貴方は佐伯君と付き合っていて、後悔した事はありますか?
『たんまりと』
過 ちを犯す 瞬 間
出会い編―――跡部
デート編―――手塚・千石
嫉妬編――――英二・橘・裕太・天根・リョーマ・忍足とか・甲斐
妥協編――――不二
倦怠期編―――白石
別れ編――――リョーガ
おまけ編―――千歳・仁王・幸村
*何だか●●×サエっぽいです。お好きなところをどうぞv キスはおろか手を繋ぐ事すらロクにしていませんが。
出会い編―――跡部
俺が物心ついて、最初に意識した相手は幼馴染の跡部だった。
跡部を見ると、跡部といると、不思議と胸がどきどきする。
いつも一緒にいるから、だからそうなった時も一緒にいる割合が多いだけかと思ったけど、同じ幼馴染の不二と一緒にいてもそうは感じなくて。
決して不二が嫌いなんじゃない。血は繋がっていないけど、弟のように大切に思っている。
けど違うんだ。跡部といる時のあのどきどき、それを感じるのはやっぱり跡部といる時だけで。
ある時、俺は衝動に任せ言ってしまった。
「景吾・・・。俺、お前といると凄くどきどきするんだ・・・。
これってやっぱり・・・・・・恋っていうヤツなのかな・・・・・・」
「佐伯・・・・・・」
言われて、当然跡部は酷く驚いていた。それでも俺は、もう引く事は出来なくて。
「なあ景吾・・・・・・。受け止めてくれよ俺の気持ち・・・・・・」
「・・・・・・//。
――――――ああ」
そして、さらに何年か経ち。
どきっ・・・。
「け、景吾・・・。
そっちのヤツ・・・・・・って?」
「ああコイツか?
越前リョーガ。越前の兄貴だとよ。何か海で遭難してやがったから拾ってやった。
んでリョーガ、コイツが佐伯だ」
「へ〜佐伯か〜。跡部クンもそーだけど、お前も負けず劣らずべっぴんさんだね〜v
よろしくな。紹介はされたけど、俺は越前リョーガ」
近寄ってきた、確かに越前に似た男に手を取られ、口をつけられ。
とく・・・とく・・・。
(え・・・?)
今まで、景吾にしか感じていなかった胸の高まり。俺は再びそれに襲われた。景吾に―――ではない。目の前の男、越前リョーガに。
ああどうしよう・・・。どっちも好きでたまらない・・・・・・・・・・・・。
「―――ってちょっと待てえ!!
それ実は恋愛のどきどきじゃなくって、タカれる相手発見レーダーじゃねえのか!!??」
―――戻る
―――こういう素晴らしくくだらない理由で結ばれても、この2人ならオッケーだと思います!!
デート前置き編―――手塚
「さて・・・」
電車を乗り継ぎ歩いて暫し。六角中門前にて、手塚は一息ついた。
今日青学は午前授業。明日も休日となれば、微遠恋中の恋人に会いに来ようと思うのも当然だろう。突然の決定で本人に確認が取れていないが、たまにはこのような不意打ちも良いだろう。ただでさえ自分は彼に比べ面白味のない人間なのだから。
六角は午後まで授業があったようだ。おかげで辿り着いた頃には丁度終わっていた。ちらほらと門から生徒が出てくる。
「ふむ・・・」
このままここで待っていてもいいが、もし佐伯が先に帰ってしまっていたのならば仕方がない。
その辺りの誰かに尋ねてみよう。佐伯は六角でも人気の存在だというし、何か知っている誰かに会えるかもしれない。
―――と考える手塚へと、制服姿の女生徒が近付いて来た。上で縛った長い金髪が、走る足取りに合わせ左右に揺れている。細身だが何かしら運動をしているのだろう。引き締まった体つきは野生動物を彷彿とさせる。
「よし」
頷く。彼女にしよう。
「すまんが少し待ってくれないか?」
自分の横―――門を通り抜けようとした少女を呼び止めた手塚。
呼び止め・・・・・・
「手塚! なんでお前俺のテリトリー内で女なんかに声かけてんだよ!?」
「そういうお前はなぜ何の脈絡もなく女装などしている!?」
金髪少女は佐伯だった。
ヅラを毟り取り喚く彼へと、手塚もまた喚き返した。本当に佐伯は自分と比べ面白味がありすぎる。
「何だよ何だよ!! 上からお前が見えたからせっかくちょっと驚かせようと思ったのに!!」
「それなら普通に話しかけんか!! 目線すら上げずに通り過ぎれば他人だと思うだろう!?」
「そこを察するのが恋人ってモンじゃないのか!?」
「『相手の変装をヒントなしで見破る』など、通常の恋人の必要項目にはないだろう!?」
