とても仲の悪い北風と太陽。
ある時、通りがかりの旅人を使って両者は勝負をしました。
―――この旅人の服を脱がせた方が勝ち―――
そんな勝負を。
何を間違えたのかはたまた何を期待されたのか、
それが今年のお遊戯会での演目になりました。
壮絶! STRIPショーv
「いいか? ターゲットはアイツだ。アイツの服を脱がしたヤツが勝ちだ」
『オッケー!』
北風跡部の耳打ちに、太陽千石・雨リョーガ・雪不二が指を立て頷いた。
○ △ □ △ ○
たまたま通り掛かり、おかげでターゲットに選ばれてしまった旅人佐伯。寒くなり始めた気候にコートの襟を立てて・・・・・・
「よし行くぜ!! 1番北風跡部景吾! 真空作ってかまいたち!!
破滅への輪舞曲だ!! 思う存分踊ってもらうぜ!!」
「ちょっと待てえええ!!!」
「ちょっと卑怯だよソレ跡部くん!! なら俺だって!!
2番太陽千石清純!! 熱エネルギー集めて一気に虎砲!! 燃えカスは着られないよ!!」
「着るべき俺まで燃えるだろ!?」
「燃やすなんて野蛮な手法俺は選ばねえぜ!! 3番雨越前リョーガ!! オレンジ絞って酸性雨!!
無機酸より有機酸の方が強し!! これでたんぱく質も一気に溶かすぜ!!」
「いやオレンジ汁で溶けたら食えないだろ・・・・・・」
「くっ! なんか頭脳プレーが!!
けど僕だって負けないよ!! 4番雪不二周助!! アニメで会得した力技により、凍らせた後砕きます!! おいでブリザード!! 行くよ必殺羆落とし!!」
「周ちゃんまで!!??」
『待てええええええ!!!!!!!!』
「何なんだよこの劇!! だったら俺だって遠慮しないからな!!
5番旅人佐伯虎次郎!! 地上人を代表して大地の恵で応戦だ!!」
「ハッ! 大地の恵なんぞ別に怖か―――!!」
ねえ。
言いかけた跡部の言葉が止まった。その他3人もまたぴたりと。
佐伯は笑っていた。笑って、大地最強の攻撃物を握っていた。
―――石。
「ホラホラ当たると本気で痛いぞ!! 降参するんなら今の内だぞ!!」
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!!!!!!
「痛ったあああああああああ!!!!!!!!!」
「『今の内』とかもーめちゃくちゃ当ててんじゃねーか!!」
「うわっ!!」
「ンなモン風で防御しちまえば―――!!」
「甘いなあ景吾!! 大地に石がどれだけあると思ってんだ!? お前が吹っ飛ばした石もまた大地に還る!! となれば無限にだ!!
さあお前はどこまで戦い抜ける!?」
「くっ!!」
○ △ □ △ ○
こうして―――
「Winner旅人!!」
わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!
両手を上げ、佐伯が観客からの惜しみない拍手と歓声をその身に浴びる。その足元にはずたぼろの北風・太陽・雨・雪。
以上、
――――――人間が自然をも支配する大いなる存在だという事を証明した劇である。
―――Fin
○ △ □ △ ○
ちなみに―――
「そもそもお前ら、何で勝負なんてしようと思ったんだ?」
首を傾げる佐伯に、
4人は異口同音で言った。
『誰がお前/君に声をかけるか』
「全員ボツ」
『そ〜んな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!』
―――Endっぽい
○ △ □ △ ○
今ニュースで言われてますねえ北風と太陽。どこがどれかはともかくとして、久々に聞いた昔話でなんで最初に出てくるのがストリップショーなんだろう・・・?
ちなみにここは氷帝幼稚舎ではなく保育園です(お遊戯といえばやっぱりねえ)。なんでリョーガが入っているのかは・・・・・・聞かないでくれると嬉しく思います。
2005.10.27