合宿が終わった。
 千石に会うことはなくなった。










Rat

〜6.対佐伯〜







 
 
 
 
 
 
   




 何事もないまま部活にせいを出し、ごく普通に生活し。
 ちょっとしたきっかけで思い出す、あの合宿の2週間。
 一体何だったのだろう。あの2週間は。
 初めて人に躰を許し、嫉妬し、愛しく思った。



 ―――『丁度今日で合宿終わりだしな。金輪際お前とは他人だ』



 宣言したのは自分自身。激昂していたとはいえ、ものの弾みで言ったのではない。冷静になった今同じ状況になったとしても、やはり自分は同じ台詞を言うだろう。
 なのに・・・・・・
 なぜだろう。思い出してしまうのは。
 忘れようと決めたのに。
 もうアイツの事は忘れようと、そう決めた―――心の底から思ったのに。
 なのに・・・・・・・・・・・・










 「会いたい・・・・・・」







§     §     §     §     §








 想いは日増しに強くなる中、全国大会が始まった。
 全国大会。自分のいる六角も、千石のいる山吹も、ともに進んできた舞台。
 勝ち進めば、また会える・・・・・・?
 そんな佐伯の仄かな期待と不安は、
 ―――緒戦で早くも消え去った。六角の敗退で。
 体中が震える。寒気が走るほどの、急激な喪失感。
 オジイの怪我、あっけない幕切れ、そして――――――会うチャンスの喪失。
 「嫌だ・・・・・・」
 足元から、全てが崩れ落ちていく。
 「嫌だ・・・・・・」
 道がない。光がない。何もない。
 「嫌だ・・・・・・」
 自分はどこへ進めばいい?
 「嫌だ・・・・・・!」
 俺の居場所はどこなんだ? 誰か教えてくれ!
 「嫌だ・・・・・・!!」
 頭を抱え蹲りたい思いにかられる。カタカタ震えていた目が、
 ―――『それ』を発見した。





 「千、石・・・・・・・・・・・・」







§     §     §     §     §








 最初に行われた試合―――比嘉対六角の対戦を見終わり、千石は踵を返した。次は自分の試合だ。試合順序が変わったためS3からS2に衣替えしたが、それでも準備やミーティングのため戻った方がいいだろう。
 のんびり歩き、
 「千、石・・・・・・・・・・・・」
 歩き続けた。
 後ろから誰かの近付く気配。ペースは変えず歩く。速めないが、緩めもしない。どちらもする理由がない。
 触れそうなほど接近されたところで、ようやく振り向く。
 パン―――!!
 「触らないでくれるかなあ」
 振り向いた目に、相手が見えた。絶望の表情を浮かべた佐伯が。
 薄く笑う。
 「何驚いちゃってんの? 『金輪際俺たちは他人』。宣言したのは君でしょ?」
 「あ・・・・・・。
  俺、は・・・・・・・・・・・・」
 「何? 用事なら早くしてね。俺次試合あるから、君と違って」
 「千、ご・・・」
 「用事なし? なら行くよ? じゃあね」
 再び歩き出す千石。今度はがしりと腕を掴まれた。
 「だから何?」
 振り向く。腕を掴んだまま、佐伯は暗く笑っていた。
 顔を上げる。目が合った。誰もが怯む、狂気の浮かんだ目。今まで見た事のない―――
 (いや、あるか)
 極めてムカつく目だ。こんなものを他人に見せているとは。
 (それも不特定多数の他人にね)
 テニスをする時の佐伯というのは大なり小なりこういうケにある。牙を見せ、毛を逆立て相手を威嚇する。よりいたぶられやすいように。
 かつて誰かが言っていた。佐伯のテニスは狩りのようだと。だが誰も気付かなかった。獲物は相手ではなく佐伯自身だと。
 そんな事を考える千石をトレースするように、佐伯はこんな事を言って来た。
 「これから試合ならウォーミングアップするんだろ? 付き合ってやるよ」
 「つまり?」
 「俺とテニスしようぜ千石。勝ったら俺の言う事を聞け」
 「君が勝ったら。俺が勝ったら?」
 「今後一切お前には関わらない。他人で通してやるよ」
 「ふーん」
 頷き、
 千石は、再び佐伯を振り払った。
 「断る。俺が受ける利点どこにあるの?」
 「だから! 俺が負けたら―――!!」
 「『完全他人』。それは君が決めた事。
  勝ちも負けも君が決める? こんな不公平な勝負になんで俺が参加しなきゃいけないの?」
 「なら―――!!」
 佐伯の言葉を遮り、皮肉げな笑みを浮かべてやる。
 「どうせなら勝った方が好きな事決めようよ。それなら受けてあげるけど?」
 「いいぜ?」
 返事は早かった。具体的に何をやるか聞きもしない。
 (俺を相手に計略ねえ・・・。手として悪くはないけど―――
  ―――残念。君の思い通りさせてあげるほど、俺は甘くはないよ?)