「・・・・・・実はお前もさりげに面白いよなあ」
心底感心した様で見上げられる。
そして、
「で?」
「何?」
「俺のいる場で行きずりの女の子に声をかけた罪、お前はどう償ってくれるんだ?」
「ちょっと待て佐伯。それは―――」
「手塚v」
慌ててしようとした否定は一声で却下され。
見下ろせば佐伯はにこにこと笑っていた。
にこにこと笑い、両手を上げる。
「尖った拳とイワシ水とデートキャンセル。どれがいい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
――――――――――――――――――デートキャンセル以外で」
「OKv」
・・・・・・デートコースは病院巡りとなった。
―――戻る
―――このサイトで最後の常識人(爆)手塚。彼からしてみれば、サエはさぞかし面白い人でしょう。
デート本番編―――千石
《今度の日曜どこ行こっか?》
「う〜んそうだよなあ。いつもテニスしてだらだらっていうのも芸がないし、せっかく1日暇なんだから〜―――
―――ああ千石、ここどうだ?」
《どこどこ?》
「この間出来たテーマパーク。恋人で行くと今半額だってvv」
《へえ〜、いいね〜それってちょっと待って!? それ恋人ってより『男女2人組』でしょ!?》
「適当な女子誘ってダブルデー―――」
《―――トv
・・・な〜んて言ったら女の子の分も責任持って君が払うから定額通りだよ?》
「ははは。やだなあ俺がそんなありきたり過ぎる事言うワケないだろ?」
《せめて『俺がそんなデートに邪魔なんて連れて来るワケないだろ?』位言えないワケ・・・? どーせ嘘なんだからさあ・・・。
んじゃここはやっぱサエくんが女装して〜・・・vv》
「となると相手はやっぱ俺より背が高い方がいいよなあ。よっしじゃあリョーガとでも行く―――」
《んどわあああああああああ!!!!!!!!
・・・・・・わかったよ。俺がやるよ。それなら自然だしね》
「よしよし」
《しくしくしくしくしく・・・・・・》
そして女装した千石と入った。
そして定額通り取られた。
「ほらやっぱお前の女装がおかしかったんじゃん!!」
「『やっぱ』って!? 君めちゃめちゃ賛成だったっしょ!?」
「だってどこの世界に腹の割れたししゃも足の女の子がいるんだよ!?」
「どこの世界にだってけっこー普通にいると思うんだけど!?」
「せめて景吾だったら顔の良さでまだマシに見えたのに!!」
「てゆーかだから君が女装してって最初に言ったのに〜〜〜!!!」
そんな、女の子同士の見苦しい言い争いを、チケットを切ったお兄さんは微笑ましげに見守っていた・・・・・・。
―――戻る
―――なおこの話、サエと跡部でどちらが女装するか争い、結局決着つかないまま来たらなぜか2人揃って女の子に見られたという、全く意味のない展開でも良かったと思います。
嫉妬編―――英二
関東大会準決勝D1。佐伯&樹vsドリームペアにて。
佐伯のマークが光る。ターゲットに選ばれた英二に、そこから逃れる術はなかった。
「あっ・・・!」
英二が声を上げる。佐伯の放ったフィニッシュボレーに、完全に逆をつかれて。
今からではアクロバットを使っても間に合わない。佐伯の目が笑みの形に細まり・・・
「―――させないよ、佐伯!」
「不二!!」
後ろからカバーに入った不二が打ち返す。佐伯の目は、驚きに開かれた。
「サンキュー不二」
英二も笑って手を振り、
「菊丸!! なんで俺以外に愛想振り撒いてんだよ!?」
・・・さっそく佐伯にダメ出しを喰らった。
「・・・・・・ほえ?」
わからずクエスチョンマークを浮かべる。怒っているんだと、それだけはとてもわかりやすく地団駄を踏む佐伯へと。
理解の悪い英二を指差し、
「だから!!
言っただろ!? 『ダメじゃん俺をフリーにしちゃ』って!!
なんですんだよ!?」
「え・・・? いや別にしてないじゃん・・・」
「しただろ明らかに!! 今しっかり抜かれたじゃん!!」
「〜〜〜!!
されたくねーんだったらむしろお前が手ぇ抜けよ!!」
「何だよ逆切れか!? だったら最初っからそう言えば良かっただろ!? 不二になんて頼らないでさあ!!
しかもお前さっき樹っちゃんに渡そうとしてただろ!? 認めないからな俺はそんなのは!!」
・・・・・・・・・・・・。
「ええ〜・・・・・・?
