テニプリパロディ略してパロプリ劇場
―――スリップスリップ千石次第!―――





第5回―――2


 「ただ〜いま〜」
 「遅せえじゃねえか佐伯」
 「悪い悪い。
  何? そんなに俺の事、心配してくれたのか?」
 「ほざいてろ」
 密談終了。戻ってきた佐伯は半眼を向ける跡部の頭をぽんぽんと叩き、笑った。
 「真田の許可はもらったぞ。俺たちに任せてくれるそうだ」
 「ホントか!?」
 「ああ。しかもサービス付きだ」
 「サービス・・・?」
 頷き、かつて焚き火のあった跡―――現在では2人の乗ってきた時元移動機の鎮座する場所を手で指し示す。
 「コレに乗って移動すればいい。7年も待つ必要がなくなった!」
 「そっかなるほどな!」
 「という事で、さっそく行くぞ!」





・     ・     ・     ・     ・






 荷物をまとめ、時元移動機の後部座席に乗り込む。操縦するのはもちろん下っ端切原。
 「んじゃ、行くのは7年後。
1582年な」
 「頼んだぜアッシー」
 「ホントにいいんですか〜? 真田部長」
 「構わん。言う通りにしてやれ」
 「うわ何か部長笑ってどうしたんスか? 壊れたんスか?」
 「・・・・・・今すぐこの場で貴様だけ落としてやろうか?」
 「は〜い
1582年っスね? 1・5・8・2。
  んじゃ行くっスよ〜!」
 照準を決め入力。するなり時元移動機が作動し出した。
 「へ〜。やっぱ車の方が楽だなー」
 「車の方が楽って・・・・・・アンタ何で来たんスか?」
 「スクーターで」
 「・・・・・・。よく死ななかったっスね」
 「やっぱてめぇありゃ完全パチモンじゃねえか佐伯!!」
 ぎゃいぎゃい騒ぐ2人を、耳を塞いで軽く流す。
 外の景色―――とはいっても何も見えないが―――を眺めていると、前から声がかけられた。
 「では佐伯、任せたぞ」
 ちらりと真田を見る。正しい姿勢で前を向いたまま、仏頂面の部長殿は微動だにしていなかった。
 多分騒いでいる2人には聞こえていないだろう。さらに横目で確認し、
 佐伯は窓の外に顔を戻した。
 薄く笑い、
 「お任せを」





 そしてそんな佐伯をこちらも横目で見、跡部はそっとため息をついた。
 (これで、時間はなくなった・・・ってか)
 リョーガの命は、あと僅か。



―――第5回 3

2006.1.16