捨て猫といえばみかん箱

―『越前リョーガ』誕生秘話?―




     
 
佐伯: 「―――という案でどうだ?」
リョーガ: 「『どうだ?』って・・・よくねえよ!」
佐伯: 「何!? 古来より捨て猫といえばみかんのダンボールじゃなのか!?」
リョーガ: 「ダンボールの歴史どこまで古りいんだよ!? しかもオレンジじゃねえじゃねえか!!」
佐伯: 「こうしてお前は越前家に拾われ―――」
リョーガ: 「てねえ!!」
佐伯: 「そうか。越前家から捨てられ―――」
リョーガ: 「てもねえ!!」
佐伯: 「けど越前なら猫好きだし、コレも拾ってもおかしくなくないか?」
リョーガ: 「おかしいだろーよいくらなんでも・・・。
 つーかたとえチビ助は拾っても親父と母さん大反対だろ?」
佐伯: 「いやおばさんはともかくおじさんなら〜・・・」
リョーガ: 「・・・・・・今何か口にしちゃいけねえ事言いかけなかったか?」
佐伯: 「(無視)そして越前が付けたから名称が『リョーガ』になった。
 ・・・・・・『カルピン』に比べ何の捻りもないなあ」
リョーガ: 「同情的な目で見んじゃねえ!!」
佐伯: 「だがこの度日本に来るにあたって、ペットは連れてこれない事が判明した」
リョーガ: 「ペットぉ!?」
佐伯: 「ご両親にすがりついて頼む越前。しかしながら海を越え国を越えての引越し。
 残念ながらそれを前に子どものそんな願いなど無残に散り・・・・・・!!
 ―――別れのその日、越前は泣きながらお前をきつくきつく抱きしめ、そしてダンボールに詰めた。いつか絶対迎えに行くからねと、そんな約束を胸に・・・・・・」
リョーガ: 「なあ、なんでやったらリアルに語るんだよ・・・?」
佐伯: 「さらになけなしの小遣いで買った首輪を目印用に付け・・・」
リョーガ: 「まさかで訊くが、その『首輪』って・・・・・・、
 ―――このペンダントの事か?」
佐伯: 「明らかに安物じゃん」
リョーガ: 「いーだろ気に入ってんだから!!」
佐伯: 「そう! だからこそペット・リョーガも決してそれを外さなかった! いつかは見つけてくれるように・・・!!」
リョーガ: 「・・・・・・取り外し可能の目印がねえと見つけられねえ関係って、実は結構薄っぺらくて細くねえか・・・?」
佐伯: 「・・・・・・・・・・・・」
リョーガ: 「だからそこで気まずげに目ぇ逸らすんじゃねえ!!」
佐伯: 「が、子どもの身に別れはあまりに辛すぎた。だから記憶ごとその辛さを封印した。
 ―――良かったなあリョーガ。お前が船での再会時、綺麗さっぱり忘れ去られていたのはそんな理由だったらしいぞ?」
リョーガ: 「違うわ!! むしろいっそそんな感じだったらいいけどよ!!」
佐伯: 「確かになあ。映画の設定だけ追うと、何となくいなくなって何となく忘れ去られたもんなあ。
 所詮その程度の存在、と」
リョーガ: 「うるせえ!!」
佐伯: 「次は頑張れよ? 今度はもうちょっといい印象を残せるように。
 何せ越前の裏口癖は『アンタ誰?』だからな。幸い俺は1度でアイツの記憶に深く焼きつく事に成功したが」
リョーガ: 「・・・そりゃそーだろうな」
佐伯: 「凄いだろう? えっへん」
リョーガ: 「凄くねえよンな個性大爆発の性格!!
 しかも突っ込みどころ豊富だろ今の話!! アメリカいた時からカルだっていたんだぞ!?
 なんでカルはちゃんと日本に連れてきて俺は置いとかれたんだよ!?」
佐伯: 「なるほど。お前の重要度はカルピン以下」
リョーガ: 「それを言うなあああああ!!!」
佐伯: 「・・・わがままだなあ」
リョーガ: 「お前だお前!!
 そもそも人の歴史勝手に作り変えてんじゃねえよ!!」



 果てさて実際のところそんなリョーガの過去は一体!?

 
     








 ―――しっかしそういえば、7歳当時のリョーガは髪短かったですね。ま、この方が見た目的に拾われやすいという事で。

2006.7.24