テニプリパロディ略してパロプリ劇場
―――スリップスリップ千石次第!―――





第2回―――3


 そして跡部は手塚の家のある長浜へとやってきた。途中どこかに佐伯が落ちていないかと探してはみたが、残念ながら見つからなかった。
 「へえ、随分にぎやかな町じゃねえの」
 「当然だ。ここは羽柴秀吉様の城下町だからな。
  ―――さて着いたぞ」
 と手塚が指し示したのは屋敷だった。
 (ちっ・・・。手塚の住居だっつー時点でもっと質素なモンかと思ってたのによ・・・)
 そういえば現代の手塚の家も、割と広く豪奢な佇まいだったか。
 そんな跡部の舌打ちでも聞こえたのか、手塚が屋敷を見上げながらぽつりと呟いた。
 「だがこれもいつまで持つやら。敵の首が取れん武者では、秀吉様に仕える資格などないだろう。
  そう思うと、何より妻に申し訳ない」
 ため息をつく。そのため息は、
 跡部の怒声で一気に掻き消された。
 「妻ぁ!!?? てめぇ妻なんていやがったのかああ!?」
 「いたが? なぜそれでそこまで驚く?」
 「何で妻なんて娶ってやがるんだよ!? てめぇはぜってーストイックに一生独りモンで通してんだと期待しちまってたっつーのに・・・!!」
 「・・・・・・どういう期待だそれは。
  そこに立っているだろう? あれが俺の妻だ」
 そこ―――確かに門前に立っていた。わざわざ夫の帰りを表にまで出て待っててくれているらしい。さすが手塚の妻。几帳面な似た者同士のようだ。
 良妻の見本品のような事をしている相手を、跡部は遠目に目を細めて見やった。これでも視力は
2.0。遠視ではあるが、だからこそ遠くはよく見える(激しく注:だからといって老眼ではない念のため)。
 目を細め―――
 「―――ってありゃ不二じゃねーか!!」
 「む・・・? 知っているのか?」
 手塚の問いに―――
 ―――答えるべき相手はもういなかった。
 瞬間移動並みのスピードで残りの距離を走り、跡部は門前で待つ『不二』の肩を掴んで目の前に屈み込んだ。
 「お前周どーしたんだよ!? よりによって手塚なんぞの妻になっちまって!!」
 「え・・・? えっとあの、あなたは・・・・・・?」
 「―――何人の妻に失礼極まりない質問をしている」
 ごん!
 「・・・・・・あ、手塚お帰り」
 「うむ。ただ今帰った」
 「ところで水あめ屋さん見なかった? 外歩いてたみたいだから急いで出てきたんだけどどっか行っちゃって」
 「さあ。俺も今帰ってきたばかりだからな。その間は見なかったが」
 「そうかあ・・・。残念だなあ・・・」
 「つーか・・・、
  出迎えじゃなかったのか・・・?」
 「誰が出迎えだと言った? 『そこに立っている』としか言っていないだろう?」
 「・・・・・・。
  まあ、不二らしいっちゃあ不二らしいが―――
  ―――けっこー寂しい結婚生活送ってんだなてめぇも」
 「放っておいてくれ」
 槍で殴られた頭を擦りぼそぼそ話していると、『不二』は不思議そうに首を傾げてきた。
 そちらは? と目線で問い掛ける妻をまず指し。
 「ああ、さっきから言っている通りこっちが俺の妻で・・・・・・千代・・・・・・だ」
 「あ、手塚僕の事名前でなんて呼んでくれた事ないクセにこんな時だけズルいよ」
 「あ、ああ・・・。だがやはり名前では気恥ずかしかろう・・・。
  お前も俺の事は名で呼ばんではないか。なあ不二」
 「だ・・・だって・・・・・・//」
 傍から見ているのが一番恥ずかしいバカップル会話。じっと聞き、
 ごん!!
 「・・・・・・なぜ殴る」
 「いや何か今すっげームカついた」
 手塚同様、これはあくまで過去のそっくりさんだ。その証拠として名が違うし性も違う。
