そして・・・.帰宅 ―――対?
「じゃ〜ね〜♪」
「また部活で!」
1週間にわたる合宿を無事(?)終え、学校前にて自由解散する一同。不二はさらにバスに乗り自宅へと向かい―――
「―――やっと帰ってきやがったか。遅せーぞ」
「景!!」
自宅前の塀に背中を預け、脚と腕を組みこちらを見てくる男―――跡部に、大きく手を振りダッシュで駆け寄った。
駆け寄り・・・・・・一気に抱きつく。
「久しぶり! 会いたかったよ!」
「ンなゴマすったって何も出ねえぞ」
「あ〜! 酷い!! 本気なのに!!」
「あーあーわかったからわめくな。
んで? どうだったよ合宿は」
「そう! 聞いてよそれがさあ―――!!」
● ● ● ● ●
長くなりそうだったので場所を移した。ついでにあのまま不二を騒がせておくとさすがに人の目についたためであり、また・・・・・・。
不二の自室で荷物を放り出しベッドへダイブ。会えなかった一週間分たっぷり時間を取り戻し、跡部の腕枕でぬくぬくと落ち着いたところで話が再び始まった。
「手塚ってば酷いんだよ!? 乾汁飲んで2度寝してた僕に抱きついて英二とか越前とかと遊んでたらすっごい怒り出して、しかも僕の事妙な目で見て話し掛けるとまともに返してくれないし!!」
「ほお・・・・・・」
話を聞き、跡部の額に青筋が走る。不二のこのように独自の解釈による話はいつものこと。先入観を無視し事態を並べていけば大体の構造は見える。
「乾・・・。菊丸・・・。越前・・・。てめぇら次会った時きゃ命はねえと思えよ・・・・・・!!」
小さく呟く。幸いなのかなんなのかとりあえず不二には聞こえなかったらしい。
不二の文句はまだまだ続く。
「大体景が1週間も僕の事ほったらかしにするのがいけないんだよ!?」
「俺のせいかよ。仕方ねーだろ青学の合宿なんだからよ」
「だったらなんで氷帝も一緒にしようとかそういう案出してくれないのさ!!」
「・・・・・・・・・・・・そういやそういう手もあったな」
「景が抱いてくれないからすっごい欲求溜まって仕方なかったよ! おかげで桃に背中洗われてる間も触られて景の事思い出して勃っちゃったし!!」
この現在拗ねて可愛さ3割増の顔から吐き出されるとはとても信じ難い台詞のオンパレード。それこそこれを青学の生徒が聞いたらイメージ総崩れだろうが。
「ああ? 桃城に触られて俺の事思い出しただあ・・・?」
跡部の機嫌一気に降下。腕枕はそのままに、不二を軽く抱き寄せていた手を下へと下ろしていく。
「ん・・・あ・・・。ちょ、いきなり・・・・・・」
「俺様の美技と桃城程度が同レベルだ、って言いてえのか? アーン?」
「は、あ・・・。そんなワケ、ないじゃない・・・」
もぞもぞと、不二が体の向きを変えた。仰向けになり、跡部の首に腕を絡め引き寄せる。
「う・・・ん・・・・・・」
「は・・・、あ・・・・・・」
長く唇を合わせ舌を絡ませ、唾液を互いの間で引っ張りながらうっすらと微笑んだ。
「景が一番に決まってるでしょ? でもずっと放っとかれるとこういう事になっちゃうよ?」
「本気でそうだな。次からはぜってーほっとかねえよ。
ついでに聞いとくが他のヤツにゃ何されたんだ?」
「大体このくらいまでだね。脱がせて触って。さすがに入れて来ようとした人はいなかったな。その前にいつも手塚が止めてたし。だから変に溜まっちゃうっていうのに」
「そんで周りに絡んでんのかよ」
「まあとても景には敵わないけど、一応解消の手伝いくらいにはね」
「んで、その手塚は何もやってねえのか?」
「やらないよ? そんな根性あるわけないじゃない」
「よし」
・・・・・・いや全然よくないのだが。
「僕が美技に酔うのはいつでも景のだけだよ」
「ハッ。当然だろ? なあ」
● ● ● ● ●
さらに何度も抱き合い、今度は仰向けとなった自分の胸に頭を乗せ眠る不二。片手を自分の下に置き、もう片手で不二の頭を撫でながら、
「ま、とりあえず手塚がいりゃ周も大丈夫か」
跡部はため息と共にそう呟いた。
クツクツと笑う。
「てめぇも大変だなあ、手塚。だが―――
―――周は渡さねえぜ。せいぜい仮ナイト気取りでもしてな」
End
―――この話、CPといいますかオチは最初はユタ不二でした。話を聞いた裕太がひたすら不幸な手塚を哀れみ心の中で合掌する、そんな感じで。跡部に替わったおかげでより不幸になっています。しかもおかげで真っ白けっけだったはずの不二先輩まで黒いです。なお跡部に変わったのはこの話の氷帝verを書きたかったからだったり。ヤバいです。最近跡不二がユリに見えてたまらない・・・・・・。というワケで次は跡部総受け! ・・・ですか(訊いてどうする)?
2004.5.9