・・・・・・ダメじゃんそれダブルスとして根本的に」
―――戻る
―――あえてこれを不二ではなく英二でやる理由。・・・・・・不二だと喜んで受け入れてくれそうで書けませんでした。一応今まで、相手のパートナーにはヤキモチを妬いても、自分のパートナーにはなかったんですけどね・・・・・・。
続嫉妬編―――橘
関東大会3位決定戦。2勝2敗でS1へ。3位の座は、橘とそして佐伯の手に委ねられた。
そして―――
「ウォンバイ不動峰橘!! ゲームカウント6−2!」
わああああああ!!!!
「やったわねお兄ちゃん!!」
「凄いっス橘さん!!」
「ああ―――」
仲間達へ向けた橘の頷きは、
「―――あああああああああ!!!!!!」
佐伯の悲鳴により掻き消された。
「・・・・・・。
何だ佐伯?」
驚き、そちらを見やる。佐伯はこちらを指差しわなわな震えていた。
「た、橘お前・・・・・・」
「ああ・・・」
どうやら重大な事らしい。橘も喉を鳴らし佐伯と向き直り、
「何で俺よりそいつらに先声掛けてんだよ!!」
「・・・・・・ああ?」
「仲間と喜びを分かち合っただけだろ? 3位になれてよかったなと」
「俺とは分かち合えないのかよ!?」
「・・・何を分かち合うんだ?」
至極尤もな疑問。片や勝った側。片や負けた側。これで一緒に喜び合ったりでもすれば、負けた側に対する宣戦布告と見なされる。
そう、思うのだが・・・
「だから!! 跡部と手塚みたいにハイタッチで試合出来てよかったなとか!! そういうのやるんじゃないのか!?」
「まあ、確かになあ・・・」
試合後の握手には大なり小なりそういった意味合いが含まれる。納得し、頷き・・・
「それなのにお前はそれよりも仲間と喜びを分かち合う事を優先するのか!?
見損なったぞ!! お前人として最低だな!!」
「・・・・・・そこ、見損なうポイントなのか? 明らかにお前の方が人として最低だろ」
―――戻る
―――英二と順序は逆にするべきですかね。こっちの方が軽そう(思考回路がマシそう)ですか?
続々嫉妬編―――裕太
都大会で惜しくも敗退した裕太。それでも彼には来年があった。そう! 観月と違って!!
「すみませんねえ今年で終わりで!!」
・・・あいやそれはいいとして、そんなこんなで裕太は来るべき来年に向け―――の前にJr.選抜合宿で頑張っていた。
同じ班の佐伯と。
バン―――!!
佐伯の球がコートを穿つ。恐らくライン上を。
一瞬見失った裕太には、それがライン上だったかアウトだったかを判定する術はなかった。
審判に判断を仰ごうとして・・・
ビクッ!!
向く途中で、にこにこ笑う佐伯と遭遇した。
「えっとあの、佐伯さん・・・・・・」
声をかける。佐伯は笑ったまま、
「『俺たちは』―――」
「・・・・・・恋人です」
「『俺は』―――」
「・・・・・・浮気をされるのは大嫌いです」
「『だから』―――」
「・・・・・・他の人に目を向けたりした際は即行抹殺・・・します」
「よしよし」
「――――――って審判もダメなんですか!?」
「当たり前じゃないか」
「・・・・・・・・・・・・。
すみません佐伯さん。次からはあまり際どくないコースでお願いします」
「オッケー」
以降、ぱこんぱこんとセルフジャッジで試合が行われた。
「だから僕の立場はどうなったんですか!?」
―――戻る
―――パートナーに、仲間にヤキモチを妬くサエ。もちろん審判も例外ではありません。そして・・・
また嫉妬編―――天根
六角部員同士でももちろん練習は行う。今日は天根と佐伯で打ち合った。
「もらった!!」
シングルスでも発揮される佐伯の先読みとマーク。長いラケットでも届かない位置へ打たれたボールを、天根はただ黙って見送る事しか出来ず・・・・・・。
「って何で俺じゃなくてボールなんて見るんだよ!?」
『ボールも不可!?』
最早留まるところを知らない佐伯のヤキモチ対象。突っ込むしかない一同とは対照的に、天根は顎に手を当て考え込み、
「サエさんのサエ渡るボレーに惚れボレー」
「よしオッケー」
「え? アレでいいの・・・・・・?」
「ダジャレ、可・・・?」
「ワケわかんねえよ・・・・・・」
―――戻る
―――・・・もちろん人でなくともヤキモチは妬きますよ〜。となると最大のライバルはテニスそのものか!?