 自分の中での現実の―――
21世紀で手塚と不二がこんな恥ずかしいじゃれ合いをしているワケがない。していたとしたら自分は即座に手塚を沈めるだろう。
 そして手塚の説明が続く。今度は跡部を指し示し、
 「不二。こっちは合戦場で出会った・・・・・・そういえば名前を聞いていなかったな」
 「跡部だ。
  という事でよろしくな、不二」
 スッと手を取り甲にキス。このような挨拶はまだ知られていないのだろう。不二が顔を真っ赤にし、
 がこん!!
 「―――ってーなあ!! 何しやがる手塚!!」
 「それはこっちの台詞だ!! 何お前は人の妻を誘惑している!?」
 「ただの挨拶じゃねえか!! いちいち目くじら立てんじゃねえよ!!
  それとも何か!? てめぇはこの程度で不二取られるとでも思ってやがんのか!? 不二がンな尻軽なワケねーだろざけんじゃねえ!!」
 「完全に言っている事が支離滅裂ではないか!!
  しかし今のが挨拶だと? 随分変わった風習に思うが、お前はどこの者だ?」
 「どこ?」
 (どこ、って言われてもなあ・・・)
 当たり前で日本だ。『いつ』かが違うだけで。
 答えあぐねている間に、不二が結論付けてくれた。
 「もしかして、南蛮から来たの?」
 「なるほどな。確かに髪の色も違う」
 「・・・髪色でてめぇに何か言う資格はねーと思うんだがな手塚。
  まあいいか。んじゃ、南蛮から来たっつー事で」
 「何だその投げやりな言い方は?」
 手塚の鋭い指摘がきたが、残念ながらにぶちん―――もとい純情可憐な不二には何の疑問点もなかったらしい。
 「そっか遠いところから来たお客さまなんだね? じゃあぜひ家泊まっていってよ! 大したものは用意出来ないけど、大歓迎するよ!」
 「そうか? ありがとよ、不二。
  やっぱお前はいい女だな」
 「え・・・//」
 すぱこん!
 「でっ!!」
 「同じ事を何度言わせる」
 「駄目だよ手塚、お客さま殴っちゃ!」
 「だが不二・・・」
 「次やったら僕も本気で怒るからね」
 「むう・・・・・・」
 (うおカカア殿下か・・・・・・)
 《う〜ん凄いね〜不二くん。『内助の功』っていうより『無い助の功』な〜んて事に・・・・・・なったりして》
 (うあ・・・。充分ありえんな。アイツが何かすると必ず妙な方向に話転がるしな・・・)
 いろいろ思うところはありながら、
 とりあえず跡部は手塚と不二の家で世話になる事になった。



―――第3回 1











 ―――2回目です。薔薇之介がカッコい〜〜〜!!! 1人で6人か7人かしばき倒しちゃったよ〜〜〜vvv
 さて服部半蔵を始めとした伊賀忍者。誰にするかでとことん悩み途中で変更したりして、読まれている方にはご迷惑をおかけしました。全てを差し置いての大前提として『サエにいびられる人』という事で、橘と甲斐どちらにしようかと思い、最初は甲斐だったのですがリーダーっぽいとなれば橘か。手下の神尾をからかうのも楽しそうだ・・・などと考え、結局足して2で割った人材たる木手にしました。殺し屋繋がりもありますしね(こじつけ)。
 そして忍者。テニプリでパロってて忍者というと、雑誌繋がりで違うものを考える方が自然なのでしょうが・・・・・・それ以前に私は朝日新聞読者なのでどうしても落乱の方が出てきます。おかげで忍者=けっこー情けない(爆)。そんなこんなで、今回の忍者の知識は割とそこからのうろ覚えです。ただし本当に凄い術を使ったりする人も伝承ではいたりしますので、あくまでサエが語っていたのはほんの一面という事で。しかもそんなサエ、別の話で手首に棒手裏剣
20本巻いてましたね・・・・・・。

2006.1.12