「俺たち、応援部作る事になりました☆」
「よろしくな」

『は・・・・・・?』

改造学ラン(黒)で親指立てる千石と佐伯に、一同はただ目を点にして大口開けるしかなかった。





元気ハツラツ応援部!!




<応援プログラム>

1.青学
3.ルドルフ
5.氷帝
7.緑山
9.六角  その 
11Jr.選抜
13Jr.大会
15比嘉
        2.不動峰
4.山吹
6.銀華
8.城西湘南
10.立海  その 
12アメリカ西海岸
14桜吹雪チーム&Jr.選抜チーム
16四天宝寺

 
















 

1.青学編

 「はあ・・・。明日は立海戦か・・・・・・。一体どうしたらいいんだ・・・・・・」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、ありがとうな」
 間違ってはいないが欠片も役に立たないアドバイスに、大石は目の幅涙を流した。






 
2.不動峰編

 「よーしここだ! リズムに乗るぜ♪」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 どんがらがっしゃーん!!
 「リズム崩れたじゃないっスか!!」
 ダッシュをかけそのままヘッドスライディングをかました神尾。一応先輩かつ一応応援だったにつき、怒鳴りつつも微妙に敬語だったりするのがやけに哀しく響いた。






 
3.ルドルフ編

 「んふふふふふふ・・・・・・。今日こそ憎っくき不二周助にぎゃふんと言わせてみせますよ・・・!!」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 ぐしゃばりべしごぎゅ・・・
 バチ代わりに太鼓に叩きつけられ、観月は今日といわず今月いっぱい入院する事となった。






 
4.山吹編

 「は〜・・・。どこ行ったんだよ千石のヤツ〜〜〜!!」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「お前だ千石うううう!!!」
 「うぎゃあああああ!!! 助けてサエく〜〜〜ん!!!」
 「頑張れよ千石ー」
 南に襟首を掴まれずりずり去っていく千石を、佐伯は応援用に持っていた白旗(デザインが思いつかなかったらしい。応援する相手の相手に渡すのも可)で見送った。
 どうやら応援部はここで解散らしい。





 と思いきや・・・・・・






 
5.氷帝編

 「は〜・・・は〜・・・は〜・・・。何とか逃げ延びてきたよ・・・・・・」
 「おめでとう。とりあえずテニスはやれよ?」
 「君に言われたくはないんだけど!?」
 「お? あんなところに芥川がいるぞ」
 「ちょっと話題ずらさないでよ〜〜〜!!」



 「あ〜ねむ〜・・・。てゆーかねむいC〜・・・。もう寝よ」
 zzz・・・
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「ぅああっ!?」
 耳元でガンガンに太鼓を鳴らされ、素敵な睡眠妨害にさすがのジローも飛び起きた。
 「あ〜なんだよ〜・・・。俺の睡眠邪魔すんな〜―――
  ――――――おお!? 何々お前ら!? すっげー楽しそうな事してんじゃん!!」
 「やあ芥川くん。君もどう? 応援部」
 「やると楽しいぞ。人のために流す汗水は気持ちいいしな」
 「おーやるやる!! 俺も入れて―――!!」
 「―――っておい!!」
 寝起きモードで飛びつくジロー―――の襟首を、後ろから猛然と走ってきた跡部が掴んで止めた。
 「ジロー!! お前全国あるってのにテニス部裏切って何応援部なんぞ入ろうとしてやがる!?」
 「え〜? あとべ〜、かってえ事言うなよ〜。かけもちって事でEじゃん。コイツらだってそうしてんだしよ〜」
 「明らかにコイツら部活サボって来てんじゃねーか!!
  てめぇらもだ!! てめぇらが何やろうが勝手だが、そこに無関係なヤツ巻き込むんじゃねえ!! やるんだったら人畜無害に勝手にやってろ!!」
 「何言いがかりつけてんだ?」
 「俺ら今すっげー無害じゃん。どころか人の役に立ってるよ?」
 「明らかに部活妨害だろーが!! しかも引き抜きか!?」
 「いや、芥川は俺たちが何するまでもなく部活やりそうにないだろ」
 「確かにジローは普段は寝てばっかだが、やる時はやるヤツだ!!」
 「そんな親馬鹿台詞炸裂されても・・・」
 「そこ!! 何をやっている!?」
 「うげ監督・・・・・・!!」
 かけられた声に、会話から外されたため暇だったジローが最初に反応した。跡部もびくりと振り返る。
 氷帝テニス部監督榊は、ザッザッと軍隊並の足音を鳴らし、このクソ暑い夏に肩で風を切り涼しげに歩いてきた。尤も、ダラダラ汗を流す部員2人の方が実際涼しかっただろうが。
 「跡部! 芥川! お前達練習をサボって何をやっている!?」
 「え〜!? 監督〜! 俺めちゃめちゃ真面目にやってますよ!? ホラ今だって起きてんじゃん!!」
 「・・・・・・どのレベルで『真面目』なんだよ?」
 「言い訳は無用だ! 2人ともさっさとコートへ戻らんか!!」
 「俺もですか監督!? 俺はジローを探しに来ただけで―――!!」
 「言い訳は無用だと言った筈だ!! お前達2人、今日は私が直々に指導してやる!!」
 「そ〜んな〜〜〜!!!」
 「くっそ・・・! てめぇらのせいだぞ千石・佐伯!!」
 負け惜しみとともに去っていった2人。厳しい眼差しで見送っていた榊の視線が、
 戻ってきた。
 「それで? 千石、佐伯。お前達は他校に来て何をやっている?」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・そうか応援か。素晴らしい事だ」
 「監督〜〜〜〜〜〜!!!」
 「ずりーぞてめぇら!!」
 「芥川! 跡部! グラウンド
10周!!」