まだ嫉妬編―――リョーマ
青学と六角で合宿をやった。リョーマと佐伯で試合をやった。
「新必殺技! イリュージョン!!」
「なっ―――!!」
佐伯の放ったサーブ。それは確かに、ケビンが使っていたのと同じ軌道で止まったリョーマの回りを回転した。
「け、けどこれなら影見て―――」
「―――って実はお前バカだろ越前。普通それは『幻影には影がつかない』んであって『残像には影がつかない』んじゃない。
残像には『残像の影』がつくに決まってんだろ? じゃなかったらラケット振るたんびにプレイヤー影消えるだろーが」
「ぐ・・・・・・!?」
「確かに正しい指摘だな佐伯。しかも残像が残るか否かは、見る人間の動体視力がどの程度の良さかにより大幅に異なる。その度に影が消えていたのでは大変だ」
「頷く前に違う解決策考えてやれよ乾〜」
「その必要はないだろ? どうやら越前は自分で編み出したようだぞ」
「ほえ?」
乾が顎で指す。その先を見てみれば、
「なら、そもそも見なきゃいいだけでしょ」
と、リョーマはラリー中であるにも関わらず目を閉じ出した。
それを見て、佐伯が衝撃の表情を浮かべる。確かに目で見て追うのが得意な彼と違い、リョーマは五感全てを使ってテニスが出来る。だからこそ不動峰の伊武相手では片目で試合を行い、挙句立海の真田の時は目が疲れたという理由で閉じるといった暴挙までかました。
驚いた佐伯が、さらに表情を動かす。
「それで、試合するのか越前・・・」
「だからさっさと打ってよ」
うりゅ・・・と瞳に涙を貯め口をすぼませ、
「せめて試合の時くらい俺の事見てくれたっていいじゃないか越前の馬鹿あ!!」
「だったらンなはた迷惑な技マスターすんな!!」
―――戻る
―――さすが生意気王子越前リョーマ。英二や橘と違い即行叫んで突っ込み入れます。
そして佐伯リョと見せかけ(?)リョ佐伯。【すりすり】のリョ跡に続きまたしても攻めてみるリョーマ。最近そんな王子も好きな気がしてきました(ただしこの2人以外相手ならまだ受けかなあ・・・。読む分にはリョ不二も好きなのですが)。・・・って結局サエと跡部を受けにするのが好きなだけなような気が・・・・・・。
そんなリョーマが活躍してくれそうな33巻。早く出ないかな〜・・・。
嫉妬閑話編―――忍足とか
氷帝の特例全国出場が決まった。一度は引退した3年も戻ってくる。
「という事で、練習試合だ!」
「・・・・・・あん?」
どこぞのイベント好き横暴六角副部長の手により、急遽氷帝と六角は練習試合を行う事になった。
「・・・で、俺の相手はお前なのか忍足?」
「なんや佐伯? えろう不満そうやなあ。
悪かったなあ跡部やのうて。しゃーないやん、ウチに他に食わせ者おらんさかい」
「ほお。『仕方ない』・・・と」
「訂正する! めっちゃ嬉しいわ〜お前と出来てvv
―――ちゅーか最初ぶーたれたんお前やんか佐伯・・・」
虚空から取り出したメモ帳に何かグチグチ書き込み始めた佐伯を慌てて止める。
しっかり全て書き終えてから、佐伯が顔を上げた。
はは、と手を振り、
「食わせ者? 俺が? まさか」
「・・・・・・試合前からそない精神戦仕掛けてきおる自分に否定する資格あらへんで?」
試合が始まった。なぜ忍足が『食わせ者との対戦』に拘るのか、それは割とすぐ判明した。
忍足が心を閉ざす。途端、彼が何を考えているのか佐伯にもわからなくなり・・・。
「何だよ忍足酷いじゃないか!! そんな冷たい目で俺の事見るなよな!!」
「・・・・・・・・・・・・は?」
動揺した忍足の球はロブになった。佐伯の目がきらりと光る。
「チャーンス!!
喰らえ忍足!! 千石直伝ダ〜ンクスマァッシュ!!」
「うわ自分の方がめっちゃ卑怯やん!!」
様々な意味で動揺しっ放しでもそこは天才。月の輪落としでスマッシュを返そうとして・・・・・・。
「ほらお前ついに俺の事は見る価値すらないって言いたいのか!! 試合中に背中まで向けて!!」
「やからちゃう―――!!」
ドスッ!!
