「リョーガ、好きだよ・・・」
 「え・・・さ、佐伯・・・・・・?」
 「だから―――」
 「ああ・・・・・・・・・・・・」



 「ここの代金払っといて」



 「・・・・・・・・・・・・。
  まあそんなモンだよな」





 そんなこんなで日々流されっぱなしのリョーガ。いっそこれはこれでオッケー・・・と。





 「思えるワケねーだろ!!!???」





 そしてついに始動した。『佐伯に一泡吹かせよう計画』―――もとい『佐伯に自分の大切さをわからせよう計画』が!!!







押してダメだから・・・





1.引いてみた。

 「リョ〜ガv」
 「ん・・・あ、ああ・・・」
 「? どーしたお前? ノリ悪いぞ? 熱でもあるのか?」
 ぴと。
 「〜〜〜〜〜〜////!!!???」
 おでことおでこをこっつんこ☆ 真っ赤になるリョーガ。真っ赤になって・・・
 「佐伯!!」
 どごっ!!!
 「・・・・・・・・・・・・」(←没)
 「よし正常、と」
 感動のあまり押し倒し、みぞおちに膝蹴りを喰らった。






2.捻ってみた。

 「リョーガ!」
 「よお佐伯、どーした?」
 「丁度よかった! 今どうしてもお前に会いたかったんだ!」
 「そーかそりゃよかったな〜! ついに俺も会いたくなられるくらい昇格したってか!!」
 「ははっ。それじゃ誰が『よかった』のかワケわかんないって」
 「お? それもそーだな。これだとむしろよかったの俺だしな」
 「あ、じゃあちゃんと祝わないとな。おめでとうリョーガ!」
 「サンキュー!」
 「じゃ、そういう事で」
 「じゃーなー」
 ぱたぱたぱたぱた・・・・・・



 ・・・・・・四次元方向に会話が飛び、そして終わった。



 「・・・・・・・・・・・・。
  結局何の用だったんだ?」






3.叩いてみた。

 「リョーガ? 何だよ改まって?」
 「あのな佐伯・・・」
 適当な前置き(本当に適当だ)を入れ、さっそくリョーガは平凡な毎日に刺激を与えるかの如く佐伯を襲った。
 襲って・・・
 どんげんぎんがすげすごっ!!!
 「ぐはっ・・・・・・!!」
 どさ・・・・・・。
 「なるほど不意打ちか。やっぱ訓練は常に想定外の事をしないとな。
  でも丁度よかったよ。鉄芯入り木刀がやっと役に立った」
 満足げに頷いた佐伯。倒れたリョーガを放ってその場を立ち去った。どうやらむしろ叩かれたのはリョーガの方だったらしい。






4.切ってみた。

 「ああリョーガ。こんなトコにいた―――」
 「寄るな!」
 「・・・・・・はあ?」
 「今後一切お前とは接さねえからな!! 俺の半径3m以内に近付くんじゃねえ!!」
 「リョーガ・・・・・・」
 呆然とこちらを見やる佐伯。ショックを受けたその様に、今度こそリョーガは作戦の成功を確信した。
 一方呆然と見ていた佐伯。呆然と見ていたのはもちろんリョーガ―――の首元にある、赤い発疹だった。
 「お前・・・・・・」
 わなわなと震える。
 「麻疹にかかったな!!??」
 「何の話だ!?」
 「そーかお前の気持ちはよくわかった! 俺を麻疹にかからせないよう遠ざけようとしたんだな!?」
 「違う!!」
 「お前の優しさは受け取ったよ! ありがとうなリョーガ!!」
 抱きっ!!



 ・・・その後2人で寝込むハメになった。






5.今度こそ引いてみた。

 「リョ〜ガv」
 「ん・・・あ、ああ・・・」
 「どうしたんだよノリ悪いな?」
 「別に?」
 ・・・・・・。
 「・・・・・・・・・・・・邪魔して悪かったな」
 ぱたん。





 1日後。



 2日後。



 3日後。



  ・

  ・

  ・



 半月後。





 「すいませんでした俺が悪かったです許して下さい」
 「ん? お前まだ家にいたのか?」
 「うっうっうっうっうっうっうっうっ」
 「何だよウザいなあ。用件あるんならさっさと言えよ」
 「だからあの、
  すいませんでした俺が悪かったです許して下さい」
 「何の事だ?」
 「つまりそれは許してくれると?」
 「見も知らないお前にいきなり謝られてもなあ」
 「・・・・・・怒り
MAXですか佐伯さん?」
 「何の事だかわからないなあ。俺はそんなに怒った事はないぞ初対面のヤツ相手に」
 「いやさっき思いっきり普通に返事されたけどな」
 「つまりそのままの勢いで怒ってほしいと?」
 「さ〜え〜き〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!」





 ―――根負けしたリョーガの敗北となった。






結局.押してみた。

 「さ〜えきっ♪」
 どん!!
 「うあっ・・・!?」
 机に向う佐伯に後ろから抱きつく。背中から伝わるぬくもりが気持ち良いvv
 「何やってんだ?」
 「それはな〜・・・





  ――――――時計の接触悪いところ今直してたんだかお前に押されたおかげで部品が折れて修復不可能となったところだ」





 「え、っと・・・・・・」
 「もちろん覚悟はいいよな(にっこり)?」
 「いやあのちょっと待て俺は何も知らず―――!!」
 がしゃべきばきごすぶしぎっ!!





 「お前のおかげで実に効率よく分解が終わった。後分別して捨てといてくれ」
 出て行った佐伯を地べたから見上げ・・・・・・
 「・・・・・・つーか、買い直してやりゃンなメに遭う必要もなかったんだよな俺・・・・・・」
 リョーガはどばどば涙を流しながらそう呟いた。










 まだまだ佐伯攻略への道は長そうだ。



―――Fin












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 何だかわからないまま終わってみましたこの話。コメントにて『ちょっと引いてみたら?』という案がありましたので早速実行。いきなり失敗したようなので(爆。とりあえずその責任は根性なしのリョーガにあり、と)その他いろいろやってみました。結局押すのが一番マシっぽい結論になってしまいましたが、『引く』で今度はもう少しシリアス目な(そしてサエが乙女っぽくなる)話を書こうと思います。
 ・・・ところでこの話、さりげなポイントとして、ラスト除いて全部最初に話し掛けているのがサエの方だったりするんですよね。サエはサエなりに押してるっぽいです。

2005.5.56