしげた。
(まだなんかやる事あんのかにゃ?)
そんな英二に―――立ち上がった不二はこの上もなく極上な笑みを浮かべた。
「なら僕は用事あるから英二先戻っててね」
「ちょ、ちょっとタンマ!! 用事ってまさか―――!?」
「もちろん、屋上に」
「そんなのダメに決まってんじゃん!! おチビ今度こそ本気で怒るぞ!!」
「なんで?」
「なんでって、そりゃもちろん―――!!」
もちろん付いて来ないようにって釘刺されたからだし、それはもちろん不二も聞いてただろうし・・・)
英二の心の葛藤を知ってか知らずか、不二は極上の笑みのままで恐るべき発言をした。
「そんなの理由なんて幾らでも捏造でき[つくれ]るじゃない。『僕も屋上で食べようとしてた』とか『天気がいいから』とか」
その理由で納得できるヤツっているのか? そう適切に判断した英二はその判断に基づき、やはり適切な行動に移った。
「じゃあ不二は屋上に行くんだな。俺は先教室に戻ってるから」
リョーマとのお昼は捨てがたいがそれで嫌われては元も子もない。だからこそ笑顔で不二を見送ろうとした。が、
「いいの?」
「・・・・・・何が?」
いかにも不二の思わせぶりな言葉に、罠だとわかっていながらついつい反応してしまう。
「『晴れた日』・『屋上』・『昼休み』。これらのキーワードから想像される人物は?
―――って、あーあ、英二速過ぎ。さすが男子テニス部トップの瞬発力だけあるなあ」
不二が一通り言葉を言い終わった頃には、1-2の教室に英二の姿はなかった。疑問符を言い終わったとたんに椅子から飛び上がり転がり出たのだが、それでも誰にもぶつからずに走り出れたのはさすがとしか言い様がない。テニスに関しての瞬発力なら1本足でのスプリットステップが出来るリョーマも同レベルなのだが、日常生活全般となると英二の方が一歩前に出る。まあレギュラー+αならもともと運動神経全般が人並み外れていいのだが。
乱れたままの椅子を直し―――くすりと笑う。
「英二ってば、目的の物忘れてどうするのさ」
机の上に乗せられたままの弁当袋を持ち上げ、数秒悩んだ後一緒に持って行ってやることにした。
(まあこれでまた越前が英二にたかられたら可哀想だし)
一通り片し終わると、不二は周りの皆の注目を集めたまま悠然と教室を出て行った。
最後に来たとき同様「失礼しました」と頭を下げ、やはり悠然と廊下を歩く。目指すは屋上。リョーマと英二と彼――桃城がいるであろうその場所へ。
(これで英二も共犯決定、だね・・・)
―――この日4階にいた1年及び2・3年の一部の生徒は、楽しそうな不二の姿が見られてとてもラッキーだったらしい。
ハイ、強制終了v
κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ κ
なんだかラストに行くほどまとまりのない話になってきましたよ。内容そのものはかなり気に入ってるのになあ・・・。出来は身体測定並に悪い。―――いや別に3-6メイツが嫌いなわけじゃないですよ。たまたま偶然そうなっただけです。やっぱり1話に長期間かけるのはダメですね。ってこれでも7日しかかかってないんですけどね。
うみゅ。構図としては王子をからかうメイツ。キレる王子、暴言爆発、と。しかしこれだけ人前で――というかメイツFanの前でこき下ろしていればさぞかし妬み恨み怒りを買っているでしょうなあ。実はそれに関するネタもちょっとあったりして。結果は王子の圧勝ですな。毒舌で王子の右に立つ者など、某不二家の長男くらいでしょうし。
私の中での王子&メイツの扱いはこんな感じで。後は『HAPPY〜』での対立関係みたいなの。そうそう、対立関係といえばやっと桃も関与できるようになってきましたなあ。おめでとう、桃。これからは君もいよいよこの2人の滅殺目標に!! ってかーなーり、いやそう・・・・・・。
(まとまりの全くないまま)ではまた。
2002.8.1〜8