シーン4 品定め。はて1番高値がつけられたのは?

 まず大石・海堂・河村・乾がコートで練習しているのですよ(不二は見物)。そしてプールにいた英二・桃・リョーマも後から駆けつけるのですよ。さらに試合後桜吹雪チームも出てくるのですよ。
 さて、この際プールに落とされたリョーマが必然的に遅くなると予想してみると(実際駆けつけたのは一緒なんですけどね)・・・



 4人のダブルスが終わる。いつの間にか集まっていた客から拍手喝采が浴びせられた。
桃:「んじゃ英二先輩! 次やりましょーよ!」
英二:「いいけど〜? ダブルスね」
桃:「うげ!!
   ―――まーいいっスよ。
   つー事で越前! 俺と組――――――越前?」
英二:「あり? おチビは?」
 きょろきょろと、辺り(特に下の方)を探す2人。まさかこの人混みで潰されてしまったのだろうか・・・?
 失礼な心配をしていると、
客その1:「おい!! プールプール!! 向こうすげー事してんぜ!?」
客その2:「コックとガキがテニスしてやがる!!」
客その3:「しかも普通じゃねえよ!! もー曲芸だぜ!?」
英二:「コックはともかく・・・・・・『ガキ』?」
不二:「多分越前で決定だろうね。曲芸なんて言われてるし」
 さらに失礼な推測。頷き合いプールへ行くと―――
 ―――そこにリョーマはいなかった。なぜかみんな上を見上げている。
桃:「上・・・・・・?
   ――――――えええええええええええ!!!!!!!???????」
 そこにこそリョーマがいた。2階テラスの桟の上。足幅ぎりぎりの細い棒の上で、確かに彼はテニスをしていた。しかも・・・
英二:「うあ佐伯・・・。なんでまたアイツが・・・・・・?」
不二:「まあ、服装からしてコックのバイトじゃないかな・・・?」
 そう。同じ桟の上で対戦していたのは、青学のみんなはご存知六角
トラブルメーカーの佐伯であった。
 裸足で桟に立つ2人。前に走りこんでは後ろに飛び退って、時折間に合わない際は手を付きバク転。ボールもまた、ボレーだけではなく桟の上でバウンドさせている。
不二:「・・・・・・本当に、曲芸だね」
桃:「ちなみに英二先輩、ああいったアクロバットって、そんなに出来るモンなんスか?」
英二:「ぐ・・・!! で、出来るもん俺は多分!!」
不二:「2人とも後ろ見てないみたいだけど、大丈夫?」
英二:「ぐぐぐっ・・・!!!」
 つまりアクロバティックプレイヤーでも相当難しいらしい。実際・・・
リョーマ:「おわっ!!」
 ロブを打とうと下がったリョーマ。直線ではなく緩やかなカーブにさしかかり、あっさり足を踏み外した。
桃:「越前!?」
 慌てて桃が手を伸ばすも、もちろんリョーマに届くはずもなく。
 どばっしゃあああああん!!!
 激しい水音を立て、リョーマはプールに着水した。
リョーマ:「ぷぐっはあ!!」
 何とか水面に上がってきたリョーマに、次掛けられたのは仲間の心配する声―――
 ―――ではなく佐伯のため息だった。
佐伯:「(は〜・・・)
    弱いな〜越前は」
リョーマ:「うるっさい!!」
 指差し吠え立てる先では、片足を組んでも全く揺れない佐伯がやれやれと首を振っていた。
佐伯:「何はともあれ大台
10敗目。そろそろ残高尽きるトコじゃないか?」
リョーマ:「次勝てば問題ないんだろ!?」
リョーガ:「止めとけ止めとけ。どーせチビ助じゃ相手になんねーって」
リョーマ:「だったらアンタはどーなんだよ!? さっきっから全然試合してないじゃん!!」
リョーガ:「はあ? 俺?」
 こちらは桟に肘をかけ見下ろしていたリョーガ。リョーマの挑発に、
 軽く笑って手を開いた。
リョーガ:「ホラ、俺どーせ明日出るし? 今ここでわざわざ俺のすげートコ見せびらかしてもしゃーねえだろ?」