慌てて否定しかけた忍足の髪を揺らし、ボールが抜けていった。
「わ〜いわ〜いvv 決まった〜vv」
「凄げえぜ佐伯さん・・・」
「忍足先輩の閉ざした心を僅か数言で開かせた・・・!!」
「待ちい!! いろいろ突っ込ませえ!!」
非常に不名誉な言われっ振りに声を荒げる忍足。そこに、当事者から更なる不名誉な言葉がかけられた。
「何だよ負け犬? 今のはどう見てもお前のミスだっただろ? 待ったはなしだぞ?」
「・・・・・・。
確かに俺んミスやったかもしれん。ほな次からは一切取り合わんで行くわ」
「しくしくしくしく・・・」
「・・・・・・・・・・・・結局構って欲しいんかい。
そない鼻水垂らして泣くなや。いっくらリアリティ追求しようと、お前ンFan泣くでそない姿見せられおったら」
「お前が泣かない時点で余裕でセーフじゃん」
「・・・何や照れてええんか怒ってええんか謎な返しやなあ。泣くんやったら鼻水だけやのうて涙も流しいや。
ついでやから訊いとくさかい。いつ千石に教わったんそないモン?」
「この間の合宿中に手取り足取り」
「しばくで千石・・・・・・!!」
「え・・・? 今お前、ヤキモチ妬いてくれたのか・・・?」
「そら妬くに決まっとんやろ? お前は俺ん恋人なんやから、なあ佐伯」
「忍足・・・・・・//」
ネット越しでいちゃいちゃする2人。当てられコールしていいのか悩む審判に代わり、跡部が目を細めて言った。
「ポイント佐伯。15−0。
でもって忍足、てめぇ正レギュ降格な」
「ちょお待ちいよ跡部!! 今ン俺のどこに非ぃあったん!?」
「全てにおいてだ。その程度で自分崩す食わせ者はウチにはいんねえ」
「『こん程度』やったか今ンが!!
今ンは試合とは関係ない愛の確認やん!!」
「ほお、アイノカクニン。
―――した結果どうなったよ?」
「そらもちろん―――!!」
向く。佐伯の方を。
向いた佐伯はにこにこ笑っていた。笑って、こちらの肩を叩いていた。
「もちろん以降俺に冷たい態度取ったり背中向けたりあまつさえ勝ったりしないよな? なあ忍足?」
「なしてそーなるん!? それとこれとは話別―――!!」
「何だよお前の愛はその程度か!? そんな事ならこの間景吾に迫られた時やっぱ脚開いとけばよかった!!」
「人ン恋人に何やっとるんや跡部ぇ!!」
「やってねえ!! まった不二にヘンな事吹き込んでやがったから殴り倒しただけだ!!」
「結局不二とは何かしとったんか!?」
「やらせてねえに決まってんだろ大ボケ野郎が!!」
ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ・・・・・・
「凄げえな六角の食わせ者。あっという間にウチのトップ2人崩したぜ・・・」
「さすが全国。あなどれねえ・・・」
「いや誉められて全然嬉しくねえし」
「てゆーかいつからサエがウチの食わせ者になったのね?」
「だよなあ?
―――アイツは『食わせ者』なんつー普通の名称に収まるヤツじゃねえだろ。『精神破壊者[マインドデストロイヤー]』とかこのくらい箔つけてオッケーじゃねえ?」
『だな・・・・・・・・・・・・』
なお、忍足は本当に負け正レギュを落とされかけ、
―――そしてその後跡部も負けたのでチャラになった。
「はっはっはv 氷帝も所詮この程度か。少なくともこんなのでマインドコントロール崩される食わせ者飼ってる時点で先は見えたな」
「酷いわあ佐伯・・・」
「それもそうだな」
「跡部まで賛成しおるんか!?
見とれお前ら!! 絶対今ン言葉取り消させたるで!!」
だだだだだだだだ・・・・・・
「あ、逃げた」
「忍足やっぱ正レギュ降格、と」
「でもってお前も?」
「しねえよ!!」
なお帰ってきた成果がどうなったのか、それは青学戦でのお楽しみv
―――戻る
―――最早部長副部長(と予想)の接点すらなくなった忍サエ。まあ天根が氷帝100人切りなどしてくれたおかげで接点もあるといえばあるのですが。
一応下設定としては、サエ→跡不二で跡部を取られて落ち込むサエを慰めて以来の付き合いという事で。跡部を通じて知り合いに・・・・・・なる以前に保育園と幼稚舎途中までは一緒でしたしね。
そして忍足。ヤバいですよ〜。32巻の対桃城戦で、今まであまり好きではないキャラ(穏便な物言い)だったはずの忍足株一気に上昇! 目にトーン貼った・・・じゃなかった心閉ざした忍足めっさカッコ良かったわ〜!! ちゃんと頭脳戦出来たのね(相当失礼な言い方)!!
しつこく嫉妬編―――甲斐
全国大会最初の対戦。比嘉対六角。
既に4敗で負けが決まっていながら、決して折れない佐伯の強さを前に、甲斐は別の手段を取る事にした。即ち、
―――ベンチコーチにボールを当てる。
狙いを定め・・・
「っあああああああ!!!!!!!!」
びくぅっ!!