§     §     §     §     §








 試合に使われていないコートを借りる。人気のない端っこのコート。参加者応援者はもちろん、役員もここまではほとんど来ないだろう。来ているのはせいぜい・・・もうヒマな人ちょっと。
 サーブ権を決める。トスを当てたのはもちろん千石。
 「サーブは君に譲るよ」
 「・・・・・・俺に?」
 「サービス」
 にっこり笑う千石に、佐伯も危険な笑みを浮かべた。それこそ・・・・・・獣が獲物を見る笑み。
 佐伯が口を開く――――――前に。





 「君実は『勝算』があるからこんな勝負持ちかけたでしょ」





 「え・・・・・・?」
 「君って不思議なプレイヤーだよね。対戦成績見た限りじゃ目立った成果は上げてない。なのに君は『強いプレイヤー』として有名だ。さてこれはどういう事だろう?」
 呆ける佐伯。まっすぐ見つめ、千石は浮かべる笑みの種類を変えた。逆に相手を襲う笑みで、
 「君実は計算し尽くして負けてるね?」
 「何の話だ」
 「返事が早すぎる。本当に意味がわからないのならすぐ問い返さず少しは考えるものだよ。
  関東から考えよう。君が負けたのは3回。準決勝の青学戦。3位決定の不動峰戦。それに全国で比嘉戦。
  一見相手が強くて負けたかのようだ。実際青学と不動峰相手じゃ俺も負けたからね。大きな事は言えない。
  でもよくよく考えてみようか。この3戦の共通点。君にとっての共通点。
  ――――――君が勝とうが負けようが六角には何の影響も及ぼさないんだよ」
 佐伯の顔から表情が消えた。自己弁護もしないらしい。しない事―――こちらに全てを暴かせるのもまた、計算の内という事。
 わかっていて、だからこそ千石は話を進めた。彼の策略を逆手に取るため
 「青学戦の時はもう全国の切符は手にしてた。比嘉相手の時は既に六角の負けが決定してた。
  だから君は進んで負けた。なんで? 答えは2つだ。
  1つ。こういう、どうでもいい試合で負けて勘定合わせしてるんでしょう? 『勝ち負け両方する選手』―――『平凡なプレイヤー』として位置付けるために。
  ―――本当は君、凄く強いでしょ?」
 佐伯が、ふっと笑った。
 「何でそう思った?」
 「君のプレイには矛盾が多すぎる。菊丸くんには反復横跳びで負けたんだっけ? 不二くんの相手は樹くん? カラクリが読めたんならなんでその対策しないの? 不二くんの相手しなかったのは本気を出したくなかったからじゃないの?
  まだあるね。橘くん相手には先に2ゲーム取るなんて、君にしては珍しいゲームメイクしてたね。橘くんは君の事をよく知らないって踏んでそういう手に出なかった?
  合宿でのダブルスじゃ、柳くんにしてやられてたっけ。確かに柳くん凄かったね。―――なら乾くん狙えばいいのに。
  データに負けた? はっきり言ってあの時の君は本当に馬鹿に見えたよ。そこまで落としすぎたらなんで
Jr.に選ばれたか、いくら何でも疑問視されるよ?
  しかも無策を装いダブルスの主導権を不二くんに渡す。ダブルスがそこまで得意でもない不二くんに。君が無能だって事はあの瞬間全員の頭に印象付けられたね。
  でもって甲斐くん相手じゃあえて君には何も言わないよ。とりあえず―――俺は『瞬間移動』のカラクリ、とっくに解いてたけど?」
 「そうする理由は?」
 「2つ目言ってなかったね。
  君にとって勝ち負けってどうでもいいんでしょ? 相手がどれだけ自分を追い詰めてくれるか、それだけが大事なんでしょ?
