Chocolate Kiss
〜side F&R〜
6
再び不二のベッドにて。
「2度と先輩とチョコケーキ作りはしない・・・!!」
堅く握った拳になにやら堅い誓いを立てるリョーマ。ホール1個を全て食べきるまでいろいろと(笑)やっていた者としてはごく当然の意見かもしれない。
「何で? 僕はすごく面白かったけどな」
「だからだろ!!?」
隣に寝転んで首を傾げる不二に怒鳴り返した。
「もーサイアク! だるいし体中痛いしなんか気持ち悪いし! 何回イかされたと思ってんだよ、しかも俺ばっか!!」
「え〜っと、確か・・・」
と指を折って本気で数え始めた不二に、げんなりとする。
「も〜いい・・・・・・」
「そう?」
くすくすと笑う不二。今までのがからかいだったと悟り、リョーマはため息をついた。
頭を抱える彼に、不二がふと疑問に思った事を訊く。
「ところで越前君」
「何?」
「あのケーキ、結局誰にあげるつもりだったの?」
「はあ!?」
素朴な疑問のつもりだったのだが、
それに対してリョーマはがばりと身を起こした。
「今更何言ってんだよ!?」
「え? 今更・・・って・・・?」
きょとんとする不二を眺め、リョーマは頭を抱えた。
(確かに言ってなかったけど・・・!!!)
今更アンタにあげるつもりだったとは恥ずかしくて言いづらい。だが、
(墓穴・・・・・・)
そうリョーマが思う通り、人並み外れて鋭いんだか鈍いんだかわからない不二も、さすがに今の彼の態度で大体を察したらしい。
「だれだれ?」
(インケン・・・)
それでも知らない振りをして尋ねて来る。楽しそうな笑顔が全てを物語っていた。
付き合ってられないとばかりにリョーマは上半身を起こした。
隣にいる不二をちらりと見下ろし、
「アンタ以外の誰にあげるのにわざわざアンタに教わるのさ・・・」
それはそうだ。ただのお菓子作りなら同居している菜々子が得意なのだから。
「・・・。ちなみに僕の場合はなんで?」
「アンタの好みがおかしすぎるからだろ? とりあえず自分で作ったものなら食べられるだろうし」
「それ、って・・・・・・」
一見ボロクソな物言いだが・・・・・・
「つまり僕がおいしいって思うだろうものを贈りたかった、って事?」
「〜〜〜//////!!!」
口も目も尖らせそっぽを向くリョーマ。
身を起こして、不二はその裸の背中を後ろから抱き締めた。
ふわり。
温かい何かに後ろから覆われ、動きが止まる。
小さく息を飲むリョーマを抱き込む腕に力を込め、不二は耳元に囁いた。
「愛してるよ、リョーマ君」
その言葉に、顔中赤くなるリョーマ。
急いで不二を払いのけ、立ち上がるとベッド脇に置かれていた服を着込んでいった。
今だベッドの上で、頬杖をついて楽しそうに笑う不二に、憮然とした表情で告げる。
「・・・俺も好きです(ぼそり)」
「ん? 何? よく聞こえなかったv」
「しっかり聞こえてんだろ!?」
「そんな事ないよ。だからもう1回v」
ね? と指を立て首を傾げる不二に激しく脱力するリョーマ。
(なんでこんな人好きになっちゃったワケ? 俺・・・)
今更思っても仕方ない。
リョーマはロッキングチェアに乗っていたクッションを後ろ手で掴み、思いっきり投げつけながら言った。
最大殲滅目標となった、目の前の彼に。
「俺も好きだよ、周助!!」
End
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終わった〜vvv ウジウジ悩んでたの全部吹き飛ばすバカップルで〜〜〜!!!
さて、なんだか思い切り限界にチャレンジした・・・というかあからさまに限界を超えたこの話。書いてる最中脳内バーストしまくって、ラストまで進めたのが奇蹟に近い。難しいです。なんていうか性描写(微妙に誤魔化しておきながらハッキリ言う奴)。とりあえずあくまで2人の一人称でしたので、モロ単は避けたんですけどね(いやあ。自分のはともかく好きな人の事じゃ露骨には言い難いかと)。あ、2人の心境の変化に応じて地の文も少しずつ変え―――る努力をしてみました。出てるといいなあ・・・。不二先輩はぶち切れた(笑)辺りからかなり卑屈な見方で。リョーマは・・・・・・なぜかだんだんおとなしくなってたような・・・。しかしお互いあれだけやっておきながらなぜラストまで相手の気持ちに全っ然気付かない? という疑問が確実に浮かんできそうな感じですが――――――最初に否定したものを肯定しなおすのは難しいのです! 以上!
2003.2.18
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