佐伯の批判声に、一応悪事を働こうとしている自覚はあるのか、実際以上に驚き甲斐が止まった。
視線を送る。佐伯は大口を開けこちらを指差し、
「何で俺と試合中であるにも関わらずオジイに熱視線送るんだよ!? さてはお前オジイに気があるんだな!?」
「お前の設定する許容範囲はいくつまでだ!!??」
「そこまで気付いてながら何でそっから外すんだろーな・・・・・・」
「どういう思考回路だアイツん頭の中・・・・・・?」
「ってか・・・、裕次郎も否定しろよそこは・・・・・・」
「ああ・・・。これでまたいらない争いが増えそうだな・・・・・・」
「甲斐クン・・・。ゴーヤ食わすよ」
「何だよお前年増好きだったのかよ!? てっきりロリコン趣味かと思ってたのに!!」
「濡れ衣以下で人変態扱いすんじゃねえ!! 大体ロリコンって俺とお前は同じ年だ!!」
「これだけ証拠が揃っていながら今更イイワケか!?」
「揃ってねえよ!!」
「この報復は青学のみんなにしっかりやってもらうからな!!」
「自分でやれよせめて!!」
・・・比嘉が青学に負けたのはこういう事情らしい。少なくとも佐伯が縮地法の弱点をチクったのは。
―――戻る
―――書きたい書きたいと思いつつ書いていなかった甲斐×佐伯(今回も書いていません)。むしろこの話はオジイ×サエになりそうで怖かったです・・・・・・。
たまには妥協編―――不二
「不二〜vv」
恋人に会いに来て。
目の前で見せ付けられたのは、その恋人が他のヤツといちゃいちゃしているシーンだった。
「ほら越前!! 口開けてよあーん!!」
「嫌っスよ!! それ絶対マズいとかそんな生易しいモンじゃないんでしょ!?」
「よくわかんないから君に味見頼んでるんじゃないか!!」
「向こうで部長倒れてるっスけど!? その時点で何か気付かなかったんスか!?」
「もしかしたら手塚は今日たまたま体調が悪かったかもしれないじゃないか!!」
「その隣でやっぱ倒れてる大石副部長は!?」
「大石は元から胃が弱いから対象外!!」
「わかってんなら食わせなきゃいいじゃないっスか!?
んじゃそこで泡吹いてる英二先輩と桃先輩は!?」
「乾汁に当たったかもしれないじゃないか!!」
「乾先輩も同じなんだからありえないっしょ!?」
「自爆かもしれないよ!?」
「ありえないっスよ!!」
「ほら早くしないとサエ来ちゃうじゃないか!!」
「だったらその佐伯さんに食わせればいいでしょ!?」
「だから!! 恋人ならやっぱ少しでも喜んで欲しいから美味しい物をあげられるように、君に味見頼んでるんでしょ!?」
「あの人なら何食っても美味いとしか言わないから大丈夫っス!!」
「だってせっかくそう言ってくれたのに、この間なんて後で泣きながらトイレで吐いてたんだよ!? サエの愛ってその程度だったの!?」
「アンタの手料理食わされて卒倒もしないで笑顔で美味いって言えるあの人の愛は偉大だと思います!!
―――てゆー事だからホラ!!」
「駄目!! だから今回はちゃんと美味しい物あげるんだから!!
越前も観念して口開けて!! あ・あ・あ・ん!!」
「(い・や・っ・ス!!)」
リョーマを組敷き迫る不二。見て、
「周ちゃんが・・・・・・周ちゃんが・・・・・・周ちゃんが・・・・・・・・・・・・ぁ」
目の前の現実に耐え切れず、佐伯はその場で卒倒した。
ばたりと倒れた佐伯を見て。
押さえつけられ両腕だけで対抗していたリョーマは、小さく呟いた。
「不二先輩、
あの人の目には一体この世界はどう映ってんスか・・・・・・?」
「さあ・・・・・・?」
―――戻る
―――あまりにも摩訶不思議な佐伯の思考。最早不二にすらついていく事は不可能だったようです。
そして不二だけには迫る事が出来ないサエ。そんな彼をカワイイと思ってしまう辺り、自分も相当神経壊れているようです。
倦怠期編―――白石
束縛好きの佐伯。彼の中では、恋人といえば1日に3回は連絡を取り合い、ちょっと他の誰かに目をやったり話し掛けたりすればすぐ注意。出来るなら毎日会って・・・といきたいがこれはお互い部活があるので妥協して、それでも週1回は最低会ってお互いの存在を確かめて・・・・・・
《・・・・・・たいって思ってんのになんでお前全然やってくんないんだよ!?》
電話の向こうで喚かれて、白石は耳を塞いでため息をついた。
「あんなあ佐伯・・・・・・」
《何だよイイワケなんて聞かないからな・・・。ぐすっ・・・。どうせお前の愛なんてその程度なんだ・・・・・・》
「聞きいよ・・・・・・」
《わかったよもーわかったよ・・・。お前にとって俺なんてどーでもいいヤツだったんだろ・・・? 今だってすっげーめんどくさいとか思ってんの我慢して相手してんだろ・・・?