  だから明らかに弱い相手は切り捨ててさっさと勝つ。
  一方あんまり強いって評判が流れるとそれだけで相手に怖気づかれて迷惑だ。だからわざと負けて調節する。もちろん相手がどれだけ自分を追い詰めてくれるか試した上で。
  菊丸くんはせっかく破ってくれたのにすぐエネルギー切れを起こして相手をしてくれない。
  橘くんはあれだけ煽ったのに本気で来てくれない。
  甲斐くんはもう底が完全に見えた。
  不二くんは―――可愛い弟だもんね。あんまりからかっちゃ可哀想だ」
 くっと小さく笑う。それが不二をどれだけ傷つけているか―――いたか―――わかっているのだろうか?
 決して自分に本音で迫ってくれない佐伯。全身を包む、真綿で首を絞められるような。気持ち良さと苦しさ。両方あったからこそ、佐伯を渡す事に徹底して抗えなかった。
 「追い詰めてくれない相手はつまらない。君のテニスはまさしく君の人生そのものだ。つまらない事しか経験してないからつまらないままで落ち着いてる。
  だから俺に勝負を挑んだ。俺ならテニスでも追い詰めてくれるんじゃないか、そう期待して―――
  ―――そうなるよう仕向けたね?」
 佐伯を窺い見る。彼は確かに笑っていた。喜んでいた。狙いどおり動く自分に。
 「嫌がる俺に君は言った。俺が勝てば二度と近付かないと。
  勝った方の言い分を聞くと案を出した時、君はすぐに了承した。
  いずれにせよ、俺が自分の思い通りにするためには君に勝たなければならない。たとえ君の実力がどれだけであろうと、それを乗り越え俺は勝たなきゃいけない。
  君にとって最高の舞台が出来上がったワケだ。おめでとう。やっぱ君は頭がいいよ」
 「そこまでわかってたんなら、なんでお前は俺にサーブを譲った?」
 「君ならわかるでしょう? 俺も後から攻める型だ」
 「そ、か・・・・・・」
 頷き、佐伯はサービスラインについた。千石も構えを―――
 ―――取らなかった。
 「でも―――」
 小さく呟く。サーブが放たれた。速い。ギリギリ目で追えたかどうかといったところ。並の選手なら反応一つ出来ないだろう。
 見て、
 見送った。
 ドスッ―――!!
 「・・・・・・・・・・・・どういうつもりだ?」
 佐伯の声に険悪さが混じる。睨まれ、
 突然千石は笑い出した。
 腹を抱え、喉を仰け反らせて。
 「どういうつもりか、訊いてるんだけどな」
 声はあくまで押し殺したまま。だが目は誤魔化せない。佐伯は完全に怒っていた。
 察し、ぴたりと笑いを止める。
 千石は言った。はっきりと。










 「俺は勝つとは一言も言ってない」










 「え・・・・・・?」
 「言ったよね? 『俺が受ける利点どこにあるの?』って。勝とうが負けようが俺には関係ないんだよ」
 「け、けど負けたら! 負けたらお前は俺の言う事聞くハメになるんだぞ!?」
 「だから?
  どうせ君の言いたい事なんて予想はついてるよ。『もう一度やり直せ』『俺を愛せ』そんな感じ?」
 「嫌だろ!? ならちゃんとやれよ!!」
 「嫌? 別にいいけど?」
 「そん、な・・・・・・」
 泣きそうな声で呟く佐伯。見下して続けた。
 「代わりにそれでやり直してどうするの? そうやって結ばれて君満足? 言われたならその通り愛してあげる。でも君の欲しいのってそんな俺?」
 「う、あ・・・・・・」
 「頑張って勝ってね