 
6.銀華

 「よーしついに出来たぜ改・銀華三昧!!」
 「おめでとう!」
 「よかったなー!!」
 「なな!? お前らどっから来た!?」
 驚くミチルに、千石と佐伯は笑顔ではい、と持っていたものを手渡した。香水のような細長い瓶に入ったそれ。
 「・・・それは?」
 「特性まる秘精力剤v」
 「これをそれに入れるとより完璧になるんだぞv」
 「そ、そうか!?」
 ここで、この2人を知っている者ならこの1%の隙もない笑みを訝しんだであろう。が、残念ながらミチルは彼らとそこまで知り合いではなかった。
 本当にこちらを気遣った爽やかな笑みにあっさり騙され、
 「よっし今度こそ完璧だ!! ありがとうなお前ら!!」
 「んじゃさっそく」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「ぐびぐびぐび・・・・・・・・・・・・ぐはぁっ!!??」
 「あ、倒れた」
 「漫画でよくありがちなパターンだろ。奇跡の復活を遂げヒーローはより強い力を手に入れる」
 「あそっか。んじゃもっと応援しなきゃね」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「お、応援より・・・・・・、人、呼んで・・・・・・・・・・・・ぐふ」






 
7.緑山

 5・6位決定戦により何とか全国に勝ち残った緑山。青学に負けて以来、彼らはテニスに対して情熱的に接するようになった。
 「ふっ・・・! はっ・・・!」
 「よし!! けっこー良くなってきたな!!」
 「そうだね〜。フォーム完璧すぎて構え遅いから速球には対応出来なさそうだけど」
 「だなあ。ごくありきたりなテニスしかしないから多分変則パターンであっさり負けるだろうけど」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 『嫌味かああああああ!!!!!!???????』
 「何だよお前らそんなに俺たちにインネンつけたいのか!?」
 「そうだぜ大体千石は俺らと同じ立場じゃ―――!!」
 「待て!!」
 騒ぎ立てた部員(含息子)を、季楽監督の一喝がとどめた。
 「私の指導に文句があると?」
 「いえ〜文句は全然」
 「さっさと負けてくれるんならありがたい限りです。むしろお礼申し上げます。ありがとうございます」
 「・・・・・・・・・・・・相当不満らしいな」
 「そんな彼らに」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやそれはもういいから」
 ため息を尽き―――いやため息をつき、
 2人に向き直る。
 「それなら、ぜひ部員達を鍛えてくれないか?」
 『は・・・・・・・・・・・・?』



 こうして、エグさ
100%のチーム・新生緑山が、全国で復活を遂げた。青学と不動峰を下した際特に際立ったのは言うまでもない。






 
8.城西湘南

 「いったぞ洋平!!」
 「任せろよ浩平!!」
 ダブルスの練習中らしい。頑張っているのはご存知田中兄弟。平凡な名前過ぎて、こう固有名詞で表されてもあまり誰だかよくわからないという欠点も持っているが、とにかくそんな兄弟はダブルスの練習中だった。
 耳の良さにより、インパクト音で打球の着地点を判断するというのが得意な2人。さっそく耳を澄ませ―――
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 『聞こえねえよ!!!』
 かくて、この勝負は田中兄弟の惨敗となった。






