「リョーマ様ぁvv」
 「リョーマ・・・君・・・」
 「越前君vv」





 『私、お弁当作ってきましたぁ!!』





 「―――は?」







嗚呼壮絶なりき弁当バトル!





 「む!」
 「えっと・・・」
 「オイラの邪魔する気か!?」
 包みを抱え火花を散らす(若干一名引き気味だが)朋香・桜乃・寿葉。
 恋という1フレーズを携え暴走する、こういった人種を理性的に止めるのは不可能だし不毛だとよくわかっているので、リョーマはため息をつき口を閉じた。
 その間にも3人の争いは続き、
 いつしかこんな展開になっていた。







●     ●     ●     ●     ●








 「こうなったら勝負よ!!」
 「ええ〜・・・?」
 「そだべ!! そんで勝ったんが越前君にあげるんだ!!」
 「ちょ、ちょっと2人とも〜・・・・・・」
 「見なさい! 朋香特製愛の三段弁当!! アタシのリョーマ様への愛情舐めるんじゃないわよ!!」
 「ふん! 何さこの弁当!! ちゃらちゃら飾ってどーせ見掛け倒しだべ!?」
 「むきー!! だったらアンタの弁当見せてみなさいよ!!」
 「いいだ! 見て驚くな!!
  寿葉特製スポーツ選手にはこれが一番だべ弁当だ!!」
 「何それしょっぼー!! そんなんでアタシのと張り合おうっての!? ちゃんちゃらおかしくてへそで茶が沸くわよオォ〜ッホッホッホ!!!」
 「こん弁当の凄さもわからんべか!? 所詮三流、越前君の相手として全然ふさわしくねぇーさ!!」
 「何ですってぇ!? だったら言ってもらおうじゃないの!! その何の工夫も見られない貧相極まりない弁当のどこにリョーマ様への愛が篭ってるのか!?」
 「弁当は量より質!! 栄養バランスをきちっと考え、尚且つ午後の部活に支障はきたさんよう消化のいいモンばっかだべさ!!」
 「ははん!! さっそくボロが出たわね!!
  弁当は質より量よ!! 午前中のハードな練習でリョーマ様がどれだけお腹空いてると思ってんの!? そんなんじゃ小腹の足しにもなんないわよ!!」
 「ぐぅ!?」
 「大体スポーツ選手+伸び盛りなら食事はいっぱい必要だって気付きなさいよ!!
  その程度もわかんないなんて、アンタの方がリョーマ様の相手として5流以下よ!!」
 「りょ・・・料理の基本は味だべ!? 美味いモンを食って午後も頑張るもんだ!!
  マズいモンいっぱい食わされたらそれこそ拷問だべ!」
 「だったら食べてみなさいよ!! その台詞即座に後悔させるわよ!!」
 「そっちこそオイラの食べて腰抜かすんじゃねーだよ!?」
 ばちばちばちばちぃっ!!
 「ほら桜乃もさっさと出しなさい!!」
 「ほえ〜・・・・・・!」






























 「―――で、どうなったんだい?」
 「勝負っスか? 不二先輩が勝ちました」
 「えへへv」
 リョーマにそう解説され、不二が照れ笑いを浮かべていた。
 ノートに新たなデータを記入する乾の手が、ぴたりと止まった。
 「・・・・・・・・・・・・
  つまり?」
 「弁当対決でしょ? 不二先輩の弁当でみんな倒れたので、先輩の勝ちになりました」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 見やる。弁当をそこらにぶちまけ、さらには己もそれの1品であるかのように倒れ付した少女らを。
 見る。不二が持つ、恐ろしく綺麗だが決して中身はその通りではない弁当を。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 どこまでも沈黙し・・・





 「・・・・・・まあ、勝負の方法なんて1通りじゃないからね」
 『納得するのかよ!?』



―――終わり











 『料理対決』。元ネタはスレイヤーズです。確かに美味さを比べるより判定が公平かつわかりやすい!?
 最初はみんなマズくしようかと思いましたが、さすがに日々弟の世話をし、原作・アニメ・ゲームどこにおいても美味い料理を披露しているように思える朋ちゃんまでそうなのは無理があるかという事で、別の対決になりました。きっと朋ちゃんは、手間暇かけて雑誌に出るような可愛らしいものを前日から用意しているだろう! ちょっとよくよく見るとのりの切れ込みが曲がってたりきゅうりの飾り切りを必死に繋ぎ合わせたような跡があったりしても、そんな様が可愛らしいと思います。何をやるにしても徹底的にやってくれる子ですしvv
 こんな風に力説する朋ちゃん。好きだからなのはもちろんですが、テニプリによく出る女性キャラでは菜々姉と並んで料理上手だと思いますvv ・・・他はみんなヘタなのかい。
 ・・・・・・しっかしこの話、桜乃が出てくる理由がどこまでもなかったような気が・・・。

2006.5.11