佐伯:「つまり青学レギュラー陣にだけ実力出させて賭け金を上げよう、と(ぼそり)」
リョーガ:「頭脳戦で勝利って感じだろ?(ぼそぼそ)」
リョーマ:「つまりアンタも勝つ自信ないんだ?(はっきり)」
リョーガ:「んだとチビ助の分際で!! お兄様がどれだけ偉大か見せてやろーじゃねえか!!」
佐伯:「おーし待ってたぞリョーガ!! お前なら1試合1万ドルで受けて立とう!!」
リョーガ:「後悔させてやんぜチビ助!!」
リョーマ:「いやアンタでしょ後悔すんの・・・。1万って・・・・・・」
 桃に助けて貰いながら、リョーマがボヤいた。やる気満々で桟に飛び乗るリョーガに、ため息が洩れる。
リョーマ:「・・・・・・ま、アンタの事なんて別にいいけどさ」
英二:「あ、あのさおチビ・・・。アレ誰? でもって何やってたの?」
リョーマ:「アレなら俺の兄貴らしいリョーガ、でもってやってたのは賭けテニスっス」
英二
&桃:『ええっ!!??』
不二:「もう少し、詳しく話してもらえないかな?」
リョーマ:「英二先輩たちがコート行こうとしてたんで、俺も付いてこうと思ったら2人に声掛けられたんスよ。
      『金賭けてゲームしないか?』って」
不二:「まあ、お金賭ける辺りはサエだから軽く流すとしても、
    ―――それで?」
リョーマ:「やったのはこんな感じのモンっスね。リョーガが何だかんだ言ってやろうとしないんで、俺と佐伯さんで。
      ああ、賭け金は1回1ドルっス」
不二:「リョーガくんの時とは大幅に違うんだね・・・・・・」
リョーマ:「今
10ドル借金だけど、俺が勝ったらチャラにしてくれるんで」
不二:「言っちゃ悪いけど、多分今日1日丸々やっても借金膨らむだけだと思うな。
    サエって、妙な制限付ければ付けるほど強いし、さらにお金かかれば無敵だし。多分この条件なら、跡部でもボロ負けするんじゃないかな?」
リョーマ:「ああ、それなら大丈夫っスよ」
不二:「? 何で?」
リョーマ:「多分これからリョーガが
100回くらい負けるんで。100万ドルあれば10ドルくらい忘れるでしょ」
 どべばしゃあああああん!!!
 丁度いいタイミングで、1回目負けたリョーガが落ちてきた。
佐伯:「ぷぷっv
    リョーガよっわ〜いvv」
リョーガ:「うるっせえ!! ほら次だ次!! 次は俺が勝つからな!!」
一同:『・・・・・・・・・・・・』
リョーマ:「こんな感じで、越前家[ウチ]は挑発に乗りやすい一家らしいんで」
不二:「よく、わかってるんだね自分の事・・・。
    けど―――」
リョーマ:「ん?」
 見上げるリョーマに、不二は曖昧な笑みを浮かべておいた。
不二:「・・・・・・サエはあんまり甘く見ない方がいいよ?」
リョーマ:「はあ?」



 5分後。
佐伯:「2人ともまだまだだなあ。
    こんな2人に夢託して、お前らのお父さんも可哀想に」
越前兄弟:『うるっせえ/さい!!!!
      絶対次は勝ってやるからな〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!』
不二:「ホラ」





 ちなみに2時間後。
佐伯:「2時間で
12398ドルの儲けか・・・。いい仕事したなあ俺。
    ―――また次何かあったらいつでも呼んでいいぞ?」
越前兄弟:『2度と呼ぶかあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!』


―――

 桟の上でジャグリングをしたリョーガ。それだけ出来るならテニスもいいなあ・・・vv 凄いカッコいいと思うんですけどね。ラインテニス。
 ・・・・・・・・・・・・出来たならば。

2006.5.5