10月1日。
優雅にソファに半寝転びする跡部の前で、
佐伯はゲーム機器のスイッチを入れた。
やるゲームは、
―――テニスの王子様PS2ソフト《最強チームを結成せよ!》
『最強チーム』の結成法?
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ばりばりとスナック菓子を食べていた佐伯は、選択肢が浮かぶなり噴出した。 「ははははははは!!! 見ろよ景吾この選択肢!!」 「・・・あん?」 大笑いする佐伯に合わせ、跡部も読んでいた本から顔を上げ画面を見た。菓子に伸ばしかけていた手を止め。 画面に浮かぶ、3つの選択肢。 見て・・・ 「・・・・・・? 別に変わったトコはねえだろ? 俺とお前の好物と、あとどうでもいいモンじゃねえか」 ・・・そう結論付け、佐伯の手元から菓子を奪う。 「けどさあ、俺らあくまで中学生だぜ? コレ、練習帰りだぜ?」 「だから?」 「だから――― ―――なんでそこでローストビーフだのウニだの出てくんだよ!?」 中学生じゃないだろ!? 思わず間の爆裂バーガー選びそうになったじゃん!! と笑いコケる佐伯を見て、 「そりゃ・・・ ・・・・・・おからとか出てきたらコイツ一体何食ってんだとか不思議に思われるからだろーよ・・・」 ―――Fin |
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「おめでとう景吾!!」 「うっせえ!!」 「さすがこのゲームは俺たちをよく観察してるだけあるよ! ばっちりだ!!」 「ンなモンたまたまそーなっただけだろ!? なんで俺だけ盛り上がんだよてめぇは!!」 跡部の指摘どおり、確かにこれは誰にでも起こりうるランダムイベント。そんな事を言い出したらほぼ全てがそうなのだが。 しかしながら・・・ 「いや絶対コレはお前のためだって! お前以外の誰がこんなの断る?」 「むしろ行く奴ぁ誰だよ!?」 「じゃあこれから行くか? リアル肝試し」 「行かねえよ!!」 「やっぱ『萎縮』と『打たれ弱い』が・・・・・・」 「ほっとけ!!」 ―――Fin |
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「うんうん。力関係はゲームの世界でも有効だな」 「・・・・・・なんか今、ゲームの中の俺にすっげー同情したくなったぜ・・・」 後ろから聞こえた声は無視し、佐伯はテレビ画面に向かって笑顔でぱたぱたと手を振った。 そのままくるりと向き直る。 「というワケだ景吾。行ってこい」 「ああ!?」 「菓子がそろそろ切れそうだ。俺次チョコ棒欲しい」 「ンなモンてめぇが買って来いよ!」 俺はパシリじゃねえ! と言い放ち、 はっ・・・と、跡部はそれに気付いた。 佐伯を見る。笑っている。にっこりと。 「で?」 「・・・・・・・・・・・・。 『ちっ・・・。仕方ねえなあ・・・』・・・(泣)!!」 パシリとなった跡部。同情した駄菓子屋のおばあちゃんと友情が築けた。 ―――Fin |
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「よかったなあ景吾。周ちゃんと上がったぞ」 「てめぇ今わざと俺に譲っただろ!?」 「そんな事ないさ。2人の友情度がなんかヤバい感じで下がってるから譲ったんだろ? 周ちゃんから俺へはビンビンに来てるからな」 「ビンビンって・・・。表現の仕方変えろよ」 こんな風に噛み付く跡部。普通なら不二と仲良く出来れば喜ぶだろうし、そもそも佐伯がそのチャンスをみすみす逃がすワケがない。が、 ―――今回に関しては、現実世界でこのようなイベントが発生していた。 バス停にて。 不二:「ハァ、ハァ・・・。やっぱ強いね跡部は」 跡部:「ああ・・・? 当然だろ?」 不二:「あ〜喉渇いちゃった」 ペットボトルを出してごくごくと。 跡部に差し出し、 不二:「飲む?」 跡部:「そうだな。ありがとよ」 「・・・・・・で! 何で普通にアイツはペナル茶とか勧めてきてんだよ!!」 「まあ周ちゃんだし。引っかかったお前に落ち度があるんだろうな」 「アイツとの友情度だと!? 一気に下がるに決まってんだろーが!!」 ―――Fin |
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「声かけろよリーダー!!」 「なんでだ? せっかくじゃれあってるのに」 「ケンカしてんだろ!?」 「だから。友情構築の第一歩は対立して殴り合いだろ?」 「・・・その前にチーム出てくだろーよどっちか」 「じゃあさらに仲を悪くするように、休日は越前を誘って特別練習、と」 「だから仲良くさせろよリーダー!!」 ―――Fin |
