お勉強
「なぁ、アルヴィス・・・・なぁってば!!」
ギンタが椅子に後ろ向きに座って催促する。
本を読んでいたアルヴィスはようやく顔を上げた。
「うるさい、何だ?」
溜息混じりに言うアルヴィスにギンタはほっぺをぷくっと膨らませた。
「そんなにあからさまに嫌がることないだろう?」
「読書の邪魔をして、いうことはそれだけか?」
「あのさ・・・・」
ギンタが話し始めたのだと思ったが。
アルヴィスは無視して本の世界に入りこんでいた。
「アルヴィス!!」
とうとう待ちかねて。
ギンタはアルヴィスから本を取り上げた。
アルヴィスが再び溜息をついて、ようやくギンタに向き直った。
「ちょっとぐらい話をしようぜ。」
「ちょっとって何か話題でもあるのか?」
言われて。
ギンタは言葉に詰まった。
話題はない。
ただ、アルヴィスに絡みたいだけ。
アルヴィスもいつものことでもう免疫が出来たのか、ギンタから本を取り返そうとした。
その本をギンタは口にくわえる。
「うー・・・・わんっ!!」
犬の鳴き真似するギンタにアルヴィスは困った様に手を出した。
「それはこの城の物だぞ。自覚あるのか?」
ギンタは首を振る。
「わんわん。」
「お前はバカか?」
「くーんくーん♪」
ギンタは楽しげに本を咥えたまま4つ足で逃げ出した。
アルヴィスは疲れたように額に手をやった。
追いかけても良いのだが、構うと余計に面白がられてしまうのは分かっていた。
何故か、ギンタは自分にちょっかいを出したがる。
しかも本を読んでいると尚更だ。
アルヴィスは溜息をつくとギンタの逃げた方に声をかけた。
「わかった。街にでも遊びに行くか?」
「わんっ!!」
ギンタは嬉しげに戻ってくるとアルヴィスに抱きついた。
そのギンタにアルヴィスは本を取り返しながら溜息をついた。
「・・・・いつまで犬の鳴き真似しているんだ・・・・」
「わうん♪」
こりないギンタにアルヴィスは溜息を更につくしかなかった。
―――続き