そーだよな〜・・・。お前面白好きだけどすぐ飽きそうだしな〜・・・。もう俺なんて飽きたんだろ・・・? それで今どーやって捨てようか考えてんだろ・・・・・・?》
完全いじけモードに入った佐伯にさらにため息をついて。
「やから・・・・・・
――――――千葉〜大阪間でそないやっとったら破産するに決まっとんやろ!?」
・・・以上。家の金使い込みがバレて母親に死の制裁を喰らった白石であった。
―――戻る
―――元旦那が家の金で浮気をしたのが原因で離婚した、がMy設定の白石家。本気でも怒られるようです。やはり「好きな相手は自分の力で幸せにしてやれ」という事で、ね。やっぱこんな彼にこそ月315円のL●VE定額(イマイチ伏字になっていない)ですか?
そしてなぜだかここ最近、頭の中で白石像が初期のものから大幅に変わったような気がします。『面白好き』から『面白い人』に・・・。え? それって元から?
多分今の彼、跡部と共存させるとお互い蹴落とし合うようになりそうです。おかしいなあ・・・。サエ同様一方的に蹴落とせる人のはずだったのに・・・・・・。
別れ編―――リョーガ
がしゃん!!
『あ・・・・・・・・・・・・』
2つの声が広がる。リョーガの手から滑り落ち、割れてしまったカップを見下ろし。
一緒に暮らし始めて少し。リョーガの分の生活必需品を揃えるに当たって、一緒に買ったお揃いのマグカップ。
選んだ時は、1つずつ手に取って小さく微笑み合った。ずっと一緒にいようと、胸の内に約束して。
それが割れてしまった。まるで自分たちの未来を暗示したかのように。
哀しそうな目で佐伯が顔を上げ・・・
「わかった悪かった俺の全額負担でもっかい買うから!! だからバザーに売り出すのは余りのカップだけにして俺は売らないでくれ!!」
「よし」
こうして2人の生活は安泰となった。
―――戻る
―――お揃いだろーが意味を無くした途端売りに出す事しか浮かばないサエ。視線だけでそれを理解した辺り、リョーガも相当慣れてきたようです。
貴方は佐伯君と付き合っていて、後悔した事はありますか?
『たんまりと』
では佐伯君と付き合う事を後悔した事はありますか?
『・・・・・・・・・・・・』
今日もまた、後悔と共に彼らは幸せな日を送る・・・・・・・・・・・・のだろうか?
「いや今んトコ首振ったら後悔どころじゃ済まねえだろ」
「それこそ『人生最大の過ち』だよにゃあ・・・?」
「なんで俺ら、こんな人と付き合ってんだろ・・・?」
「知るか」
「―――何かなお前ら? 何か言いたい事あんなら大声ではっきり言っていいぞ(にっこり)?」
『お前/アンタと付き合えて俺は最高に幸せです!!』
―――Fin
おまけ
甘やかし編―――千歳
「佐伯は可愛いばいねえ」
「えへv」
「今日はずっとこっちおると。ゆっくりしてよな?」
「うんv」
事程左様に、千歳はひたすら佐伯を甘やかし愛でていた。佐伯もまた、喜んでそれを受け入れていた。
が、
あまりに平和すぎるとロクな事を考えないのが人間である。そして考える事が常にロクでもないのが佐伯である。
「そーだ! じゃあ今日はお前の愛情テストをしよう!」
「・・・・・・・・・・・・?」
さっそくやってみた。街角を1人で歩き、他のヤツに声をかけられても無視して進めというもの。
(楽勝ばいね)
佐伯以外の人間に興味はない。隣にはいないが、今は少し変わったデートの最中。他の人間の誘いに乗るなど―――
―――と思う千歳の前に、少女が現れた。
明るい髪色をした少女。年齢は自分と同じかそれより上か。夏につきキャミソールとレース地のベスト、7分丈のジーンズにサンダルという、露出度が高いとも低いともいえる恰好。どちらにせよスタイルの良さは抜群であり、男のみではなく女まで見向きしている。ついでに背も割と高い。自分がゲタを履いているから対比で普通に見えるが、ヒール分入れ向こうも180越えているだろう。
「こんにちは〜☆」
「こんにちは」
明るく挨拶されたのでこちらも返しておく。
表情は全く崩さず、少女は指を絡めて微笑んだ。
「今お1人ですか? よろしければご一緒に如何ですか?」
「ええですとよ」
カラオケハウスで2人きりになり、
「あれだけ自信満々に出といてなんであっさり約束破るんだよ!!」
カツラを取り吠え立てる少女―――改め少年はやはり佐伯だった。
千歳はさも不思議そうな顔で首を傾げ、
「お前だから乗ったばい。何か問題あるとね?」
「っ・・・!!
