Challenge7.白受けサエ3 vsリョーガ −子悪魔サンダル−
『「子悪魔サンダル」・・・?』
靴屋にて。なんとなく〈タダで出来る暇つぶし大作戦☆〉ことウインドウショッピング通称『見〜て〜る〜だ〜け〜』を実践していた佐伯とリョーガは、適当に入った靴屋で一緒に首を傾げていた。
2人でじっと見る。『今年の流行!!』という煽り文句と共にプレートに書かれた1センテンス。指し示された商品を見れば、それは女性もののサンダルだった。先が尖がりめでピンヒール、上がことごとく紐になっていて足の露出の多いサンダル。総じて・・・
「何が『子悪魔』なんだろーな?」
「さあ?」
と、そこへ店員がやってきた。
「あ、気になりますならぜひ履いて見てくださいvv」
そんな、嵐を巻き起こしそうな台詞を言う店員。彼女が見ているのは佐伯だった。
今時の女性は背が高い。しかも一緒にいるのがさらに高いリョーガな時点で、店員は174cmという身長も不思議に思わなかったらしい。そして佐伯が今着ているのはありふれたポロシャツにGパン。これまた男女どちらが着てもおかしくないもの。胸はさすがにないが、前かがみな姿勢ではたとえ中身がなくともポロシャツは勝手に下に下がる。
血の惨劇を予想して逃げようとするリョーガ。だが意外な事に、当の佐伯は平然と笑ってのけた。
「じゃあ履いてみますね」
「どうぞどうぞ」
「へ・・・・・・?」
驚くリョーガの耳元に、囁く。
「(やっぱ試着視聴立ち読み何より試食と試飲は店巡りの必須事項だろ)」
「なるほどな・・・・・・」
買わない代わりにやれる事は何でもやるらしい。佐伯らしすぎる考えに苦笑する。
そんなこんなで履いてみて。おかげで身長がぴったり並んだリョーガを小さく笑ってやったりして。
佐伯の感想はこの一点に尽きた。
「結局何が『子悪魔』なんだろうな?」
「ああそれは―――」
肌が多く露出しちょっぴりセクシーv と解説しようとした店員を遮り、
「ああそうか」
佐伯はぽんと手を叩いた。
「こんな感じか」
呟き―――リョーガの足を踵で踏みつけた。
「ぐっ・・・!!??」
ピンヒールでのぐりぐり攻撃。柔らかいスニーカーで食らえばひとたまりもない。
たまらず蹲るリョーガを見下ろし、さらに呟く。
「あるいはこんなとか」
放つ、軽い回し蹴り。足の先端ではなく尖った爪先は、見事リョーガのこめかみに食い込んだ。
「がはっ・・・!!」
本格的にKOされたリョーガ。ずるずる崩れ落ちる彼に向け、佐伯はにっこりと笑いかけた。
「という感じで『子悪魔』らしいぞ」
「あ、あのお客様・・・・・・」
真っ青になって引く店員。そしてやられたリョーガは、
「そりゃ、『子悪魔』じゃなくて立派な『悪魔』・・・だろーが・・・・・・・・・・・・」
そう言い遺し、完全に没したのだった・・・・・・。
―――白受けサエ3 Fin
―――最近流行だという子悪魔ファッション。吊革広告にもよく載っています(あくまで雑誌そのものは見ないヤツ)。そして昨日、テレビでコレが出てました。店員さんの説明が正しいはずなのですが、なぜかこのサエと同じ結論に辿りついてしまった私、まだまだ『今時の女性』への道は遠そうです・・・。ちなみにこの話、サエはあくまで純粋な探究心でやっているので白です(断言)。なお『あくまで』を『悪魔で』で変換するとドス黒(だからどうした)・・・。
2005.4.2