 
9.六角1

 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「ねえねえサエ、千石。何でお前ら応援してんの?」
 ぷしゅ〜
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「何で太鼓叩いてんの?」
 ぷしゅ〜〜!
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「何でそんな恰好してんの?」
 ぷしゅ〜〜〜!!
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「何で誰か応援してんの?」
 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜!!!
 どんどんどんどん
 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!
 どんどんどんどん
 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!
 どんどんどんどん
 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぷ。
 ばたっ。
 「あ、倒れた」
 「酸欠らしいな」






 
9.六角2

 「つまんねーんだよダビデ!!」
 「うおバネさんちょっとたんま!!」
 「たんまは無しだ!!」
 どごがっ!!
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・・・・・・・次突っ込んで欲しいのはお前らか?」






 
10.立海1

 「このたわけ者どもがあ!! 真面目に練習せんか!!」
 『うぎゃあああああ!!!!!!』
 真剣を振り回し暴れる真田に、命は惜しい部員達は練習する前に逃げ出した。
 「練習もせず逃げるとは不届き千万!! この場で始末してくれるわ!!」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 『煽るなあああああああ!!!!!!!』






 
10.立海2

 「まあまあ、落ち着きなよ真田」
 「む・・・。幸村か」
 「そんなに叱らなくても、部員達はちゃんとやってくれるよ。な?」
 「そ、そうだな・・・・・・」
 「『厳しい副部長も所詮は副部長。傲岸不遜な絶対権力者の部長を前に、歯向かえる道理もなかった』」
 「で、何ナレーションつけてるんだお前達2人?」
 「そーだよサエくん。しかも何かすっげー失礼な感じの」
 「お前が渡してきたカンペ読んだだけだろ千石?」
 一切の淀みも目配せもなく他人に責任を押し付ける2名に、心の広い(千石談)幸村は鷹揚に頷いてみせた。
 「じゃあそれは気にしないけど、何しに来たんだ?」
 『応援』
 異口同音に告げられた真実。普通の人間ならここで数秒沈黙を挟むのだろう。普通ではない幸村は即座に返事を返した。
 「じゃあ頼んだよ」



 そして練習試合が始まった。リハビリ中の幸村対、無我の境地を会得し1段階レベルを上げた切原の試合が。
 『がんばれー! がんばれー!』
 だん!だん!だん!だん!だん!だん!だん!だん!
 「・・・・・・・・・・・・何でいきなり熱入ったんスか?」
 「応援の成果により1人くらい幸村くんに勝たないかな〜・・・」
 「へえ」
 「なんて事は思ってないぞ俺は。ちゃんとお前の応援だからこそ盛り上げたからな幸村」
 「ありがとう佐伯」
 「あちょっとサエくん!! またしても俺だけ切り捨て!?」



 
佐伯の応援の成果はあったらしい。リハビリ中の幸村は、無我の境地を会得し1段階レベルを上げた切原に圧勝した。






 
11Jr.選抜

 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん

 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん

 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん



 「うるっせえ!! 掛け持ち部員だろーが合宿中はテニスやれ!!」
 「いや応援部の合宿も兼ねてるから」
 「便乗すんじゃねえ!!」
 「知ってる? 対戦相手のアメリカ西海岸って、テレビとかばんばん出てすっごい目だってんだよ?」
 「そりゃ知ってる。それが―――」
 どうした?
 訊こうとした跡部(なぜ彼しか注意しないのか。答えはもちろん、した後が怖いからである)を遮り、佐伯がぴっと指を立てた。
 「だから応援合戦で勝とうかと」
 「テニスで勝て!!」



 こんな事をやっていたため、2人は即行でレギュラー候補から外された。その後千石は、新生によりレギュラー候補へ復帰、さらには選手に選ばれた。
 選ばれて・・・・・・
 「がんばれー。がんばれー」
 どんどんどんどん
 「う〜サエくん・・・。俺が悪かった〜・・・。寝かせて〜〜〜・・・・・・」
 合宿の間中同室の佐伯に睡眠を妨害され、終わった頃には観月にも負けるほどげっそりこけていたという。






 
12.アメリカ西海岸

 「何をやっているんだね君たちは。もっと練習に身を入れたまえ」
 『イエス、ボス』
 ベイカー監督に怒られ項垂れる一同。そして・・・
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「誰に対する何の応援だ!?」
 神出鬼没な応援部に、まず最初に突っ込んだのはケビンだった。この手の問題に一番慣れた人物。
 それを合図に、他の者も動き出す。
 「な、何なんだね君たちは!」
 「日本からのスパイか!?」
 「あ、俺たち応援部ですv」
 「頑張るアメリカチームを応援に来ましたv」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 応援されてムカつく人というのも・・・・・・・・・・・・まあ時と場合と相手が良ければそうそういないワケで。
 照れ隠しに苦笑いする一同(ケビン除く)に、
 何かを言いかけたケビンを蹴転がし足で踏んづけ、2人はにぱっと笑った。
 「じゃあ頑張りましょう! 応援を!」
 『え・・・・・・・・・・・・?』






 
13Jr.大会

 『がんばれー! がんばれー!』
 どーんどーんどーんどーん!!