§     §     §     §     §








 つまらないゲームが続く。見物人は誰もいなくなった。
 汗を拭うフリして目元を拭う佐伯。落ちた肩は疲れによりだろう。肉体的にではなく、精神的に。
 ゲームカウント3−1。まあそろそろこの辺りでといったところか。
 前に出たところでロブを打たれる。先ほどまでなら見送っていた。
 その球にめがけ、千石は飛び上がった。コートを取り巻く空気が一瞬で変わる。
 「―――っ!?」
 はっとする佐伯。だが気付いた時にはもう遅い。
 ゴッ―――!!
 千石の放ったスマッシュは、佐伯のこめかみにヒットした。
 佐伯が横倒しに倒れる。動かない彼を見下ろし、
 「起きなよ。気絶させてはいないだろ? それじゃ興ざめだからね」
 それを合図に、佐伯がゆっくり身を起こした。起こし―――硬直する。
 見開いた目。ぱちぱち瞬きをする。両手を前に出し、握ったり開いたり。
 よろよろと立ち上がる佐伯に、千石は冷たく言い放った。
 「ボクシングやってて俺もなったけど、そこ打たれると目見えなくなるでしょ。目は君の一番の武器だからね。封じさせてもらったよ」
 驚きを浮かべる目。こちらを見ているつもりなのだろう。開かれた目は、対象を見つけられず泳いでいた。
 「最初に俺言ったよねえ? 目的のためなら手段は選ばないって。
  ―――攻撃、いかせてもらうよ」







§     §     §     §     §








 この攻撃は、確か関東決勝で切原が不二に仕掛けていたか。目の見えない不二の体中にぶつけていた。
 だからこそ佐伯も同じ事を警戒しているのだろう。
 だからこそ――――――千石はあえて体は外して打った。
 「剣道やってた君なら、体に向かってくるのはむしろ得意だろうからね。
  残念。打たせはしないよ」
 ゲームカウントが並ぶ。
 「ホラどうしたの? 所詮君はこの程度? がっかりさせてくれるねえ。ウォーミングアップにもなりゃしない」
 ゲームカウント4−3。千石がリードした。
 「俺が勝ったら何て言うか、まだ言ってなかったよねえ。















  ――――――俺の前から消えて」















 佐伯の中で、何かが音を立てて外れた。

 自分を制御していた、自分自身という鎖。

 鎖が解かれ、封じられた獣が今、目覚めた。

 感覚が研ぎ澄まされていく。周りは全て、この手の中に。

 『視界』にいるのは獲物が1人。喰らい千切れ。抉り出せ。破壊しろ。全てを断ち切れ。







§     §     §     §     §








 佐伯の様子が変わった。球へ正確に反応し、打ち返す。球威も今までの比ではない。
 「これが、君の本気・・・。
  これが、君の全て・・・・・・」
 圧倒的なプレッシャーの中、千石は唇をぺろりと舐めた。見ようによっては恍惚とした表情で、囁く。





 「待ってたよ、この時を。君が、全ての手札を出し尽くすこの瞬間を。
  もう後はないよ。『それ』を御せば、俺の勝ちだ」















 千石の様子が変わった。こちらにぴたりと喰らいついている。隙あらば引きずり落とそうと狙っている。
 最高の快感。もっと攻めてくれ。もっと追い詰めてくれ。
 悦びの渦の中、佐伯は惚けた表情で喘いだ。