・・・ぜ! 絶対そんなの今出てきたイイワケだろ!?」
「そんな事なかよ? お前じゃなかったら見向きもせん」
「むぅ・・・!!
大体! いつからわかってたんだよ!! 変装も芝居も完璧だっただろ!?」
「そうとねえ・・・」
のんびり上を向き、
佐伯の頬を撫で、額をくっつける。
「じゃけど、
俺もお前は間違えんばい。一目見ればすぐわかるとよ」
「千歳・・・・・・//」
そのまま暫くいちゃいちゃし、
「―――で」
「ん?」
腕の中できょとんと顔を上げた佐伯に、
千歳はいつも通りの笑みを向けた。
それで、言う。
「この俺を信じんで騙そうとした罰、お前はどう受けてくれるとね?」
「ゔ・・・・・・!!」
これが、佐伯が初めて負けた瞬間である。
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―――普段魔境としてセットで出していたりする割にはCPとしては考えた事のない千歳と佐伯。一緒にしてみると―――何だか千歳の可愛がり方が対金太郎と一緒になっているような・・・・・・。一応この2人は同い年なのですが・・・・・・。
恋は駆け引き編―――仁王
「仁王〜vv」
「よう佐伯」
「仁王、俺の事好き?」
「なんじゃ? 薮から棒に」
「いいからいいからvv」
「ん〜・・・・・・。
―――ピヨ。好きとね」
「何だよすぐ返事してくんないのかよ仁王の馬鹿あああああああ!!!!!!!」
「・・・・・・してやれよすぐに返事」
「ていうか・・・・・・全っ然会話成立してなくなかったか?」
「気にしなさんな。こん程度はいつもの事じゃ」
「いつもの・・・・・・?」
「では、この後は?」
「3日位したらアイツも飽きて戻って来んじゃろ」
「うわそれ恋人としてどーなんスか?」
「『仁王と佐伯の付き合い方は、常人には計り知れないものがある』、と」
「全く、たるんどる」
そして3日後。
「仁王〜vv」
「よう佐伯」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もーいいよ』
―――戻る
―――駆け引きの仕方明らかに間違ってます。これでは詐欺師と苛めっ子というよりただの馬鹿2人げふんごふん。
失敗しない男、幸村
試合をする。ボレーが来る。佐伯を見つめたまま打ち返す。
今度はロブが来た。佐伯を見たまま後ろに下がり、スマッシュ・・・と見せかけネット際に落ちるドロップ。
体勢を崩しながらかろうじて佐伯が返す。僅かに浮いた球に、今度こそスマッシュを放つ。もちろん佐伯は見つめたまま明後日の方向に。
ドスッ―――!!
「俺に勝つのは、まだ早いよ」
くすりと笑い、言い放つ。
佐伯もまたこちらを見上げ―――
―――視線を逸らした。
赤く染まった頬を隠し、消えそうな声で、呟く。
「そんなに見つめんなよ・・・。照れんじゃん・・・・・・//」
「だから言っただろ? 俺に勝つのはまだ早いって」
「ん・・・・・・」
「・・・・・・幸村ってすげえな」
「うん・・・。よくあそこまでボール見ないで打てるね」
「さすが立海部長。舐めたらあかんね」
「そうばいねえ」
大きく頷く跡部・千石・白石・千歳。
その後ろでは、
「『幸村、佐伯を気に入った確率100%』」
「柳・・・。データ取んならもーちっとまともなモン取んねえのか・・・?」
「ああ・・・!! 俺の幸村が・・・!!」
「幸村ぶちょ〜!! なんであんな人に・・・!?」
「そりゃお前さんらより向こうの方が面白そうじゃからじゃろ」
「ははっ! ゴシューショーさん!」
「・・・・・・。
我々は一体、この合宿に何をしに来たのでしょうね」
『男漁り』
以上、中2時のJr.選抜合宿の事である。この『偉業』により、幸村の名声はますます高まった。
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―――ダビデにてボールにもヤキモチを妬いたサエ。だからといってサエしか見ないというのも・・・・・・ってそれで勝ってるし。やはり何をやっても幸村は最強です。
そしてささやかな主張として、去年のJr.選抜には白石・千歳の両名もぜひ・・・!!
―――さって終わりました!! 最初は跡虎Onlyで行くはずがいろいろやってみた結果相当無理のある事になってみましたが!!
なおこの話、リョーマで触れました通り全てサエを受けとして考えているため実は裕サエ、不二サエ。弟に迫られるお兄ちゃんというのは大好きですvv
そして最後3つはおまけ編。かの3名はあまり後悔しなさそうだったので。
2006.2.18〜21