 『ガンバレー! ガンバレー!』
 どどどどどどどど!!



 「テニスの大会じゃねーのかこりゃあ!! いつから応援合戦になった!?」
 大騒ぎの会場に、
Jr.選抜チームとケビンの声が響き渡り、即座に消された。
 選手落ちした一同は選手への妨害工作に、アメリカの一同はいつの間にか目的を忘れ。
 2チームは、観客を巻き込み実に充実した応援合戦を行ったのだった。






 
14.桜吹雪チーム&Jr.選抜チーム

 「このように、君たちのオッズは極めて低い。
  ―――負けてくれますよね? もちろん」
 「断らせていただきます」
 「おっや〜? そーんな事言っていーのかな? 忠告はちゃんと聞くべきだぜ? 逃げ場ねえんだからよ」
 「逃げ場なんぞいらねーよ。俺らがてめぇら全員倒しゃそれで終りだ」
 「ハッ。言ってくれるねえ」
 桜吹雪の申し出を断った手塚と跡部。リョーガの揶揄を背に仲間の元へ帰っていき・・・・・・。



 「というわけだ。どうする?」
 顔をしかめ目を輝かせる一同。確認の必要もなかったが、あえて手塚は全員を見回した。代表して英二が握り拳を作る。
 「そりゃもちろん―――!!」
 「―――負けてくれるよな?」
 言葉にと共に、フ―――っと冷たい風が流れ込んできた。外だからという理由だけではないひんやりとした肌寒さに、肩を竦め腕を擦り、そして台詞を止めそちらを見やった。
 いつからかそこにいたコックその1こと佐伯。手にした鶏の丸焼きを、さして力も込めず真っ二つに断ち切った。たかだか包丁で骨ごと裂断。全員の顔から面白いように血の気が失せる。
 笑顔で頷き、佐伯はもう一度だけ警告した。
 「負けてくれるよな?」
 『はひ・・・』



 この夜の佐伯は忙しかった。さらにさりげなくリョーガに接触。彼のハートを5分でゲットし、
 「なあリョーガぁ。明日の試合、負けて欲しいんだけどなあ」
 「けどなあ、俺は明日の勝ちをお前に捧げたいワケで―――」
 「負けてくれたらキスとかしてあげるのになあ」
 「オッケー!! もちろん負けるぜお前のために!!」
 「ありがと〜リョーガvv」



 そして次の日。
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「はい、頑張ってる彼らに1票入れたい方はぜひこちらへどうぞ」
 「一口1千万円からですよ〜」
 「俺は選抜チームに5口!!」
 「私も!!」
 「ちょっと待てえ!! それは私の仕事だ!!」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 何か不満があるらしい桜吹雪の訴えは、太鼓と応援音にあっさり掻き消された。ごす、ぐしゃという音もまた。
 「おっや〜? 選抜チーム全敗ですね〜。このままじゃラストも負けそうだ?」
 「はいラストに一発逆転ビッグチャンス! 今から
10分間、賭けの変更を認めます!!」
 「俺はリョーガに
10口!!」
 「私も!!」



 こうして、勝負は千石と佐伯のボロ儲けで終わった。
 「私の一世一代の計画がああああ!!!!」
 「さ〜えき〜!! 負けたぞ〜! キスはぁ〜?」
 「いやあ。犯罪加担者と親しくすると俺まで疑われるからなあ。
  ま、差し入れくらいはしてやるから安心しろよリョーガ。あ、あのガラスプレート越しのキスっていう手もあるぞ?」
 『桜吹雪ならびにその共犯者!! 詐欺・賭博その他諸々の容疑で逮捕する!!』
 「くっそー!! 憶えてろよー!! 出所したらぜってー迎えに行くからな〜!!」
 「・・・出所、って。少年院でも言うんだっけ?」