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「断る・・・・・・」 「そんな事言うなよ。俺のチーム入ると特典があるんだぞ?」 「特典?」 眉を顰める跡部を、 さっそく佐伯は押し倒した。 跡部の体がフローリングの床につく。逃げないよう、両手で閉じ込め。 「今なら洩れなく俺がついてくる」 薄く笑い、佐伯は身を落とした。 長く長くキスを交わし、 離れた先で、跡部はただ短くこう言った。 「――――――断る」 「あら? 気にいらなかった?」 「ったりめーだろ!?」 「何で?」 「・・・・・・・・・・・・っ!」 そっぽを向かれ、回答を拒否された。こうなるとますます気になる。 「何で?」 「知るか」 さらに問い掛ける。閉じ込めていた手を払われた。 身を起こす跡部。背中にのしかかりもう一回。 「何で?」 「てめぇで考えろ」 「考えた。 何で?」 「わかんねーのかよ!?」 「考えた答えが正解か俺にわかるワケがないだろ? 結局何にせよ聞かざるを得ないじゃん」 「屁理屈捏ねやがって」 「わかったじゃあ捏ねない。 お前は俺がお前以外の人間に同じ事をやるのがムカつく。だから特典としてそんなものはつけるなと思ってる。 ―――これでいいんだな?」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜////!!! わかってんなら訊くんじゃねえ!!」 赤い顔で強がり、随分可愛い事を言ってくれる。 愛しさを込め、佐伯は後ろからぎゅっと抱き締めた。 体の中に閉じ込め、 「だって仕方ないだろ? お前の口から聞きたかったんだから」 「ンなモン言えっかよ//!!」 「うんうん。 でも大丈夫だ。他のヤツには絶対しないから」 「・・・・・・ホントか?」 「ああ」 応用に頷き、 告げる。 「この特典は最初に入ったヤツに有効だ。 ―――もちろん入るよなあ? 景吾」 「てめ汚ね・・・・・・!!」 |
こうして、佐伯チーム通称《はぴはぴ祝えv》には、跡部以下千石・不二・リョーマと順調に集まってくれた。
この5人で目指せ―――るのか最強チーム!?
―――Fin
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「―――というワケで、誕生日なんだ」 「ああ」 「えらいなーPS2は。しっかり覚えてるよ」 「だな」 「祝えv」 「何で声のトーン変えずにいきなり命令形なんだよ!?」 怒鳴り散らす跡部の後ろで、同じく呼ばれた千石・不二・リョーマはそろってため息をついた。なぜわざわざ選ばれたとおりのメンバーが呼び出され、しかもこんなチーム名なのか不思議だと思ったら。 しかしながら、リーダー命令なら仕方がない。ローソク立てたケーキを囲んで、みんなで歌う《Happy Birthday to you〜♪》。いやに発音がいいのはこの4人ならではか。 『おめでとう!!』 「ありがとう!!」 両手を上げ喜んでいるらしい佐伯にぱちぱち拍手を送り、 「多分・・・。 ―――リーダーの最悪度では文句なくトップだろーね・・・」 「そっスね・・・・・・」 「優勝する前に崩壊すんじゃねえこのチーム・・・?」 「大丈夫じゃないかなあ。だってリーダーサエだもの。 怖くて『辞めさせて下さい』なんて言えなくない・・・?」 『確かに・・・・・・』 ・・・・・・佐伯の誕生日のこの日、チーム員の友情度は馬鹿高く上がった。 ―――Fin |
―――以上、サエ誕を記念し昨日やってみました。全員が祝ってくれるまで何度でもやり直しましたv いや〜改めてやってみると面白い。特に試合中叫ぶ幸村が(って全然関係ないじゃん)。
以下適当に思った事です。なお展開はともかく台詞はうろ覚え+話の都合上追加してます。
その1―――
本気でこの選択肢笑えるんですけど。あと手塚のうな茶。その後えびせんべい(Byリョーマ)とかお好み焼き(By千石)とか出てくるとすっごいホッとする私は庶民です。
その2―――
確かにそう(ランダム)なんですが。この2人の間でそういうイベントが発生するって・・・・・・。
その3―――
残念だなあ千石さん。人災の前には幸運も無効化されるんだヨvv
その4―――
跡不二を後押しするサエっぽくって、やっててちょっと微笑ましいような哀しいような、そんな気がしました・・・。
その5―――
本当に一切干渉せずとことん悪くさせまくるといっそ仲良くなるんですけどね、跡部と神尾でやったところ。つーか跡部・・・。他人にケンカ売りすぎだろ・・・。
ミーティングで全員に『このチームはやりにくい』と文句を言われそれでもガンガン友情度を下げ共に5%以下に落としその結末は〜・・・・・・
・・・・・・やってきた姉にコードを脚にひっかけられ電源落とされました(コントかよ・・・)。試しでやっていたのでセーブもせず、やり直すには良心が痛むので結局やりませんでしたが。
しっかし友情度が低すぎるとむしろ上げるためにイベント多く出るんですかね? 道具買出しが10週間くらいの間に3回も発生したり。
その0―――
甚だ疑問。なんでサエが頼むと跡部はまず絶対(?)断らないのか。ステータスの低い千石さんが「テクニック低すぎ」とケチつけてくるというのに。いやテクSの不二やリョーマがつけるのはわかりますよ? サエDですし。なんでAの跡部は普通なのにBの千石さんに断られる!? やはり断らない理由は最初に誘われたから!? 2人目以降だったら焼きもち妬くのか!?
2005.10.2