リョーマ君一日独占券





晴れて訪れた
1125日。この日山吹1のラッキー男千石清純は、その2つ名通り幸運を呼び寄せ(というか管理人の思惑通り)大好きなリョーマ君の1日独占権を手に入れた。
「わ〜いvv これで今日は1日リョーマ君とデートvvv」



が、世の中それほど甘くはなかった。







「千石、ちょっと部活に出て後輩指導してくれ」
「ええ〜〜〜!!? 俺今日忙しいんだけど」
「とか言って学校サボる気だろ? ちゃんと勉強しろよ。受験生だろ、一応?」
「『一応』は余計だっての、南」





授業開始直前

「おい千石、お前今暇か?」
「え? 忙しいんですけど」
(これからリョーマ君とデートだしvv)
「そうか暇か。ならこれ教室に運ぶから手伝ってくれ」
「・・・って今『忙しい』って・・・・・・」
「学生が教師の仕事を手伝うのは当然だろ?」
「ううううううう・・・・・・」





そんなこんなで朝から妙やたらと災難に巻き込まれていた千石。もちろんすべての原因はこれを今作っている管理人にあるのだが、彼がそれを知るわけはない。
とはいえこのまま1日妨害され続けるとせっかくの誕生日企画がただの喜劇になってしまうため、ここは千石にもチャンスを与えてみよう。





そして





「や〜っと抜け出せた」
昼休み、青春学園の校門前にて。何とか与えられたチャンスを活かせたらしく、授業のエスケープに成功した千石はリョーマ君独占権を行使すべく、彼のいるであろう教室へ行こうと足を向けた。
と、
「ラッキ〜v ようやく今日のツキが回ってきたvv」
丁度4限は体育をやっていたのか、リョーマは1人、体操服姿でテニスコートの整備をしていた。ほかの人は道具を片づけにいったというところか。
「リョーマ君v」
近づいて声をかけてみる。
「あ・・・・・・千石さん」
「今からデートしない?」
といいつつ千石は懐に入れておいた件の券を見せようとした。が、それよりも早く
「いいっスよ」
「え?」
「だから、今から出かけるんでしょ? 俺行きたいところがあるからそこでいいよね」
「え、う、うん。もちろん。リョーマ君が行きたいところだったらどこだっていいよ」
心の中で涙をだくだくと流しながら頷く千石。今までさんざんアプローチしてきたがことごとく振られ続けたというのに、まさかそのリョーマから誘いをかけてくるとは思わなかった。
(俺ってラッキ〜〜〜〜〜vvvvvv)
天にも昇る思いでリョーマについていく―――
と、





「屋上・・・・・・?」
「そうっスよ」
本当に上ってきた先は屋上。別に今から飛び降りて、本当に天に昇る(なんだか矛盾しているようだが・・・・・・)なんていうわけではない。
「なんで、屋上?」
「今日あったかいから」
「・・・・・・つまり?」
「昼寝には丁度いいかと思って」
「・・・・・・・・・・・・」
つまりはここまで連れてきておきながら何もせずお昼寝する、と。
「え〜っと・・・・・・」
俺としてはどっか出掛けてぱ〜っと祝いたいんだけど・・・・・・そう言おうとした千石を無視する形でリョーマがコンクリートの地べたに腰を下ろした。
「あ、そこ座って」
「え? こ、こう?」
「じゃなくて、足伸ばして」
「う・・・うん・・・・・・
―――って、リョ、リョーマ君!?」
千石が驚くのも無理はない。伸ばした彼の脚の上に頭を乗せ、ころりと寝っころがるリョーマを見ては。
「・・・・・・ウルサイ」
「け、けどこれって・・・・・・」
(ちょっと違うけど膝枕!?)
「俺寝るから5限になったら起こしてね、清純」
それだけ簡潔に伝えると寝息を立て本当に寝るリョーマ。
「お〜い。リョーマく〜ん・・・・・・」
顔の前で手をパタパタ振ってみたりしても起きる気配はまったくない。
「え〜っと・・・・・・」
先程と同じ言葉で悩んでみる。
・・・・・・・・・・・・
「ま、いっか」
小春日和の日差しの中、ひざの上にはリョーマのかわいい寝顔。
これはこれで最高の幸せだ。
「やっぱ俺ってラッキ〜♪」
リョーマの風に揺れる髪をなで、千石はいつものお決まりの台詞を言った。





fin















おまけ



「何で起こしてくれなかったんだよ!?」
「え? だって5限が何時から始まるか俺知らなかったし。
それにリョーマ君の寝顔すごいかわいくって起こすのもったいなかったからv」
「サイアクーーー!!!」
放課後、すっかり寝過ごし部活に遅刻した結果としてグラウンド
40周を命じられたリョーマ。そしてそんなリョーマに八つ当たりされ、同じくグラウンドを走っている千石の姿を、学校に残っていた者みんなが目撃したらしい。



















哀里:「ふへ〜。間に合った〜」

千石:「ご苦労さん。おかげで俺もリョーマ君と楽しい1日過ごさせてもらえたし」

哀里:「ををををををを!? 書いた話ようやくキャラにほめられたよvvv」

千石:「いやけど前回(木更津くんの)は哀里が悪いと思うけどな〜・・・・・・」

哀里:「いやあ、けどあれはあれで愛は込められてたわよ」

リョーマ:「哀里の愛なんて絶対いらないね」

哀里:「ウワひっど!! 愛がなくちゃこんな話なんて書けないというのに!!」

リョーマ:「その割には今回俺の扱いぼろぼろだったじゃん。それで『愛』が篭ってたわけ?」

哀里:「ぼろぼろって、どの辺りがよ!? 今回は(珍しく)全員そう悪い思いはしてないと自画自賛してたのに!!」

リョーマ:「(半眼)今日、ものすごい寒いんだけど。しかも雨降ってるし」

哀里:「(どきっ!)い、いやぢつはリョーマはきっと厚着してたのよ!」

千石:「けど体操服姿じゃなかったっけ?」

リョーマ:「それに雨は?」

哀里:「ものすごい分厚い体操服とか。あ、それにかっぱかぶってたのかも。あれ保温性もありそうだし」

リョーマ:「かなり無理のある展開だね」

哀里:「うるさいうるさいうるさ〜い(逆ギレ)!!!
だからこそこのクソ寒い中『小春日和』とか『あったかい』とかなんとかウソぶっこいて1人寒い思いしてんじゃん!!」

千石:「うわちょっと物投げるのはどうかと・・・・・・痛!」

リョーマ:「大人気ないな。まだまだだね」





哀里:「(ぜ〜は〜ぜ〜は〜・・・・・・)む〜・・・。けどやっぱ企画の都合上主役はなんといっても千石さんなのでまず1番いい思いをするのは彼かと。それに千リョとしてはほのぼのでいい感じだったと思うけどなあ。
なにせ千リョはもしかしたら不二リョよりずっとほのぼのとしては書きやすいような気がしなくもないと思うようになってきたし・・・・・・」

千石:「どっちなの、それ?」

哀里:「さあ?」

千石
&リョーマ:『ダメじゃん』

哀里:「
Wツッコミかい。
まあ答えはもっと書いていけば判明するとして」



哀里:「千石さん」

リョーマ:「何はともあれ」

哀里
&リョーマ:『お誕生日おめでとう』

千石:「ありがと〜〜〜vvv
・・・・・・ところでリョーマ君、『何はともあれ』って、何?」


リョーマ:「さあ?」

千石:「ダメじゃん」








2002.11.25 千石さん、HAPPY BIRTHDAY!