テニプリパロディ略してパロプリ劇場
―――スリップスリップ千石次第!―――
第1回―――4
「―――ってて。アイツのせいで酷でえメに遭ったぜ」
《いやあ、災難だったねえ跡部くん》
「・・・・・・・・・・・・」
ふいに降り注ぐそんな声。見渡してみても誰もいない。
この相手―――声だけすれば男こそ、タイムスリップする度何の脈絡もなく現れる自称『語り担当』千石である。
不可思議現象はもう飽き飽きなので、土ぼこりをはたき跡部は立ち上がった。適度な平野。右側には武器を構えた騎馬隊がいて、左側には柵の向こうに鉄砲隊が。
(・・・・・・・・・・・・って)
「おい千石、ここはいつのどこでコイツらは何やろうとして俺らは何に巻き込まれたんだ・・・?」
非常に嫌な予感がする。そして1つだけ確信持って言える事がある。
―――彼らの醸し出す殺気はけっしてこれが冗談でも茶番でもないと物語っている。
《え〜っと》
こんな場面でもまったく驚きを表さない千石。姿があったら多分頭でも掻いているのだろう。
《今は1575年の5月21日。三河設ヶ楽原で〜・・・。彼らは右が武田軍、左が織田軍。
やってるのは、まあぶっちゃけ戦?
俺らはそれに巻き込まれた、と》
「ちょっと待てちょっと待て・・・。いくら俺でもンな数万規模での争いなんてどーにでもなんねーぞ・・・?」
《うんそーだねえ。ココ、丁度中間地点だから早く逃げないと危険だよ?》
「さっさと言いやがれどいつもこいつも〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
・ ・ ・ ・ ・
かろうじて何とか逃げ延びた跡部(と千石)。雑木林に隠れほっと一息つく・・・・・・間もなく。
「誰だお前は!? さては織田の間者だな!?」
「違げえよ!!」
いきなりそんな濡れ衣を着せてきた武田軍の武者(だろう)にノリで返すが、もちろんそんな事を信用してくれる筈はなかった。
「覚悟!!」
「うお危ねっ!!」
振られた刀を、身を引いてかわす。刀は木の幹を抉り止まった。飛び散る木屑が頬を掠める。
「ちっ!」
盛大に舌打ちをする武者と向き直り、跡部もまた心の中で舌打ちした。
(ここじゃ満足に刀は振れねえ、ってか。だがめり込むんならともかく、跳ね返ったりすりゃ予想外の軌道で攻撃が来る場合もあり・・・)
どちらに分があるかはまだ何とも言えない状態だ。とりあえず相手があまり刀の扱いに慣れていないのは救いだが。
向かい合う・・・まま動かない。やはり素人らしく、不意打ちならともかく膠着した状態ではどう攻めていいのかわからないようだ。あるいは援軍を待っているか。
そして・・・
・・・・・・この状況でも全く動じないのが約1名。
《さ〜400年以上の時を経て、いきなり始まりました新旧対決! 果たして強いのは実際の戦場で鍛えた兵なのか、それともぬるま湯の現代で危険対処に慣れきった人間凶器なのか!?》
「ワケわかんねー実況してねーで何とかしろよ!!」
《いっや〜でも俺『語り担当』だし? 敵の大将かたれとかだったら頑張るよ?》
「『騙り[かたり]』違いだろーがそりゃ!! この事態については!?」
《頑張れ跡部く〜ん♪》
「いんねーよ応援なんぞ!!」
《んじゃ秘密兵器。
俺は『語り担当』。即ちあらすじ構成だからね。俺の一言一言で話は変わるんだよ?》
「何!?
んじゃ丁度いい! 争い止めさせろ!!」
《そうすると歴史変わるけど?》
「っ・・・・・・」
コイツが何の役にも立たない事が証明された。
「つーかこーいう場合は佐伯が助けに来んのが筋ってモンじゃねーのか!? 戦闘は殺し屋の担当だろ一般市民じゃなくって!?」
《あ、いーねえ! そんで助けに来てくれたサエくんに君はきゅん・・・vv と》
「ぜってーそのあらすじにすんじゃねえ!!」
「何一人でわめいてる!? 行くぞ!!」
「あーもーどっからでも来いよ!!」
襲ってきた兵の脇をすり抜け首筋に手刀一発。さらに2人ほどこちらに気付いたようだが、それらも1人目から奪った刀を鞘にしまってぶん殴っておいた。これでもこちらは日々剛速球を打つテニスプレイヤー。破滅への輪舞曲のノリで振り下ろせば、2人もあっさり気絶してくれた。
「ふう・・・」
《つまり、たとえ実践で生半可に鍛えようが、超実践で毎日死ぬ思いしてる君には勝ちようがない、って事だね?》
「・・・・・・ああそーだな。何でそんな日常生きぬいてるのか自分でもよくわかんねーけどな」
千石の適切な解説にげんなり肯く跡部。
果たしてこんな彼らで話は続くのか!!??
―――第2回 1
―――はい、『タイムスリップ戦国時代』のパロです。織田さんステキだよ〜〜〜vvv 高笑い上げたりキザくさかったり熱血台詞語ってみたり!! 今日からでも遅くありませんよ!? ぜひ皆様もご堪能下さい!! 間違ってもこんな、無理やり進めなければどこまでも後退していきそうな内容ではありません!!
そしてこの話、続くのかどうかは完全未定―――といいますか不明です! まだまだネタが溢れるようなら続けます。どう続けても、この話ではサエがリョーガを『説得』して終わりそうですが。
とりあえず今日分、第2回が楽しみだな〜vv
2006.1.10