 
15.比嘉

 六角との対戦中、瞬間移動のヒントを言おうとしたオジイに甲斐がボールをぶつけようとして―――
 「がんばれー。がんばれー」
 どんどんどんどん
 「応援すんなーーー!!」
 ―――結局そのボールは、対戦相手の佐伯にぶつける事となった。
 いつの間にラケットから持ち替えていたのか(というか試合中関係ない道具の持ち込みは禁止のような気もするが)、バチで楽々打ち返す佐伯。
 「何すんだよ危ないなあ」
 「お前血も涙もねーのか!? 自分トコの監督のピンチだぞ!? 助けるなり自分が身代わりになるなりしろよな!!」
 「だから応援したじゃん」
 「してどーする!? 当たんだろーが!!」
 「いや大丈夫だ」
 「・・・根拠は?」
 「相手はなにせあのオジイ。黒船来航時からオジイで砂の中から飛び跳ねるなんて技披露しちまうびっくり人間外。今更ボールの1つや2つ、目からビームで弾き返すだろ」
 「そうなのね・・・・・・」
 「何なんだよ六角中!!」






 
16.四天宝寺

 「金ちゃ〜ん!! どこいったばいね〜?」
 新幹線を、東京と間違え静岡で下りてしまった金太郎。彼の保護者千歳は、一応予定通り東京で下り、その場で金太郎を探し出した。彼なら走ってこちらへ向かってくるだろうという確信を胸に。
 「金ちゃ〜ん!!」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・久しぶりばい千石・佐伯。何しとおね?」
 「いやなんか君が頑張ってるみたいだから」
 「ここは一つ応援でも、と」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「・・・・・・・・・・・・ありがたいとね」
 いつの間にか後ろにつき自分を応援していた2名に、他にどうとも返しようなく礼を言う。
 「なら丁度よかばい。金ちゃんがおらんと。探すの手伝おてくれんかの?」
 「ダメ」
 「・・・何でとね? 謝礼ならするばい」
 「それなら―――」
 「ダメだからサエくん!! 今俺たちは応援部!!」
 あっさり礼に食いついた佐伯を千石が無理やり引き止める。つまり彼らは応援部につき応援しかしないらしい。素晴らしいまでの役に立たなさっぷりだ。
 千歳はため息をつき、・・・・・・。
 「ならよかばい。応援頼んだとね」
 「? まあいいけど」
 「それが部の活動だし」
 2人の了承を得、千歳は再び歩きだした。2人もしっかりついてくる。
 「金ちゃ〜ん!! どこいったばいね〜?」
 『がんばれー。がんばれー』
 どんどんどんどん
 「うわ〜!! 何やっとるんお前ら? めっちゃオモロそーやん!!」
 探し人あっさり発見。初めて応援部が役に立った瞬間だった。











そして―――

 「ご苦労さん千石・佐伯。どうじゃった応援部?」
 「すっげー楽しかった」
 「いい事するっていいよな」
 屋上で待機していた仁王に、爽やかな汗を掻いた2人が歩みよった。
 「にしても仁王くん、何でこんな事考えたの?」
 「
CMで見てな。お前らにぴったりじゃと思うてのう」
 「うん。確かにぴったりだったな。実に充実した一時だった」
 「だね〜」
 笑顔で頷き合う2人に、
 「じゃったらお約束で」
 仁王はどこから取り出したか栄養ドリンクを取り出した。
 2人に掲げてみせ、
 「『元気ハツラツぅ?』」
 『「すっげーハツラツ」vv』
 『どこがだああああああ!!!!!!!!!』
 ばん!!
 親指を立てる2人の後ろで、扉が乱暴に開かれた。現れたのは、今回の騒ぎにおける被害者一同。
 「てめぇら見つけたぞ!!」
 「今までの恨み、晴らさせてもらおうか!!」
 「覚悟!!」
 「うげ・・・」
 呻くや否や、2人は脱兎の如く逃げ出した。
 『待てええええええええ!!!!!!!!!』
 逃げる2人追う一同。首謀者につき特に参加しなかった仁王は、2人が落とした太鼓を手にどんどん鳴らし出した。
 「ま、頑張りんしゃい」



―――Fin

















®     ®     ®     ®     ®

 まあ、ラストに出た通り元ネタは某栄養ドリンクのCMです。今のより1つ前の校長先生編の。あの凄まじい嫌がらせに挙句爽やか笑顔で「気持ちいいっス」とか言われちゃうとどうしても彼ら2名が千石さんとサエに見えます。なのでさっそくやってみました。メジャー7校程度にする予定が、いろいろ出てきますねえ。おかげでどこまで正しいのかよくわかりません緑山と銀華(爆)。

2005.7.28