 「なあ千石・・・・・・。やっぱお前は最高だよ・・・・・・。
  お前だけが欲しいよ・・・。お前以外はいらないよ・・・・・・」















 そして・・・・・・・・・・・・







§     §     §     §     §








 「ゲームセット。ウォンバイ千石、7−6」
 千石のジャッジに、佐伯は立ったまま放心状態となった。
 自分は負けた。それは変えようのない事実。最高の試合が出来た。それだけが真実。それだけを胸に抱き、自分は彼の前から立ち去ろう。
 挨拶をするためネットに寄る佐伯。その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。自分の知らなかったものと出会い、それを全て受け入れた者の見せる笑顔。
 「いい試合だった」
 お決まりの台詞と共に手を伸ばす。せめてこの位は許してくれるだろう?
 伸ばされた手を見て、千石は。
 ―――全てを無視し、佐伯を抱き締めた。
 「え・・・・・・・・・・・・?」
 耳元に、囁く。




















 「俺が勝ったよ。だから―――





  ――――――――――――――――――俺を愛して」




















 抱き締めていた体を解放する。もう視力は戻ったのだろう。見開いた佐伯の目は、今度は千石にぴったり合っていた。
 「い、今お前・・・・・・何て?」
 「『俺を愛して』。
  勝った人の言う事聞くんでしょ?」
 「でも・・・・・・さっき・・・・・・・・・・・・」
 ぱくぱく口を閉じたり開いたりする佐伯に、
 千石はぺろりと舌を出してみせた。
 「うっそ〜ん♪」
 「は・・・? え・・・・・・?
  ・・・・・・・・・・・・あ」
 「ちなみにウソなのは『俺の前から消えて』の方ね」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ええ〜?」
 混乱の極みに到達したらしい。佐伯が、彼のイメージとしてありえない感じで不満声を上げた。
 「言ったっしょ? 目的のためなら手段は選ばないよ?
  ―――ウソの1つや2つはお手の物ってね」
 「ええっと・・・・・・・・・・・・」
 「全ては君の言った通りさ。
  俺は不二くんを、跡部くんを、切原くんを、リョーガくんを、誰より君を利用した。君に『俺が好きだ』って気持ちを造り出させた。
  さあ、
  ――――――わかったところでだからどうする? 造り出すのは俺に出来ても、決めるのは君だよ?」
 「・・・・・・・・・・・・」
 無言の時が流れる。今度は1分以上かかった。
 佐伯が顔を歪めた。
 「お前ホント嫌なヤツだよな」
 「ありがと。
  で?」
 にっこり笑う千石に、佐伯も歪めた顔で笑みを作り、
 ぎゅっと抱き締めた。
 同じく耳元に囁く。




















 「大好きだよ、千石」




















 千石の顔がへら〜っと緩む。
 「やったあ!!」
 「うわっ!!」
 喜びの声を上げ、千石は佐伯の体を上に掲げた。
 そのままネットを越させる。もちろんバランスを崩し2人で転倒。いくらボクシングで鍛えていようが、自分より大きな体を1m以上持ち上げるのは無理だったようだ。
 コートに一緒に転がり、目を合わせ笑う。
 「大好きだよ、サエくん」
 「俺も、大好きだよ、千石」







§     §     §     §     §








 人気のないコート。一見人気のないコートにて。
 「ラブラブカップルだねv」
 「熱いっスね〜」
 「アホくせえ・・・・・・」
 「ひゅーひゅー♪ 見せ付けてくれるね〜お二人さん」
 「千石・・・。頼むからお前試合あるの思い出してくれよ・・・・・・」
 今回もまた陰に隠れ見守っていた不二・切原・跡部、さらに面白そうだったので見物に来たリョーガと、千石を呼びに来たはいいが声をかけられない南が好き放題(?)言いまくっていた。
 「ま、とりあえず」
 今度は聞こえないよう小さく拍手を送る。





 『結ばれておめでと〜♪』



―――Ratおまけ

   

 
 
 
 















§     §     §     §     §

 終わったあああああ!!! 読みきりのはずがなぜ全6話!? しかも量は少ないのに日数はかかる!? 全ては半端にシリアスだからいけないんだ!! シリアスは手が進まん!!
 そんな感じで思いのたけをぶつけようやく終わりました
Rat。最初から最後まで千石の手で踊るだけだったサエ。それでもちゃんと最後は自分の意志で愛する事が出来たようです。
 ではこれからは、今度はサエが千石を躍らせるのか!?

2005.6.1516