プチ小説7 不動峰編2
「危ない、杏!!」
「お兄ちゃん!?」
これまでどこででも何度も繰り広げられていた光景が、ここ不動峰でもまた行われようとしていた。
「杏・・・・・・」
「お兄ちゃん! イヤ! お兄ちゃん!!」
ス―――・・・・・・
「お兄ちゃーーーん!!!」
消え行く兄を必死で抱きしめる妹。その腕の中で優しい笑みを浮かべて消えていく兄。実に感動的な展開だった。見ている誰もが涙ぐんで橘を見送った。
―――そう、1人を除いて。
「あーあ、部長死んじゃったね。これからどうする、リーダー?」
『お前もちょっとは悲しめよ!!!』
泣いていた筈の杏も含め、その場にいた全員がそうボヤいた深司にツッ込みを入れた。
―――まあ私の中で不動峰はこんなもんです。以上。
2002.10.25(write2002.10.16)