現在人気のお笑い芸人もといお笑い芸動物、パペットマペットの出身地は千葉らしい。という事で・・・・・・
Puppet King !
「ねえ、サエ・・・・・・」
読んでいた本から顔を上げ、不二は机に向いて勉強していた佐伯に声をかけた。
わりとあっさり振り向き、佐伯が首を傾げる。
「ん? 何? 周ちゃん」
「今読んでる本でサエにどうしても訊きたい事があるんだけどさ―――」
―――と掲げた本は、通称『20.5巻』。
・・・・・・・・・・・・。
細かい点は気にせず続ける。
「サエ去年のお花見会で『ロミオ&ジュリエット』に主演したってホント?」
そんな不二の疑問に、
「ホントに決まってるだろ? インタビューまでされてウソ言っても仕方ないじゃん」
佐伯はイスをくるりと回しつつ軽く笑い、
「じゃあ女装したの? あれだけ嫌がってたのに」
「・・・・・・・・・・・・」
そのまま凍りついた。
「―――ちょっと待て周」
完全にフリーズした佐伯に代わり、ベッドに寝そべりこちらは普通にテニス雑誌をぱらぱらめくっていた跡部が顔を上げ制止をかけた。上げる前は―――もちろん枕に突っ伏していたのだ。
「なんで今の話でコイツの女装なんつーキワモノが出てくんだよ」
「・・・・・・お前のその言い振りも何なんだよ」
何を想像したか佐伯を指差し冷や汗を垂らす跡部。ボロクソに言われようやく戻って来る佐伯。2人の前で、不二はそれ以上に凄まじい発言をした。
「だって、ロミジュリの主役ってジュリエットでしょ?」
注:むしろこの話を知らないのは不二より管理人自身。
疑い0%の眼差しで問い掛けてくる彼に、2人は頭痛を覚えて軽く頭を押さえた。
まずは跡部が確認し、
「何と混合した結果だ? そりゃ」
「混合って・・・・・・、普通おとぎ話のメインって言ったら女の子の方でしょ?」
「ロミジュリはおとぎ話じゃねえだろ・・・?」
・・・・・・頭痛の種が余計に増えたので佐伯にバトンタッチした。
「周ちゃん。確かに世のおとぎ話の主人公は得てして女の子が多いけどね・・・」
「ホラ」
「でもこの話の主人公は多分ロミオとジュリエット両方だと思うんだよな。タイトルも2人とも出てるし。しかもロミオが先で。
―――そりゃ確かにジュリエットもやったけど」
「待て佐伯」
「どうした? 景吾」
再びの跡部の制止。今度は不二と共にきょとんとする佐伯に、跡部はかろうじてまだ枕から頭を起こした状態で問い返した。
「ジュリエット『も』やった、だあ?」
「ほらやっぱやったんじゃないか」
勢い込んで不二も身を乗り出す。が、なぜかそんな2人に佐伯は軽く笑ってみせるだけだった。
「やったよ? でも女装はしてない。というか六角ジャージ着てただけだから男女別に関係ないしな」
「六角ジャージ着て演じるロミジュリ・・・・・・?」
「つーか1人2役・・・・・・?」
「いや? 俺1人であと2人の父親もやったから1人4役」
「1人・・・、4役・・・・・・・・・・・・?」
「無理だろいくらなんでもそりゃあ・・・・・・・・・・・・」
聞けば聞くほど謎深まる『ロミオ&ジュリエット』。最早これ以上何も聞きたくないような気もするのだが、ここまでくればノリのかかったハゲもとい乗りかかった舟。誤魔化さず最後まで付き合おう!
―――ちょっと人生に疲れて全てを放棄しかけている2人にまともな思考を求めてはいけない。そしてそんな2人に佐伯が慈悲を与える事を期待してもまたいけない。
「意外と出来るぜ? ポイントは誰をどっちに配置するかだな」
「・・・・・・・・・・・・。
―――こうなったら腹くくって端的に訊くけどな」
「その劇って・・・・・・。
どんな劇だったの?」
「指人形」
・・・・・・・・・・・・
さらっと返って来た答え。それを体現するかのように、室内である筈なのに乾いた風が高い音を立てて2人を撫でていった。風に煽られるまま、クリアになった脳で爽やかに納得する。
「そりゃ・・・、指でやりゃ1人何役だって出来るよな・・・・・・。しかもメインキャラ全部押さえてりゃ確かに『主演』だしな・・・・・・」
「なるほどね・・・。指人形なら本人は姿見せないんだし、ジャージのままやってもいいわけか・・・・・・・・・・・・」
「ワケわかんねえよ六角・・・・・・」
「まあ・・・、『花見』な時点で一発芸だったとしても不思議じゃないんだし・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「「いいや別に」」
「? そうか?」
こうして、今日もまた穏やかな時が流れる・・・・・・・・・・・・。
―――これでいいらしいです六角(誤)。
* * * * * * * * *
はい。そんなこんなで今回パペマペにかけまして操り人形の話でした。冒頭の一文でそれこそテニプリキャラでゲーセン景品にもなっているパペットを思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれませんが、なぜか手を通り越して指になりました。なので1人2役ではなく4役です。いやこの4人が同時に登場するシーンがあるのか甚だ疑問ですが。そして指人形。『親指人形』なら元ネタありです。あったんですよタイタニックとスターウォーズのパロディで親指シリーズ。すっごい笑えました特に親指タイタニック。指の爪を顔と見立て、わざわざCGでリアルに目とかくっつけて演じるんですよ。ただし親指なのでやったらめったらせわしない感じで。ホント、人の群れなんて親指集合体。腹痛てえ。何だこの話? って感じです。しかも爆笑して30分で終わりますから飽きっぽい人向きでしたね。
それはともかく、今回1人4役やってしまったので恐らく指にはめる普通の人形でしょうが、いずれにせよサエがちまちまちっちゃい台の下に隠れてンな事やってたら笑えてたまらないだろうなあ・・・、なんてサエFanにあるまじき思考の元の話です。そして私は本気でロミジュリの主役はジュリエットだと思っている・・・・・・。
2004.6.1
―――そういやノリのかかったハゲ。『魔法陣グルグル』よりのパクりです(爆)。いつ読んでも笑えるなああのマンガ・・・・・・。